ネットマネー 2017年7月号より一部を特別公開!

「まるでバブルでは?」と言われるほど、株主優待株がブーム化している。それに伴って、「つなぎ売り」を行なう投資家が急増中。その結果、思わぬ誤算が生じていることが今回のランキングで明らかに!

権利付き最終日直前の「つなぎ売り」の殺到で「逆日歩」が発生!

今までにも増して株主優待が人気を博しています。ちょうど2017年3月期決算の結果が出そろった頃合いで、この期の優待をもらう権利を得た人も少なくないはず。
その権利が得られる最終日を過ぎると株価が下落することから、信用取引で「つなぎ売り」を行なう人も増えています。

保有中の優待銘柄の株価下落をヘッジ(回避)する目的で、同じ銘柄に信用売り(カラ売り)を仕掛けるのが「つなぎ売り」です。
ただ、その際に注意したいのが「逆日歩」と呼ばれるコスト。株主優待人気の過熱とともに権利確定日の直前につなぎ売りが集中し、このコストが発生しやすくなっているのです。

信用売りを希望する投資家が殺到し、証券金融会社において貸株のストックが底を突いた場合に生じるのが逆日歩。証券金融会社は株券の不足分を機関投資家から調達することになり、相応のコストがかかります。
そこで、その銘柄に信用売りを仕掛けている投資家に逆日歩として負担してもらうわけです。

これが意外と軽視できないコストで、たとえば1日1円で1,000株の売り建てなら、1日に1,000円の負担になるうえ、土日や祝日にもかかってきます。
優待の権利を手に入れ、株価下落リスクもヘッジできたと高をくくっていると、実は逆日歩という大きな出費で損をしていたというパターンがありうるわけです。

そこで、今回は3月末権利確定の優待株で、逆日歩の負担が重くのしかかった株をランキングしてみました。今年3月28日(権利付き最終日)の終値に対し、逆日歩が占めるウエートが高かった銘柄を上位から並べたものが下表です。

その1位となったのは、ゲーム施設の運営や不動産事業などを手がけるアドアーズで、逆日歩のウエートが突出して高くなっていました。
1単元(最低売買単位)100株の保有で、「逆日歩」の負担は1日当たり2,400円。株主優待を得るには35単元必要ですから、8万4,00円のコストを払いながら、提携先のサロンチケット2枚を手に入れる形になっていたわけです。

信用倍率が1倍割れの優待銘柄にはイエローカードが!

2位の中央魚類についても、驚くべき状況が判明します。同銘柄の1単元は1,000株なので、1日につき2万3,400円の逆日歩を払いながら、3,500円相当の水産物をもらう権利を得ているわけです。
3位の神戸電鉄も1単元が1,000株なので、逆日歩は1日当たり2万4,000円になります。

4位以下の銘柄についても、逆日歩の負担が相当なものであったといえます。しかも、外食を中心に人気を誇る優待株が名を連ねているのです。
とことんブーム化して、つなぎ売りを仕掛ける投資家が急増していたことを象徴している現象といえそうです。

実際、信用残の動きを見ても、その状況を確認できます。下の2つのグラフは、ランキング1位のアドアーズと3位の神戸電鉄における信用残の推移です。
青線の下降は貸株の増加を意味しており、3月28日に急増しているのが一目瞭然となっています。

こうした逆日歩という落とし穴に落ちないためにも、つなぎ売りを行なう前に「信用倍率」を確認しておくべきでしょう。
1倍以下になっているものは、すでにイエローカードの判定が出ているといえます。その場合は、素直に現物株だけを保有しておくほうが無難です。

もちろん、「一般信用取引」では逆日歩が発生しませんが、信用売りを行なえない銘柄も多いので、なかなか都合よく事が運びません。
信用倍率1倍割れの銘柄に対しては、むしろ信用買いを仕掛けておいたほうが得策かも?
なぜなら、こちらは逆日歩分を受け取れるからです。

このランキングの結論
① 人気の優待銘柄は、権利付き最終日に「逆日歩」が発生しやすい。
② 信用倍率1倍割れの銘柄は、「つなぎ売り」を避けるのが無難。
③ 信用倍率1倍割れの銘柄は、信用買いで「逆日歩」をもらう手も。