ネットマネー 2017年7月号より一部を特別公開!

今月の注目点 毎月分配型投信は基準価額が下がっていないかに注目

投資信託は投資先や基準価額、純資産総額、騰落率など、項目が多数存在する。
そこで、このページでは多数ある投信の中から旬なテーマを選択して、ランキング形式で紹介していく。
今月は毎月分配型投信などの最新事情を探ってみよう。

教えてくれたのは、楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田尚子さん
慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品。

地政学リスクが収まり円安基調に。投信の分配金とは?

2017年4月の世界の株式市場は、フランス大統領選挙の第1回投票の結果が好感されたほか、米国の企業業績の回復への期待感が高まり、米国を中心に上昇した地域が目立ちました。

また、月末には北朝鮮情勢を巡る過度な不安感がいったん後退したため、これまでリスク回避で買われてきた円が売られたことで円安が進みました。

こうしたなか、年12回決算を行なう、いわゆる「毎月分配型」の投資信託について、3月の月間純流入合計額が大きかった順に並べてみたところ、債券、株式、リート、バランスと、多岐に渡る資産タイプが名を連ねたことがわかりました。

投資信託の分配金は、決算を迎えるまでファンドの資産と一緒に運用されています。
決算日にこの運用資産の一部を切り出す形で分配金が支払われるため、決算の直後は分配金の相当分だけ資産価値が減ることになり、基準価額も低下します。

各ファンドの最終的な分配額は、投資信託の運用を担う運用会社(投信委託会社)が決定します。
多くの収益源を持っているからと言って必ずしも高い分配金が保証されているわけではないという点には注意が必要です。

無理に分配金をやりくりして出すと基準価額は下がる

通常、運用会社のホームページなどでは、分配金の再投資後の基準価額の騰落率が運用成績として公表されていますが、元本の状態を確認するためには、基準価額そのものの値動きを見る必要があります。

分配金が順調に支払われていても、基準価額がじりじりと下がり続けていては元本が目減りする一方です。
3位にランクインした「みずほUSハイイールドオープンBコース(為替ヘッジなし)」など、直近で一部のファンドの分配金が引き下げられているのは、分配金を純資産に留保し、基準価額の回復を促すためと考えられます。

分配金の引き下げは、「本当に分配金が必要なのか」「過度にリスクを取っていないか」など、投資家に対してさまざまなメッセージを投げかけています。
投資方針だけでなく、分配方針にも目を配ることが重要です。

インデックス型は信託報酬の低さが運用成績のよさにつながる

インデックス連動型の投資信託(ブル・ベア、SMA/ラップ、確定拠出年金専用ファンドを除く)を抽出し、3月の月間純流入額が大きかった順に下表に並べてみたところ、日経平均株価に連動するタイプが計4本、東証リート指数に連動するタイプが計3本と、国内資産を投資対象とするファンドのランクインが目立ちました。

ベンチマークとして掲げられた指数と同じ運用成果を目指すインデックスファンドは、アクティブファンドのように銘柄選定に伴う調査費用を必要としません。機械的に運用できるため、信託報酬を比較的低く抑えることができるのです。

なお、信託報酬を含む投資信託の保有期間コストは基準価額から控除されるため、ベンチマークと基準価額の値動きを完全に一致させることは難しいのが実態です。

信託報酬率の値だけを見ると小数点以下のわずかな差のように思えますが、保有期間が長期になればなるほどファンド間の運用成績に開きが生じます。

つまり、運用方針に大きな差がないインデックスファンドの場合、「運用成績の差≒信託報酬の差」という図式が成り立ちます。
そのため、信託報酬率の低いファンドほど中長期で見ると相対的に良好な成績を収めるという傾向にあります。

投信耳寄り情報

10年超の運用実績がある投信は1・3以外は軟調

10年超の運用実績のあるファンドを過去1年間の騰落率が高かった順に並べ替えたところ、「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」が首位に立ちました。このファンドは、日本のテクノロジ関連企業を主要投資対象とするアクティブファンドで、ジャスダックや東証マザーズなどの新興市場銘柄にも投資を行なう点がポイントです。入念な銘柄選定が功を奏し、ベンチマークであるTOPIXを大幅に上回る良好な成績を収めています。

ただし、3月の月間純流入額がプラスだったのは、1位の「JPMジャパン・テクノロジー」と、3位の「J-Stockアクティブ・オープン」のみ。運用成績のよさが必ずしもファンドの人気にはつながっていないようです。