ネットマネー 2017年7月号より一部を特別公開!

日本は相場を追いかける投資家ばかり

多くの投資家は、あれやこれやと買えない理由を並べている。トランプ大統領の政治姿勢が見えないとか、地政学リスクがあるとか、EU(欧州連合)の選挙がどう転がるかわからないとか、不透明要素が多すぎるからなかなか買いを入れられないという。
むしろ、保有株を売って現金ポジションを高めておくほうが賢明ということなんだろう。なんともだらしない投資家ばかり。だらしがないのは一般の投資家に限らず、運用のプロとかを自任する機関投資家も同じこと。
日本は、こういった中途半端な投資家ばかりと言っていい。だが、それがどれほどリスクが大きいことかを検討してみよう。

日和見の投資家にはつける薬はない。だから放っておこう

よく株式投資は難しい、リスクが大きいといわれる。それは、日本の投資家が相場というものを相手に「儲けよう」「値ザヤを抜いてやろう」とするからだ。かなわぬ努力を重ねているだけである。

かなわぬ努力?そもそも相場なんてものは、買う人が多くなれば上がるし、売りが集中すれば下がるだけのこと。
買う人はというと、株価など相場が上向いていて「ここで飛び乗り買いすれば、儲かりそう」と思えるから、ガンガンに買い群がっているだけのこと。

彼らにしてみれば、株価が上がっているから買おうとするわけで、それ以外の買い理由はない。だから、株価が下げに転じたり長期低迷していたりすると、もう買うどころではない。身動きもとれず、ただ様子見に徹するだけとなる。
要するに、相場を後追いする投資を延々と続けている。

投資の前に、株価など相場の上値を追う動きを確認する、それが日本の投資家の基本的タイプなのだ。

そういった日和見もいいところの投資家が星の数ほど集まって、相場が時々刻々と形成されるのだ。

日本株市場では皆が皆、相場の上向きトレンドを待ち望みながらも、ひたすら様子を見るだけ。誰一人として自分から動かないから、低迷相場がずっと続く展開となる。そして、外資系証券などが買いでも売りでも仕掛けてきたら、慌ててそれに同調しようとするわけだ。

まあ、そういった日和見の投資家につける薬はないから、放っておこう。だが、そんな彼らにも存在価値は十分にある。
たとえば、上昇相場を後から後からどんどん買ってきてくれるから、われわれ長期投資家にとっては利益確定のチャンスを大きく広げてくれれる、実にありがたい存在ではあるのだ。

われわれ長期投資家は相場に飛び込んで、値ザヤを抜くことはない

相場なんて、どこでどういう展開となるかの定まりがなく、方向もコロコロと変わるもの。そういった変転極まりない相場を相手に値ザヤを抜いて稼ごうとするのは、途方もなく難しい挑戦である。

ところが、相場の上下変動を見ていると、「ここで買って、ここで売れば儲かる」と思えてくるのも事実である。それで、「ここで買わなかったら、いつ買うのだ」という思いに駆られて、相場に飛び込んでいくのがお決まりのパターンなのだ。

飛び込んだものの、自分の飛び込みも相場変動の一要因となって相場を動かしてしまうことになる。

そしてまた、次の瞬間に相場の方向が変わってしまうこともよくある展開だ。パパッと値ザヤが抜けると思いきや、ドロドロとした相場展開の中に引きずり込まれて、にっちもさっちもいかなくなってしまう。これが、かなわぬ努力である。

よくよく考えたらわかるが、相場を相手に勝負を挑むのは、おそろしくリスクの高い賭けとなる。それでも皆、相場に引きずり込まれていくのも確かだ。「相場の魔力」と言っていいだろう。

われわれ長期投資家はそもそもからして違う。相場に飛び込んでいって、値ザヤを抜こうなどとはしない。相場とは常につかず離れずの距離感を保ち、安ければ買いに行くし、高くなったら売るというリズムを大事にする。

このときターゲットとするのは、株価ではなく、企業の将来価値である。将来に向けて投資価値が高まっていくであろう企業を、まず選別しておく。

将来的に価値あるものを安く買って高く売る。これが投資の王道

将来的に価値が高まっていくのだから、本来はどこで買ってもいいはずである。ただ、せっかくなら大きく下げているところで買ったほうが投資効率は高いだろう。
そう考えるから、われわれ長期投資家は暴落相場や株価の長期低迷時に、ご機嫌の買いを入れるわけだ。

これは、一般の投資家が逆立ちしてもできない行動である。彼らは儲かりそうなタイミングで買おうとするから、相場が上向いてこなくては買いに入ることができない。暴落相場や長期低迷相場を買いに行くなんて、彼らには絶対にできない行動なのだ。

機関投資家も似たり寄ったりである。暴落相場や長期低迷相場を買いに行っても、いつ上がるか知れたものではない。それでは、年金などの投資家顧客に説明がつかない。
「どうして、こんな下げ相場で買ったのか」と叱声を浴びることにもなりかねない。

われわれ長期投資家からすると、せっかくの安値を買えないなんてお気の毒の一言である。それもこれも、相場を相手にしようなんて考えてないから気楽に言えること。

繰り返すが、上へも下へもどうにでも転がっていく相場を相手にするのは至難の業。そんなところに、大事な虎の子を賭けるなど、博打もいいところである。

投資家が頼りにすべきは、その投資対象の将来価値である。将来価値が高まっていくと思われる企業の株式なら、暴落相場で買っておかない理由はない。

価値あるものを安く買って、高くなるのを楽しみに待つ。これぞ投資の王道である。