ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

この時期になると荒れ相場になることが多かった東証マザーズ株が、今年は平穏。
その理由を探っていくと、マザーズ市場全体の利益構成から「買える新興株」が見えてくる!

決算発表を乗り越えた今年のマザーズは一味違うはず

これまで、決算発表シーズンを越えたタイミングが鬼門とされてきたのが東証マザーズ市場です。個人投資家の売買を中心に価格形成される市場のため、平常時はほぼ業績が無視されます。要は、株価が上がりそうか下がりそうかが一番大事。ただ、需給でつくられた流れを、平常時は軽視される「業績」が断ち切ることも多いのが事実。ひとつのきっかけにすぎないわけですが、業績で売られる結果として需給が悪化し、逆流が始まるサイクルです。1年前の5月がまさにそうで、ダントツの人気を誇るそーせいグループなどの決算発表直後、マザーズ市場全体が急激な調整に転じました。

そんな経緯から警戒する向きも多かった今年ですが、マザーズ株は決算発表シーズンを無事に暴落もなく乗り越えることができました。「業績」で「需給」が悪化しなかったわけです。なぜでしょう?

実態を知ることで買うべき銘柄が見えてくる!

3月期決算企業の見通しが出そろった段階で、マザーズに上場する238銘柄(2017年5月末現在)の純利益を合計してみました。マザーズ上場銘柄の純利益の前期実績を合わせると743億円。これが、5月16日現在の今期予想ベースでは926億円(会社予想「非開示」企業は日本経済新聞社予想を採用)でした。マザーズ全体では、今期24・6%増益ということです。スゴイ増益率です! だからこそ、今年は決算発表を乗り越えられたのでしょうか。

ただ、見た目と内実は違います。内訳を調べてみると、マザーズ株で最も増益幅が大きいのはバイオベンチャーのUMNファーマ。純利益は、2016年12月期が140・9億円の赤字だったのに対し、2017年12月期予想は1・7億円の赤字。これだけで139億円もの増益になるため、1社でマザーズ全体の15%を占めます。2番目に大きい中村超硬(増益幅26億円)、3番目のエナリス(同16億円)も前期実績が大幅赤字の企業。その反動による振れ幅の大きさを「マザーズ=成長性が高い」と前向きに解釈するには無理があります。

こうした利益水準からのアプローチで、もう少しマザーズ市場の実態を解説していきましょう。マザーズ238銘柄の純利益予想を合計すると926億円でしたが、そのうち半分以上をたった1銘柄が叩き出しています。

その銘柄は、ミクシィです。ミクシィの会社予想は今期19・8%減益予想の480億円。マザーズ市場全体の約52%をミクシィ1社が占めているのです。しかもミクシィの売上高の9割強を、大人気ゲーム『モンスターストライク』(以下、モンスト)が稼いでいます。つまりマザーズ株の最終利益の半分程度が『モンスト』でできているともいえてしまうのです。

しかし、マザーズ市場というのはいまだにこんな状態なんですね。ほんの一部の高収益企業、時価総額の大きい企業の株価が上がらなければ、マザーズ指数も理屈的には上がっていかないというわけです。

では、なぜ地合いが今しっかりしているのでしょうか。

もう答えは見えてきたはずです。そうです、高収益、時価総額の大きい銘柄がしっかり買われているから。マザーズ市場の大黒柱であるミクシィが大きく上昇し、マザーズ指数を牽引しているのです。前期が好業績だったじげんやドリコムが年初来高値を更新するなど、質のよさそうな資金が入っているようです。

今年1月から4月末までのマザーズ市場の投資家動向によれば、個人投資家が184億円の買い越しとなっています。この市場ではいつものことですが、それに続く買い手が、なんと「投資信託」。127億円の買い越しで、この間の17週中14週も買い越していました。だからこそ、今年のマザーズ指数は急落が起きていないのだと思います。昨年まで11連続、1年で最も下げた日の下落率は7%を超えていましたが、今年の最大下落は3・4%です。
「投資信託」とは、中小型株ファンドなどを指します。プロの運用者が銘柄を選んでいるので、業績で裏づけのある優良株に資金が流入していることは確実といえるでしょう。

先述の通り、マザーズ市場にそういう銘柄が少ないわけですから、プロが好む銘柄を業績から探すのは東証1部より簡単かもしれませんね。