ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

トランプ大統領への疑惑でNYダウが一時急落するなど、5月も大きく揺れ動いた外国株。そろそろ年後半の相場の行方も気になるところだ。今月も外国株投資にまつわるホットな話題を盛りだくさんにお届けします!

「ロシアゲート」疑惑でNYダウが急落。インド株は好調

株やブラジル株が内政問題の影響で一時大きく下げる一方、企業業績が好調なシンガポール株や、経済改革への期待が高まるインド株が上伸するなど、まちまちの展開となった。

米国のNYダウは5月6日に2万1000ドルの大台を回復したものの、同月中旬、トランプ大統領が昨年の米国大統領選挙でロシア政府と共謀し、クリントン陣営の選挙活動に干渉したとされる、いわゆる「ロシアゲート」疑惑が発覚。これが嫌気されてNYダウは17日に前日比372ドル安と大幅下落した。

その後、トランプ氏がG7(先進7カ国首脳会議)出席などのために初外遊し、相次いで発表された米国の経済指標が軒並み堅調だったことからNYダウは値を戻したが、トランプ氏が帰国した27日以降、疑惑再燃への懸念から再び値を下げるなど、予断を許さない状況が続いている。

一方、ブラジルでは5月17日、テメル大統領が同国過去最大の汚職事件に関与していたとの疑惑が浮上。これを受けて翌18日のボベスパ指数は一時10%以上も急落した。

もっとも、その後は安値拾いの買いが進み、テメル氏が政権の構造改革を推し進める意思を鮮明にしたことなどから、ブラジル株相場は少しずつ戻している。

インド株は、主要株価インデックスのSENSEX指数が5月の1カ月間で4・1%上昇。モディ政権による経済改革への期待が相場を押し上げ、29日には過去最高値を更新した。金融株を中心に企業業績が好調だったシンガポールのストレーツ・タイムズ指数も5月中旬に1年9カ月ぶりの高値を記録している。

中国株は金融規制強化への懸念などから、主要インデックスである上海総合指数が前月比1・2%安。香港のハンセン指数は本土からの資金流入などで4・2%上昇した。

今月の注目国 自動車需要が復活!反転の兆し見せるタイ株

東南アジアの中でも経済減速中のタイだが、今後の巻き返しに期待

フィリピン、インドネシア、シンガポールなど、東南アジアの主要な株価指数が今年に入ってから軒並み大きく上昇しているのとは対照的に、伸び悩んでいるのがタイ株だ。同国の株価インデックスであるSET指数は年初から1535~1590ポイントのレンジでもち合い相場が続いている。
「ほかの東南アジアの国々に比べてタイ株相場が出遅れているのは、経済成長が減速しているからです」と説明するのは、“新興国投資のカリスマ"こと戸松信博さん。

確かにタイの実質GDP(国内総生産)成長率は、2016年4~6月期が前年同期比3・5%、同7~9月期が3・2%、同10~ 12月期が3・0%とスローダウンしている。戸松さんによると、主な原因はプミポン前国王の死去と中国人観光客の減少だ。
「国民に絶大な人気があった前国王が昨年10月に亡くなったことで、タイ国内の個人消費が落ち込み、生産活動も停滞しました」(戸松氏)

一方、高額な土産物や宝飾品などを売り付ける“ぼったくり観光ツアー"の実態が暴かれたことで、貴重な外貨獲得源である中国からの観光客が急減。
「観光収入はタイのGDPの1割強を占めるほど規模が大きく、中国観光客の減少はタイ経済全体にとっても痛手です」(戸松さん)

結果としてタイ経済は昨年後半から落ち込み、株式相場も低迷が続いているのだ。

しかし、ほかの東南アジアの国々に比べて出遅れているのなら、これから成長を取り戻し、株式相場が上昇する余地も大きいといえそうだ。
「実際、最近発表された今年1~3月期の実質GDP成長率は前年同期比3・3%と昨年同期を上回りました。前国王の死去から時間が経過して、ようやく消費や生産活動が本調子を取り戻しつつあるのでしょう」(戸松さん)

またタイでは2011年に大洪水が起こった際、国内経済のテコ入れのために自動車購入奨励制度を導入したが、すでに6年以上が経過し、今年あたりからこの制度を利用して購入したクルマの買い替えが増える。
「買い替えによる自動車需要の拡大も、今後のタイ経済の成長を後押ししそうです」と戸松さんはみる。

そうした中、戸松さんがいま注目しているタイ株は、自動車ローンや消費者ローンなどを提供するノンバンクのムアンタイ・リーシングと、化粧品小売りチェーンのビューティーコミュニティーだ。
「ムアンタイは自動車需要拡大の恩恵をストレートに受けられるのが魅力。また、タイの化粧品市場はGDPを上回る勢いで成長しており、ビューティーコミュニティーのような会社にとっては追い風です。両社ともここ数年、店舗数を急速に増やしており、長期的な成長も期待できます」(戸松さん)

米国株を買わないのは、なぜですか?

梅雨の季節が終われば、いよいよ夏を迎える。旅行を考えているなら、なるべく早めに予約をして行きたいホテルや交通のチケットを確保しておきたいもの。日本と米国の旅行会社を比較しました。

第36回 日米の旅行会社で比較対決

エクスペディアは10年以上の長期で上昇力強し

旅行予約といえば今やオンラインがだいぶ主流となってきました。以前は販売店まで足を運んでいましたが、情報がネット上で容易に把握でき、比較もしやすくなってきています。

今回は、日本を代表する旅行会社エイチ・アイ・エスと日本でもなじみがあるオンライン予約で総予約数が世界最大のエクスペディアで比較してみました。

まずエクスペディアは日本語に対応したサービスとして、2006年11月に日本語版サイトが開設されて認知度が拡大しています。

一方、エイチ・アイ・エスは格安航空券のほか、日本国外を主体とした価格の安いパッケージツアー商品を提供しており、JTBと並び日本で最大級の旅行会社です。

さて、チャートとファンダメンタルズ指標を比較してみると、ここ10年のエクスペディアの上昇は非常に強く、それもひとつの理由となりPERやPBRが割高です。

エイチ・アイ・エスはエクスペディアと比較すると割安に見えますが、時価総額の大きさや今後の成長への期待を考慮すると、エクスペディアの押し目には注視をしていきたいものです。

スパイシ~・マ~ケットの歩き方

第62回 中国 膨大なスケールの中国の「一帯一路」構想。そのねらいと成果は?

景気安定や雇用機会の創出など「一帯一路」のメリットとデメリット

5月中旬、中国、北京で「一帯一路」に関する国際イベントが開催されました。一帯一路とは中国が描く経済・外交政策構想のことで、一言でまとめると、「現代版のシルクロードをつくろう」というものです。一帯は"陸"のルートを、一路は"海"のルートを指します。中国と欧州、そして中央アジア、東南アジア、西アジア、太平洋地域諸国を結ぶ"一大経済圏"を築いて、共に繁栄していく理念を掲げています。

実は、一帯一路というキーワードは2013年ごろから登場し、以降も中国の経済政策のテーマとして意識されてきたため、特に目新しいものではありません。ただ、今回のイベントでは130を超える国と地域から約1000人の参加者が集まる大規模なものとなったことや、習近平国家主席が冒頭のあいさつで構想の実現に向けて基金の増額を表明するなど、積極的な推進が強調され、中国の本気度や本格的な始動を印象づけるものとなりました。

この構想を進めることで、道路や鉄道、建設、海運、物流、エネルギー、通信、金融などのインフラ投資が活発化することが期待されます。ちょうどイベントが開催されたタイミングで、トランプ政権とロシアの不透明な関係をめぐる"ロシアゲート"疑惑が浮上し、「トランプ政権によるインフラ投資政策が滞ってしまうのでは……」との警戒感が高まりました。

米国と中国のインフラ投資について、一方は懸念が高まり、もう一方は期待が高まる格好になったわけですが、米国は「米国第一主義」による閉ざされたインフラ投資に対して、一帯一路は多くの関係国がつながるという面でも、対照的だといえます。

世界経済への寄与という面では、一帯一路のほうがマーケットにとって好テーマになりやすいのかもしれません。ただし、一帯一路についても、問題はあるようです。たとえば、バングラデシュで中国資本の提供を受けて建設した港への中国海軍潜水艦の寄港や、建設した港自体が機能せず新たな富を生み出していないといった事例も出ています。その結果、中国の影響力だけが強くなってしまう、「中国第一主義」になる懸念もくすぶり、その点については大いに注意が必要です。