ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

株を始めたはいいけど、いつまでたっても儲けることができない。または、ちょっと儲けては調子に乗ってドカンとやられてしまう。
こんな悩みを抱えている「株ド素人」は少なくないはず。まずは株の知識を詰め込むことより、最低限押さえておきたいポイントと儲けのコツをしっかりと叩き込むことが大切なのです。

目指す投資スタイルで銘柄選びはここまで変わる

どんな投資を目指すのかが、明確になっているか

「売ったら上がるし、買ったら下がる」―、投資家なら誰しもこんな経験があるはずです。銘柄選びに問題があるのか、売買手法に欠陥があるのか原因はさまざまですが、話を聞いてみると、投資スタイルが確立されていないケースが多いことに気づきます。

また、自分では確立できていると思っても、含み損などが膨らむと自分の決めたルールから脱線していませんか? この特集では、目指す投資スタイルを見直し、株の上級者にステップアップするためのヒントをご紹介します。

まず、株式投資での儲け方は2つに大別できます。株価の値上がり益を追求する「キャピタルゲイン」狙い。もうひとつが配当や株主優待をメインとする「インカムゲイン」狙いです。この2種類では、そもそも投資方法は大きく変わってきます。銘柄選定にあたっては、基本は好業績銘柄重視という共通点はありますが、キャピタルゲインの場合は、時として業績よりも需給、相場の流れである「地合い」や時流に視点を置かなければならないときがあります。

一般的に、時価総額の小さい銘柄のほうが値動きは軽く、株価の変動率が高まりやすいことになります。東証1部よりもジャスダックやマザーズといった新興市場銘柄のほうが、短期間で株価が高騰しやすいのです。ただし、株価の上昇が速い一方で、下落スピードはそれ以上となります。

また、目指す投資期間によっても銘柄選定の傾向は変わります。短期間で利益を稼ごうとすれば、値動きの軽い小型株、もしくは投資金額が大きな値ガサ株での値幅取り狙いになります。いわゆるハイリスク・ハイリターン型です。

一方、数カ月から1年という投資期間でじっくり投資をしたいという人なら、キャピタルゲインこそ小幅ですが、配当や株主優待などのインカムゲインで"実を取る"投資手法があります。この場合は、おのずと株価の動きが緩やかな、それなりの時価総額の銘柄に投資することになります。つまり、ローリスク・ローリターン型というわけです。

このように投資スタイルの方針が確立されれば、あとは成長株投資で夢をつかむか、割安株投資で手堅く稼ぐか、配当や株主優待のインカムゲインでより手堅い"実"を取るかを選ぶことになります。

一例ですが、「株主優待、新興市場、中長期、インカムゲイン狙い」の投資スタイルに視点を置くと、比較的手厚い優待のあるジャスダックやマザーズの外食企業で、店舗網が全国規模でなく出店拡大余地が大きい(業績が成長しやすい)、月次売り上げデータを開示している(成長スピードをチェックできる)銘柄への投資が有効となってきます。

上場したての銘柄は、売り圧力も弱く、可能性を内包している

一方、キャピタルゲイン狙いのひとつとしては、「事業に高成長期待があり、社歴が短い企業」がひとつのヒントになります。社歴が短いと一般的に株主も少なく、需給的なシコリ(戻り売り)圧力も弱く、相場自体が新鮮という魅力があります。これを内包しているのがIPO(新規株式公開)銘柄です。

さらに、銘柄選定にあたっては、株式市場における銘柄の位置も投資の判断材料になります。「IPO↓市場人気(成長性とIR〈投資家向け情報提供〉への姿勢)分析↓株式分割など最初の株主還元↓東証1部指定↓各種株価指数構成銘柄への採用↓日経225への採用」という流れがあり、どこで投資するかもポイント。この流れのどのステージにあるかで、キャピタルゲインもインカムゲインもかなり変わってきます。

投資スタイルの確立や銘柄選定以外に投資環境を見直すこともポイントです。中長期投資ならばNISA(44ページのコラム参照)を利用するのがベターです。株式の各種情報を得られるネット証券、信頼できるネットサイトの選択もあるでしょう。また、時にはETFなどを活用してリスクヘッジを行なうことも必要かもしれません。

"投資の神様"と称される米国のウォーレン・バフェット氏は「自分の理解できない事業には投資しない」という投資スタイルを貫いています。彼は現在86歳。株式投資には定年は存在しないのです。

味方につけるか逆手に取るか!?

株式投資は相場の流れがとても重要です。ただ、その流れを味方につけて素早く儲けるのか、逆手に取ってじっくりと狙うのかで投資手法は大きく異なります。
ここでもまずは投資スタンスを明確にし、それぞれに適した銘柄の発掘方法を考えていきましょう。ここを間違えると、いつまでたっても勝ち組にはなれません

味方につける

相場の流れをキャッチして短期売買で儲ける

株式市場におけるさまざまな流れの変化を「地合い」と表現します。「地合いに乗る」ことは株式投資の世界では成功の近道です。地合いを味方につける投資スタイルは短期売買向きともいえます。その第一歩は、的確な相場情報の入手であることに間違いはありません。

新聞や『会社四季報』、マネー誌や証券専門紙、ネット上の株式サイトなど情報の入手先は数多くありますが、アクティブな情報の代表格は企業発表で、東証のホームページなどから無料でチェックできる「適時開示情報閲覧サービス」があります。ここは株価へのインパクトが大きい業績修正や株式分割、自社株買い情報の宝庫です。特に、3月期決算企業の四半期決算にあたる、3月・6月・9月・12月の翌月最終週から約3週間が決算発表シーズンとなるので、この時期は決算発表に一喜一憂する「業績相場」が地合いを形成します。

たとえば、半導体製造装置のA社が好業績で人気化したら、類似対象企業のB社、大株主のC社、取引先のD社がそれぞれメリットを享受するといった思惑から、物色人気の輪が広がり、相場の流れができます。

物色テーマの中心となる銘柄の人気度、経済インパクト、関連銘柄の多さなどで人気の寿命が変わってきます。「電気自動車」「自動運転」など自動車絡みの物色テーマは世界的なものなのでビッグテーマとなるわけです。こうした地合いに沿った中心銘柄と関連銘柄を素早く探し出しましょう。そして、基本スタンスは順張り投資ですが、物色テーマは人気の浮沈や寿命があるので利益確定売りもアクティブに行なうことが必要です。

地合いは、時として業績を無視することもあります。業績は投資の基本ですが、それだけでは相場には勝てません。業績に難があったからこそ、人気薄だった銘柄が"異彩高"に発展することはよくあります。これが需給相場で、相場を味方につけるということは、「需給相場を知って勝つ」ということでもあります。

昨年来人気化している相場テーマの「自動車自動運転」。昨年はZMPというベンチャー企業のIPO観測から関連銘柄が人気化していました。しかし、ZMPのIPO延期の発表で物色人気はいったん途切れました。ところが、5月29日にドイツの自動車部品大手のボッシュとソニーのグループ企業が自動運転分野で技術提携するというニュースも飛び出しています。自動車自動運転という地合いは、まだ生きているようです。

相場の流れを利用した銘柄選択の極意

逆手に取る

誰も見向きもしない割安な時期に買い、上昇をじっくり待つ

「人の行く裏に道あり花の山」という相場格言があります。多くの人が花見酒に酔っている場所はすでにゴミの山。むしろ、裏道にこそ隠れた花があるという意味からきています。相場的には「人気に同調せずに、独自の道を歩め」ということになります。

相場の流れを逆手に取るという投資スタンスは、中長期投資に向いています。最もポピュラーなのは、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、配当利回りなどの株価指標をベースに割安株を選別して投資。株価の値上がりをじっくり待つという「先回り買い」です。チャートから銘柄を選別する手法もこれに通じるところがあります。投資のタイミングとして、全体相場の方向性も読む必要があるでしょう。選別眼、分析能力が必要ですが、各種株価指標はネット上のサイトですぐに確認できることから、昔ほど難しくはありません。

銘柄選別のうえで注意することは2つあります。1つ目は直近で人気化した銘柄は避けること。同業他社との比較で割安だと思っても需給にシコリがあっては、戻り売り待ちにつぶされてしまいます。人気化したバイオベンチャー株や低位株などによくありがちです。また、せっかく安値圏で仕込んだにもかかわらず、全般安にツレ安したところで慌てて売ってしまい、その後すぐに株価が戻ってしまったというケースもよくあります。目先の値動きにとらわれずに、どっしりと構える忍耐を持ちたいところです。それだけに、保有期間が長くなりがちなので、業績面で不安のある銘柄は避けましょう。業績が芳しくない銘柄は下げからの戻りが鈍いためです。

さて、具体的には、決算発表や株主優待、配当権利確定月の時期が参考になります。株主優待や配当狙いは直前では株価が上昇してしまっています。むしろ、権利落ちの日や全体相場の急落時に「果敢に仕込む」ことが有効です。

業績は発表前がポイントです。最近では企業のホームページで決算発表日や会社説明会開催日など「IRスケジュール」を開示している企業が増えています。さらに、過去のスケジュールを見て「この企業はこの時期に増額修正を発表している」という企業の開示のクセを調べておくことは意外と有効です。このほか、月次売上高速報などを発表している企業も「待ち伏せ買い」をしやすい銘柄といえます。

相場を逆手に取った投資スタイルでは、目標イベントを持つ企業で業績不安が小さい銘柄をピックアップすることが勝利の近道となりそうです。