ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

理由はともあれ「利益」は最高。でも一番の収穫は・・・外国人の売りが止まったこと

予想EPS(1株当たり利益)が過去最高になったからといって、過去最高値をつけるわけではない日経平均株価。
業績を反映できるかどうかも、結局は外国人次第のようで…。

"過去最高!"の落とし穴、知っておくべき本質は?

岡村●日経平均株価の予想EPSが過去最高になったようですね?
涼川●3月期決算企業のほぼすべての業積予想が反映された5月16日に計算すると、予想EPSは1392・99円になった。
岡村●そもそも、1300円台が初めてですよね。日経平均株価のPER(株価収益率)が何倍か、という着眼点は多くの市場参加者が持っています。分母のEPSが大きく上昇したことで、日本株は割安化したといえますね。
涼川●そういう解説が好きな人いるよね。EPSを約1400円として、それに15倍を掛けたら2万1000円だ!とか、控えめに14倍でも1万9600円だとか。
岡村●まあ、この程度の簡単な計算で株価が決まるとはとうてい思えませんけど(笑)。
暖田●それに、突っ込みどころもあるんだよな~、今回のEPSは。5月16日は、この日1日だけでEPSが63円も上がってるだろ?
岡村●確かに、ありえない増え方ですよね。
暖田●これにはカラクリがあるんだ。日経平均の採用銘柄数は225だけど、前期実績の純利益を合計すると22兆円。一方で、今期予想を合計(未定の会社は日経予想を採用)すると23・7兆円だから、1・7兆円の増益なんだよね。そのうち、1銘柄で1兆円も押し上げてる銘柄があるんだよ。
岡村●それって、東芝じゃないですか?
暖田●正解! まだ監査法人の承認を得ていない段階で会社が出した前期実績が9500億円の赤字。そして、今期予想が500億円の黒字だから「1兆円の増益」となる。
岡村●東芝だけで日経平均全体の増益分を約6割押し上げちゃってるわけですね。
涼川●しかも、東芝は債務超過で東証2部に降格するよね。ということは、近い将来、日経平均採用銘柄ではなくなる。そう考えても、今回のEPSは"幻"って感じだな。
暖田●それ以外の日経平均の増益要因となっている企業も、赤字から黒字に転換予想の日本郵船が2707億円増、三菱自動車が2665億円増。この3社でほとんど説明がつくんだけど、この3社の日経平均構成ウエートはたった0・1%。日経平均の予想EPSの上昇で株価を考えることの意味って、ほとんどないことがわかるでしょ?
岡村●確かにそうですね。逆に減益要因になる銘柄は?
暖田●こっちはソフトバンクグループのほか、トヨタ自動車、ホンダ。こっちのほうが心配だよな。

業績より大事なのは結局「需給」?

岡村●業績だけで決めつけないほうがよさそうですね。
涼川●結局、業績を判断材料にして大きな資金を動かす投資家がどれほどいるのかを知るべきだよね。
岡村●今の巨大投資家は、日経平均やTOPIX(東証株価指数)といった指数そのものを売買している場合が多いですもんね。
涼川●その通り。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だって、ETF(上場投信)を大量に買っている日銀だってそう。もちろん、先物を売買する海外のヘッジファンドだって売買しているのは指数。結果的に、こういった大口参加者がどう動いたかで全体の方向性が決まる傾向が強すぎるんだよ。
岡村●それは毎日感じるところですね。日本の経済や企業業績で動くというよりは、リスクオン・オフのスイッチ切り替えで価格が決まっています。
涼川●その切り替えに影響を与えるのは、売買シェア7割強の外国人投資家。外国人が日本株を買ってくれるか、売ってくるかで決まってしまう。これを踏まえていえる最大の収穫は、日経平均の予想EPSが過去最高になったことではないと断言できる。
岡村●収穫は外国人が買いに回ってきたことですか?
涼川●そう! 2月、3月と続いた月間の外国人の売り越し(現物と先物の合算)が、やっと4月に買い越しになった。これは5月に入っても続いたんだ。
岡村●売った分を買い戻している、もしくは落としすぎた日本株のウエートを戻そうという動きが出てきているわけですね。
涼川●3月に大きく売りすぎた反動がどこまで続くかはわからないけど、少なくとも外国人の売りが止まったことは朗報ってことだ!
暖田●5月に入ると、ゴールドマン・サックスがTOPIX先物を大量に買い越していた。日本株のウエートを下げすぎていた顧客がいて、急いで日本株を買い始めたことの裏づけだよ。
岡村●寂しい話ですけど外国人次第ってわけで、株は結局"地合い次第"ですね。