ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

トランプ大統領が就任して、100日が過ぎた。過激な発言と、政治や外交経験がまったくないなど、異例の最高権力者である。世界は固唾(かたず)をのんで大統領の就任100日間を見守ってきたが、その評価がそろりそろりと出始めている。それが株式市場をはじめ、マーケットで荒れ模様の兆候として表れている。また、やっかいなことにトランプ氏とマスコミは犬猿の仲。これが、マーケットを荒らす要因に拍車をかけているのだ。マスコミはトランプ大統領の追い落としに牙をむきつつある。

荒れ模様のマーケットでチャンス到来

荒れ模様のマーケット、とりわけ株式市場にどう対処していくか

5月に入り、トランプ政権によるロシアへの機密漏洩問題「ロシアゲート」の波紋が広がり始めている。マスコミはもちろんのこと、民主党なども事実追求に動きだした。気の早い向きは、ニクソン大統領と同様、弾劾をめざし、辞任にまで追い込んだウォーターゲート事件をも連想している。時事ネタを並べるのは、ほかへ譲るとしよう。われわれ長期投資家は、荒れ模様のマーケット、とりわけ株式市場にどう対処していくかだ。

今後、株式市場にも悪材料が飛び込んできて、大きく下げる展開を頻繁に見ることにもなるだろう。そのたびに専門家の間で、株価はこれまで買われすぎてきたという見解が発せられるのは想像に難くない。つまり、株価は下がるべくして下げ始めたと、彼らは主張するだろう。

荒れ模様のマーケットで、そういった発言は効き目がある。動揺している投資家たちに、早く売ったほうが賢いぞと思わせるからだ。それが株価の下げをさらに加速させることにつながっていくのである。

一方、買い材料はなかなか出てこない。なにしろ、トランプ大統領の一挙一動に疑問符がつき始めている。疑問符がつくということは、マーケットにおいてマイナス要因でしかない。となると、経済指標などでよほどの好材料が出てこない限り、市場での買いはなかなか入らない。むしろ、マーケットはどんどん警戒気味となっていくことになる。

そこで気をつけなければならないのは、株価全般がズルズルと下げていってしまうかだ。だらしなく下げていくのであれば、株価は調整局面に入ったと考えられる。逆に、大きく売られて一時的にドサッと下げるが、小さな戻しを繰り返しながら、また元の水準まで戻していくことも考えられる。そういった展開もありうるということを、念頭に置いておくことが大切だ。

債券から株式に資金をシフトする投資家がジワジワと増えている

実際、目先の状況を不安視して、株式の売りを吸収する買いも入ってきている。この場合、どのような投資家の買いが入っているのかは、後にならなければわからない。だが、荒れ模様のマーケットに買い向かう資金が流入しているということは、いい意味で要注意である。それは、腰の据わった買いが入っているということで、先行きの上値を示唆しているからだ。

仮に、トランプ大統領が原因で株式市場が荒れ模様となっても、株価水準はそう下がらないだろう。それは、ろうばい売りに対して安値で買おうとする動きも出てくるからである。その代表格が、債券市場から株式市場へ資金をシフトさせようとする動きだ。これを「グレートローテーション(大転換)」といって、歴史的な資金シフトを意味する。

1970年代からのインフレを受けて、米国では高金利の時代が続いた。それも1983年を境として、米国の長期金利はずっと下げ続ける展開となった。そして、昨年には10年物の長期国債利回りが1・35%と歴史的な低水準をつけた。現在は2・2%台になっている(2017年5月末現在)。

過去130年ほどの長期国債利回りの平均が5・7% 前後だから、現在の2・2%は異常に低い状況といえる。ということは、米国の債券価格は天井圏にあって、ここから先の高値はきわめて限定的と考えていいだろう。

もうそれほど高値を望めない一方で、債券価格の下落リスクはマグマだまりのようにエネルギーを蓄積しながら膨れ上がっている。そのリスクを察知して、早めに天井圏にある債券を売って株式に資金シフトしておこうという投資家がジワジワと増加している。

インフレの到来、そして国債価格の下落は必ずやって来る

そのような投資家の早めの行動が、グレートローテーションの初期段階にあたる。トランプ騒ぎが大きくなればなるほど、債券から株式への資金シフトも加速していく。

もっとも、追い詰められたトランプ大統領が北朝鮮爆撃を命令することも、ひとつの可能性として残る。その場合、株価は一時的に大きく下げるだろう。とりわけ、日本の株価は暴落するかもしれない。地政学リスクということで、米国債や日本国債への買いが殺到し、債券市場にリスク回避の資金が流入する。瞬間的に長期国債利回りは急落する。だが、どれもこれも長期投資家にとっては、絶好の買い増しの局面だ。ちょっとした下げも、派手な暴落相場でも、資金のある限り買い増しでいこう。

経済は突き詰めていえば、需要と供給である。世界的に見ても、これだけ大量に資金をバラまき、巨額の債券を発行してきているのだ。それなのに、長期金利は歴史的な低水準にあり、債券価格は天井圏に張りついたままである。需要と供給の大原則からいって、この状態が永遠に続くことはありえない。大量に供給されたものは、いつか価格下落という局面に追い込まれる。

いずれ長期金利の急上昇というよりはインフレの到来、そして国債価格の下落は必ずやって来る。そこで威力を発揮するのが、われわれ長期投資家の企業を選別した投資勘定なのである。