ネットマネー 2017年7月号より一部を特別公開!

"リスクオフ"相場の真贋を見抜こう!

右も左も株には"リスク"ばかり?

全適正株価から超ハイスコア株を発掘せよ
トランプリスク、円高リスク、北朝鮮リスク、欧州の選挙リスク、そして「セル・イン・メイ」のジンクスもリスクに感じるが…、リスクオフの空気を演出しているだけかもしれない。本当のリスクオフとは…?

 新年度入り早々、日本株は今年も崩れました。日経平均株価は目前だった2万円からいったん遠ざかり、「日本株は割安だ」「米国経済が強いから大丈夫」と強気だった市場関係者もトーンダウン。リスク要因がこの時期に重なり、株価が下げるにつれて気持ちもふさぎますが……。ただ、〝リスクオフ〞現象が起こるケースは2種類あります。本当に投資家がリスクを避けている場合と、リスクを避けているふうに演出している場合。この見極めが大事です!

リスクだらけの新年度。想定外の地政学リスクも

岡村●日本株、4月はダメでしたね。毎日がリスク、リスクの連続で……。

暖田●米国のトランプ大統領のドル安志向と保護主義。これは以前からリスクといわれていたけどな。

涼川●米国の長期金利が2・6%台を明確な天井にしたのが痛いよ。米ドル/円も、昨年12月の高値と比べて10円も円高になっただろ。盛り上がりすぎたトランプラリーの後始末が根っこにあるね。

岡村●そこに、いろんなリスクオフ要因がタイミングを合わせて乗った感じでしたね。

涼川●昨年度末にかけては、森友学園問題から始まった政治不信。海外投資家は、世界中で日本ほど政権が安定した国はないとみていたらしいけどな。

岡村●この問題はモヤモヤしたままですが……、それどころじゃない新たなリスクに市場の目は向きましたね。

暖田●やっぱり今年もテールリスク(確率は低いが、発生した場合は市場に急変動をもたらすリスク)で混乱したね。今年はなんといっても地政学リスクだ。

涼川●トランプ大統領のシリア攻撃断行で、一気に北朝鮮リスクが高まったよね。

暖田●万が一を考えたとき、これほど恐ろしいと感じるリスクは今までなかったよな。平和的に解決することを願いたいけど、トランプ大統領が挑発を繰り返したから……。

涼川●株式市場の関係者まで、この時期〝にわか軍事評論家〞になっていた。感情的に最悪シナリオが語られるから、日本の投資家は不安になる。だから、北朝鮮関連のニュースが多い東京時間に下げるパターンがやたらと続いたんだ。

岡村●正直、北朝鮮有事になるなら、株やってる場合じゃないですもんね。防衛関連株を買ってる場合でもない。

株の売り方は2種類。カラ売りをどう見るか?

涼川●普通に考えればそうだよな。手持ちの株を売る投資家が殺到しそうだ。でも、そんな形跡は、特に見当たらなかったんだよ。

岡村●売買代金もすごく少なかったですもんね。

涼川●そう、いわゆるセリングクライマックス感(中長期の下落相場で、弱気の台頭から大量の売りが出て株価が暴落する最終局面のこと)はなかった。本当のリスクオフというのは、「現金が王様」という意識が広がる。株は不要だから、たとえばディフェンシブ株に避難するなんてこともない。でも、そんな感じではなかったんだ。

暖田●ご指摘の通り! 東証が毎日、カラ売り比率のデータを提供してる。これは、約定した売り注文に占めるカラ売りの比率のこと。このデータが4月に急上昇したんだ。たとえば4月6日の45・3%は今年最高。歴代2位という高い数字だったんだ。考えてみてくれよ、約定分の半分くらいカラ売りだったんだぜ。これって、リスクオフっていえる? ちなみに、カラ売り比率のデータの約8割はヘッジファンドのカラ売りね。

岡村●わざわざ株券を借りて、下落を取りにいこうとしてるわけですもんね。しかも、ヘッジファンド。儲けることだけ狙ってるとすれば……、ある意味リスクオンですね?

暖田●いい表現だね。ある意味というより、まさにリスクオン。日本が不安になっていることを熟知した行動だ。

涼川●たとえば、これから6月に入るだろ。6月の日経平均株価の勝率は、この10年では5割。でも、昨年の6月に急落したから、日本人は今年も下がりそうだと身構えやすい。そういう心理を狙って、空売りが仕掛けられるかもしれない。カラ売り比率を確認しながら、リスクオフの真贋を見抜くことが大事なんだ。

暖田●カラ売りで下げた相場は、あっという間に戻る。買い戻さなくてはいけないからね。投機が演出したリスクオフ相場に振り回されず、人間らしい目線で動きたいもんだな。「トヨタ自動車のPBR(株価純資産倍率)1倍割れは安すぎないか?」とかさ。

岡村●うそくさいリスクオフ相場は、実はチャンスということですね。とはいえ、米国の大統領のうそくささが一番の問題のような気がしますが……。