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諦めない人だけが儲かるIPO超入門

その勝率の高さから、株式投資家ならノドから手が出るほど欲しいIPO株。IPOが多いのは、3月、6月、9月、12月。特にアベノミクスの影響で年々IPO株の数は増えています。まだ、今年は十分間に合います。IPO投資にチャレンジするための準備と極意を紹介しましょう。

30万円が125万円に。 競争率は高いが、当たればおいしいIPO

IPO(新規株式公開)投資は株式投資の醍醐味のひとつです。企業が株式上場前の資本政策で株式を割り当てるのとは違い、IPOへの参加は個人投資家もプロの機関投資家もある一定の条件では平等に横一線のスタートを切ることができます。さらに、今年4月末までにIPOを果たした企業は32社ありますが、このうち初値が公開価格を割り込んで株式市場に登場した企業はわずか4社のみです。

IPO株を入手できるブックビルディングに参加してIPO株を手中に収めれば、なんと85%超の確率で値上がり益を確保できる計算になります。さらに、3月30日に上場したユーザーローカルは、公開価格2940円に対して初値はなんと1万2500円!売買単位100株の銘柄ですから、約30万円の投資資金が一夜にして125万円となった計算。これがIPO最大の魅力といえるでしょう。

「でも、IPO株は申し込んでも競争倍率が高くて当たらないでしょう」と決め込んで、1銘柄で数百万円儲かることもありましたが、現在は売買単位も100株、株価も小口化していることから、儲かっても数十万円がいいところ。それでも、ほぼ負けないのだから、抽選に申し込んで損はありません」とIPO投資のの勝率の高さに注目します。諦めている投資家の声をよく耳にします。しかし、まずは参加しなければ、当選確率はゼロのままです。現実にIPOに当選している投資家は数多くいるわけですから、この手を逃す必要はありません。

「今、IPOはいい意味でバブルです。IPOマーケットには栄枯盛衰がありましたが、2005年や2006年のIPO黄金期に似ているような気がします」と語るのは、インターネットサイトで「やさしいIPO株のはじめ方」を運営しているライフパートナーズの竹内弘樹さん。

また、独自のIPO情報を全国の証券会社などに発信しているマーケット・ウォークの鮎川良さんは、「過去には1銘柄で数百万円儲かることもありましたが、現在は売買単位も100株、株価も小口化していることから、儲かっても数十万円がいいところ。それでも、ほぼ負けないのだから、抽選に申し込んで損はありません」とIPO投資のの勝率の高さに注目します。

上昇のキーワードは、ビッグデータやAI

今年は4月末までに32銘柄が株式市場にデビューしました。1銘柄が承認後に中止となりましたが、まずは順調な船出と言えそうです。IPOの醍醐味である公募価格から初値までの上昇率では、ビッグデータの解析・AI(人工知能)による情報提供事業のユーザーローカルが4・2倍超という驚異的なパフォーマンスで登場。これに続いたのが、年初の第1号として人気だったシャノン、ウェブを利用したヘルスケアサービスのインターネットインフィニティ、ラーメンチェーン「一風堂」運営と話題性が勝った力の源ホールディングスでした。一方、マクロミル、スシローグローバルホールディングス、LIXILビバの再上場組は、初値が公開価格割れと明暗が分かれました。事業内容と需給がポイントです。

取材・文●天野秀夫 イラスト●岩井勝之 データ協力●ライフパートナーズ

誰もが欲しがるIPO株は、 根気よくやれば意外と当たる

ここまでIPO投資の魅力について触れてきましたが、個人投資家の中には、一般の株式投資には参加せずにIPO株だけを根気よく狙っている人もいるそうです。ゲットするためのハードルは低くはありませんが、根気よくやれば意外と当たるともいわれています。

IPO株取得の極意は、複数の証券口座を徹底活用すること

「IPO投資で効率的な利益を上げようとするための基本は、やはり上場前の公募もしくは売り出しで株式をゲットして初値で売ることだと考えています」と竹内さん。

そのための第一歩は証券会社での「証券口座開設」です。株式投資なので当然なのですが、ここで注意しなくてはならないのがIPO特有の証券会社選びです。

IPO株の場合、上場にあたっては証券会社の幹事団が組織されて、その幹事証券がIPO企業から配分された株式を投資家に配分します。そのため、IPO企業の幹事実績が高い証券会社に口座を作ることが必要です。また、幹事団の中でも中心的な役割を果たす主幹事証券は最も株式の配分が多くなっています。

最近では、全国規模で投資家を募るために、ネット証券を幹事団に入れるケースが主流となってきました。国内大手証券が主幹事証券を占めてきた時期もありますが、ネット証券が主幹事を務めることも増えています。

ここでのポイントは、「IPO株はそれぞれの幹事の証券会社で抽選が受けられる」というルールです。すなわち、証券口座は1つではなく、複数の証券会社で開設しておき、IPOの抽選に参加すれば当選確率はグッと上がることになります。IPO株を効率よく手に入れたければ、まずは、口座開設から始めましょう。

新規上場のスケジュール情報は東証や専門のサイトで

さて、証券口座が開設できれば、次のステップはIPO株の情報を入手することです。相場環境にも左右されますが、年間でIPO企業は近年50社から100社程度が登場します。IPOの約1カ月前に東証などの取引所から正式に発表されます。東証のホームページや新聞報道などをこまめにチェックする必要がありますが、最近ではIPO関連サイトが多数立ち上がっていることから、自分に合ったサイトを選んでおくのもいいでしょう。 しょう。

具体的なIPO株の情報は、証券会社からは各IPO企業の目論見書(もくろみしょ) ベースでしか、上場までは情報提供できないことになっています。この目論見書などは、東証のホームページに発表と同時にPDFで開示されています

申し込みは仮条件の上限価格での参加が基本

IPOの抽選に具体的に参加するには、ブックビルディング期間(申込期間、需要調査期間)に証券会社に申し込み、抽選を待ちます。ブックビルディング期間の前に、参加するための価格「仮条件価格」が発表されます。たとえば、「800円から1000円」というものです。ただ、最近では高い上限価格で決定することがほとんどです。よほどのことがない限り、この上限価格で参加しましょう。

なお、当選したときに必要な購入資金をあらかじめ入金しておかないと抽選を受けられない証券会社が多いので、準備が必要です。これを「前受金」といいます。そして、抽選結果は証券会社によって通知の仕方がマチマチです。あらかじめ確認しておきましょう。幸運にも当選した場合、購入の意思表示を速やかに行なってください。これを行なわないと、当選が無効となるので注意してください。

運よくIPOに当選したら、初値売りが王道

そして、当選した場合、いよいよ利益を確定するための売却です。「IPO株の最も流動性が高い初値売りが基本」(竹内さん)、「IPOはかなりの確率で儲かるうえ、手数料は無料です。仮にIPOをゲットした場合には、基本的には初値売りが賢明」(鮎川さん)といわれます。

IPO株は上場当日にならないと、売り注文が出せない証券会社が多いので、当日の朝に売り注文を出します。ほとんどのIPO株は初値が公開価格を上回るので、当日のマーケットが始まる前に「成行」で売り注文を出しておくことが有効です。初値をつけて、その直後に上昇する銘柄もありますが、公開価格から大きく上昇して初値がついたIPO株であるほど、初値直後に急落するケースもあります。せっかく得た大きな利益を減らすことになることは回避しましょう。

もちろん、上場初日に必ず売らなければならないというルールはありません。あくまでも利益確定がしやすいのが上場日ということです。上場日以降も株価が上がるチャンスは当然あるので、株主優待などに魅力を感じた場合は、長く保有し続けるというのもひとつの手です。ただし、IPO時の株価にはプレミアがついていることが多いので、利益を一度確定(売却)して、株価が調整(下落)したところを改めて買い直す手もあります。人気のIPO株といえども、株価が上昇し続けることはありません。「利食い千人力」という相場格言通り、短期間で確実に利益を得ることがIPO投資の王道です。

人気化しやすいIPO株の特徴はコレ!

証券会社の口座を複数持ち、根気よく応募することがIPOの当選への近道です。さて、ここではIPO株の特性についても触れておきましょう。

「最近の状況を見てみると、AI、ビッグデータ、自動翻訳機(インバウンド)などに関連した銘柄が人気化しています」と鮎川さんは指摘します。

株式投資は成長株投資でもあり、こうした時流に乗った銘柄は人気化しやすくなっています。こうした企業が、東証マザーズ市場に多く登場することから、マザーズ銘柄人気がIPOで高まっています。

その一方で、鳥貴族や串カツ田中のように外食産業の銘柄もIPO人気が高まることが多々見受けられます。今年の場合は3月にマザーズに新規上場したラーメンチェーンの「一風堂」を展開する力の源ホールディングスがその好例です。公開価格600円に対して初値は2230円と約3・7倍でした。「外食産業では、店舗の増加が見込まれる場合、業績の成長イメージが描きやすいことがあります。さらに、株主優待制度を導入するところが多く、個人投資家の資金を引きつけやすいという特性があります」(証券専門紙記者)

一方で、不人気となりやすいIPO株にも特徴があります。「今年上場したマクロミルなど再上場案件の銘柄のパフォーマンスは低迷しています」(竹内さん)。大株主の投資ファンドの売りが出てくる銘柄で、市場から資金を吸収する額が大きな銘柄は敬遠されやすくなってしまいます。単純に言えば、上場規模が小型で、成長イメージが描きやすい事業を持つ銘柄というのが、初値が飛びやすい銘柄ということになるでしょう。ただし、こうした銘柄は、公開する株式数が少ないので当選確率もグッと低くなります。

人気IPO株のセカンダリー投資は特に慎重に

IPOの抽選にはずれてしまうと、思わず初値や上場直後に購入したくなります。これを「セカンダリー投資」といいます。しかし、「IPO人気銘柄は初値が公開価格から大きく飛んでしまうので、セカンダリー投資には不向きです。今年3月にIPOしたソレイジア・ファーマのようにバイオベンチャーで株価が低位な場合は需給相場での意外高がありましたが、これはレアケースです」と竹内さん。

また、鮎川さんは「セカンダリー投資は需給のみで成長性などはあまり重視されません。一昔前は板情報などで方向感がつかめたのですが、現在は高速売買によっていきなり値が飛ぶこともありますので、セカンダリー投資が難しくなっています」と言います。

このようにプロでもセカンダリー投資については、慎重さを求めています。IPO直後の銘柄の値動きは数分間で急伸、暴落することがあるので、腕に覚えがありリスクが取れる投資家以外は、参加に慎重になったほうが賢明です。

IPOの基礎用語

IPO(新規株式公開)

未上場企業が証券取引所に株式を上場させて、不特定多数の株主が自由に売買できるようになること。企業サイドとしては社会的信用度の向上、資金調達の多様化などのメリットが大きい。

上場承認

証券取引所が正式に新規上場企業として承認・発表すること。同時に、上場までのスケジュールが開示され、通常、上場承認から1カ月程度で上場する。

目論見書

有価証券の詳細を記載したもの。事業内容、沿革、株主構成、増資内容など、投資判断に必要な重要事項を説明した書類。上場まで、証券会社は顧客に対してこの目論見書しか営業ツールとして使えない。また、企業も上場までは基本的にこの目論見書ベースでの情報開示しかできない。

想定価格

新規発行株式の1株当たりの予定価格のことで、目論見書の中に記載される。この想定価格を基準に、仮条件価格が設定される。仮条件価格が発表される前に知っておけば、資金準備の参考になる。

ブックビルディング

「ブックビルディング方式」とも称され、一般的に「需要積み上げ方式」と説明される。引受証券会社が新規上場予定の企業の公開価格(公募価格、発行価格とも)を決定する方式。事前に仮条件価格が提示される。投資家はこのブックビルディング期間内に購入の意思を引受証券会社に提示する必要がある。通常は5営業日程度だが、上場規模によって10日以上となることもある。

仮条件価格

投資家がブックビルディングに参加する際の価格。上限価格から下限価格が示される。人気が高いときはブックビルディング期間中に上限価格が引き上げられるケースもある。逆に人気がないときは下限価格が引き下げられる場合もある。通常、仮条件価格の上限で公開価格が決定する。

公開価格

ブックビルディング(需要申告)で決定した最終公開価格。公募価格、発行価格と称されることもあるが、売り出しだけでIPOする企業もあり公開価格と称することが多い。この公開価格と公開株式(公募と売り出しの合算)を掛け合わせたものが株式市場からの「資金吸収額」となり、IPOの規模感のバロメーターとなる。

申込期間

通常は公開価格決定日の2営業日後に設定され、期間は4営業日が一般的。公開株式の引受投資家(IPO当選者)はこの期間に購入意思を示す。

払込期日

購入代金の払込日。事前に代金は証券会社に預けることが一般的。

受渡期日

投資家への正式な株式譲渡日。新規上場日でもある

引受幹事証券

IPOにあたっては、公募・売り出しを取り扱う証券会社。この幹事団の証券会社でないとIPO株は配分されない。事務幹事など中心となる証券会社を主幹事といい、取扱株式数も多くなる。大型上場ほど引受幹事数は多くなる。東証からは﹁元引受取引参加者等﹂と表現される。

オーバーアロットメント(OA)

IPOにあたって企業は、新株発行を伴う公募、大株主が持ち株を放出する売り出しなどが実施されるが、売り出しの予定数量のほかに、同一条件で追加的に売り出しを行なうことを「オーバーアロットメント(OA)」という。OAによる売り出しは、引受証券会社が、発行会社の株主から借り受けた株式を売却する形で実施される。

ロックアップ

IPO前の企業の既存株主が、上場後一定期間売却できない期間。創業者や親会社、ファンドなど大口所有者が対象となることがほとんど。90日、180日など、設定期間はマチマチ。また、初値が公開価格の1・5倍になると売却可能という﹁ロックアップ解除﹂条項が付く場合がある。大株主にこのロックアップがすべてにかかっている場合は、初値が高くなりやすい。

ベンチャーキャピタル(VC)

IPO企業が上場に向けて成長のための資金を借り入れる際に使う金融機関。ジャフコ、日本アジア投資など上場企業も。ロックアップがない場合、VCは上場後、速やかに株式を売るために需給悪要因として捉えられやすい。このVCが多く大株主にいる場合は、上場後の売り圧力が強いことを示している。

誰でも簡単にできる IPO攻略のテクニック 10

儲かる確率が高いIPO株を手に入れるために投資家たちはさまざまな努力や工夫をしています。﹁当たらないから﹂と何もせずに諦めずにまずは行動。日々の細かい努力こそがIPO株ゲットの近道なのです。IPOの攻略テクニックをまとめました。

テクニック1 複数の証券会社からIPOに申し込む

IPO株を公募段階で入手する第一歩は、やはり複数の証券会社に口座を開設して申し込むことです。口座開設にあたっての事務手続きは必要ですが、開設してしまえば管理料などの負担が無料のところがほとんどです。ネット証券だけでなく、幹事証券になる確率が高い対面証券会社も対象にして、それぞれの証券会社独自のサービスをチェックしておきましょう。

また、借名取引とならないように気をつけて、家族名義の口座を作ってIPOの抽選回数を増やす方法もあります。ちなみに、未成年でも親が口座を持っていれば口座を作れる証券会社もあります。

テクニック2 証券会社独自のサービスを利用する

IPOは証券会社にとって、ニューマネーや新規顧客を獲得するチャンスでもあります。そのため、各証券会社独自のサービスを展開しているほか、キャンペーンも数多く実施されています。

たとえば、マネックス証券はIPO取引実績が多く、「完全平等抽選制」を取り入れています。一方、SBI証券では「IPOチャレンジポイント」システムを導入。これはIPO申し込み1回ではずれると1ポイントが貯まり、これを続けて貯めて使いたいときにこのポイントを使うと当選期待が高まるというシステムです。また、SBI証券は入金額で抽選回数が増えるシステムも導入しています。楽天証券は通常の取引実績に応じて当選確率が変わる「ステージ制」を採用しています。お得意さま優先サービスといったところでしょうか。

また、大手証券の一角である大和証券ではIPOの当選確率をアップさせる「チャンス抽選」システムを採用しています。通常の抽選枠とは別に「チャンス抽選」を設定し、預かり資産が多ければ多いほど当選しやすくなる制度です。これに加えて、取引実績や大和証券株式の株主優待による「ダイワポイントプログラム」により、ポイントを貯めて抽選確率を引き上げる方法もあります。このように、証券会社では、各社各様のIPO関連サービスがあることを知っておくことは有用です。

テクニック3 IPO関連サイトで注目度チェック

基本的に証券会社からのIPOに関する情報は、目論見書ベースに限られています。

通常、上場の1カ月前にIPOは正式発表されますが、それ以降の相場状況を踏まえた情報を得ようとするとIPO関連サイトが有用です。初値予想や市場での人気度、銘柄の注目すべき視点などがあります。数多くのIPO関連サイトが立ち上がっていますが、例えば「IPOストライカーの投資ブログ!」はIPOの初値予想や人気分析のほか株主優待、上場企業の公募増資などの情報も扱っています。自分に合ったIPO関連サイトを探してみましょう。

テクニック4 NISA口座を活用して節税を

IPO株投資は公開価格から初値までのカイ離で利益を出すことが基本です。ただ、その利益については20%課税されます。たとえば、公募価格1000円(売買単位100株)が当選し10万円の投資金額として初値2000円で売ったとすると利益は10万円。この10万円にかかる税金は2万円です。しかし、普通の証券口座でなくNISA(少額投資非課税制度)口座に入れておけばこの税金は取られずに済みます。ただし、IPO株について、NISA口座を利用できるかどうかは証券会社ごとに異なるのでチェックが必要です。

テクニック5 あえて対面証券で申し込んでみる

ネット証券の取引口座だけでなく、IPO株の幹事証券をチェックし、そこに属する対面証券、特に中堅証券に口座を開設して申し込むのも一法です。証券会社別の当選競争率を見たときに、中堅証券の対面口座は当選確率が高まるケースが多いからです。また、営業マンと仲よくなれば証券会社の特別枠などで便宜を図ってもらえる可能性もあります。特に、大型IPOで複数の公開株を集めたいときに有効な手段となります。

テクニック6 S高連発を逃さない初値売りのポイント

幸運にも公開価格でIPOを手に入れることができた場合、最大のメリットは公開価格と初値のカイ離です。IPO投資では公開価格でゲットして初値で利益を確定させるのが基本ですが、初値後にストップ高(S高)を続けるケースも多く、この上昇気流に乗ってさらなる利益を追求できることもあります。

買い人気が高揚して上場初日に初値がつかずに持ち越しとなった場合、2日目からは即日現金預託規制(買い付け代金の即日徴収)が入ります。その場合、売買板情報がポイントです。初日の最終気配値での買い株数とIPO時の公開株式数を比較して、買い株式数の倍率が高いほど2日目以降の初値水準が高くなります。「買い株式数÷公開株式数」の倍率が2倍程度だと、上場翌日の前場で初値が形成される可能性があり、4倍以上だと2日目も値がつかず買い気配というケースが考えられます。ただ、注意を要するのはベンチャーキャピタル等のロックアップ解除の条件です。突然、大口売りが出て初値が形成され、そのショックで売り急ぎが始まるケースがあるので注意が必要です。

テクニック7 ベンチャーキャピタルの売りに注意

売って利益を出すことが仕事のベンチャーキャピタルや投資ファンドをチェックしましょう。投資ファンドの所有株式数、ロックアップの有無と解除の条件(「IPO基礎用語」参照)は必須です。まとまった株式を所有しているためIPO直後の商いが多い場面で、売却時は「ドカン!」と出てくるケースもあります。

テクニック8 注目IPOの大株主をチェック

IPO銘柄の初値形成と上場後のパフォーマンスに大きな影響を与えるのが、上場前の大株主構成です。大株主に上場企業がある場合、その企業の市場での人気度も上場後のパフォーマンスに影響します。また、銀行や事業法人などまとまった株式を持つ大株主が不在の場合は、需給面で基本的にはプラス材料です。

テクニック9 株主優待の有無はセカンダリーの重要案件

IPO投資にあたって、上場後に参加することを「セカンダリー」と表現します。そのセカンダリー投資のポイントのひとつに「株主優待」があります。株主優待の導入がかなりの確度で期待できる銘柄がIPO前に優待導入を明示していない場合、株価が低迷したときや直近の決算期前に導入を発表し、株価が飛ぶケースがあります。投資のタイミングは難しいですが、隠れた材料として注目できます。

テクニック10 セカンダリー投資の重要ポイント

上場前のブックビルディング時にIPO株を手に入れるのは至難の業です。前人気が高い銘柄となると"宝くじ"よりはマシな程度と皮肉られるほどです。そこで登場するのが「セカンダリー」です。

IPO株の上場直後は流動性が高く、値動きも軽いためです。しかし、公開価格から大きくカイ離した初値をつけた場面でセカンダリー参戦して、その後の急落に巻き込まれてしまっては元も子もありません。初値人気が異様に高まるIT系やバイオベンチャー銘柄は要注意です。

セカンダリーのポイントは需給と判断力です。内需系の自動車部品や住宅・建設関連銘柄に多いのですが、収益がしっかりしているのに初値人気が高くなく、今期業績予想が増収増益の銘柄がまずターゲットになります。さらに、大株主に投資ファンドが存在しない銘柄で、登場した前後のIPO株が人気化しているときと、極端にIPO株が少ないときが狙い目です。一方、IPO株の値動きは荒く、出来高も急減していく場合が多いので、下落し始めたら、損をしていても早めに降りたほうがいいでしょう。