ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

FANGという銘柄群が米国株式相場で“牙"をむいている。
FANGの時価総額を加重平均して1つの指数としてみると、過去1年間で34%も上昇した。
年初来だけでも28%高。この好調なFANGを長引く超低金利政策の“あだ花"と解釈するべきか、投資家の消去法的な選択とみるべきか…。

米国の「FANG」なる銘柄群をご存じだろうか?

米国を代表するIT(情報技術)業界の大型株だ。

具体的にはSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)大手のフェイスブック、電子商取引大手のアマゾン・ドット・コム、有料動画配信最大手のネットフリックス、ネット検索のアルファベット(旧グーグル)の4銘柄を指す。FANGは英語で"牙"という意味なのだが、この4銘柄の頭文字を合わせるとFANGになるわけだ。

そのFANGが米国株式相場で“牙“をむいている。FANGの時価総額を加重平均して1つの指数としてみると、過去1年間で34%も上昇した。年初来だけでも28%高だ。

米国の大企業500社の時価総額を加重平均したS&P500種だと、過去1年間で15%高。年初来7%でも高なので、FANGの勢いの強さが際立っている。

FANGが人気の理由はいくつかある。まずは、最新の株価テーマ性。

フェイスブックは他人と分かち合う「シェアリングエコノミー」、ネットフリックスとアルファベットは「ビッグデータ」、スピーカー型の音声アシスタント端末「エコー」を売り出したアマゾンは「AI(人口知能)」。いずれも、次世代ビジネスの最先端を担うキーワードである。

そして、成長が著しい。FANG構成銘柄の過去5年の平均増収率を見てみると、フェイスブック49%、アマゾン22%、ネットフリックス23%、アルファベットで19%。小型株のような伸びだ。

需給もいい。機関投資家が買っているのである。「グロース」と呼ばれる成長銘柄として捉える投資家もいれば、ヘッジファンドのように「モメンタム(勢い)」投資の一環として買う向きもいる。

昨年11月の米国大統領選挙でトランプ氏が勝利すると、株式市場でエネルギーや金融といった「オールドエコノミー」の企業が買われる場面があったが、米国経済の潜在成長率はせいぜい2%台半ば。「オールドエコノミー」銘柄の材料は規制緩和や減税にすぎない。投資家にとってFANGのほうが夢がある。

ただ、FANGには難点がある。

「先行投資重視・利益後回し」で、将来の現金収支を現在価値に割り引くDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)といった保守本流のバリュエーション投資手法だと説明がつかない面がある。

最たるはアマゾンとネットフリックスだ。計算式の詳細は避けるが、売り上げの成長と引き換えに巨額の設備投資が必要な両社なのだが、今の株価を正当化するためには、今後も現在のような成長を続けていくことが前提となる。しかし、成長率や利ザヤの予想に他社との競争や市場飽和といった現実が反映されていない。ばら色の“物語“で株高している格好だ。

好調なFANGを長引く超低金利政策の“あだ花“と解釈するべきか、投資家の消去法的な選択とみるべきか。いずれにせよ、現在の米国株式市場を象徴する事象である。

撮影●村越将浩