ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

東南アジアの中でも経済減速中のタイだが、今後の巻き返しに期待

フィリピン、インドネシア、シンガポールなど、東南アジアの主要な株価指数が今年に入ってから軒並み大きく上昇しているのとは対照的に、伸び悩んでいるのがタイ株だ。同国の株価インデックスであるSET指数は年初から1535~1590ポイントのレンジでもち合い相場が続いている。
「ほかの東南アジアの国々に比べてタイ株相場が出遅れているのは、経済成長が減速しているからです」と説明するのは、“新興国投資のカリスマ”こと戸松信博さん。

確かにタイの実質GDP(国内総生産)成長率は、2016年4~6月期が前年同期比3・5%、同7~9月期が3・2%、同10~ 12月期が3・0%とスローダウンしている。戸松さんによると、主な原因はプミポン前国王の死去と中国人観光客の減少だ。
「国民に絶大な人気があった前国王が昨年10月に亡くなったことで、タイ国内の個人消費が落ち込み、生産活動も停滞しました」(戸松氏)

一方、高額な土産物や宝飾品などを売り付ける“ぼったくり観光ツアー”の実態が暴かれたことで、貴重な外貨獲得源である中国からの観光客が急減。
「観光収入はタイのGDPの1割強を占めるほど規模が大きく、中国観光客の減少はタイ経済全体にとっても痛手です」(戸松さん)

結果としてタイ経済は昨年後半から落ち込み、株式相場も低迷が続いているのだ。

しかし、ほかの東南アジアの国々に比べて出遅れているのなら、これから成長を取り戻し、株式相場が上昇する余地も大きいといえそうだ。
「実際、最近発表された今年1~3月期の実質GDP成長率は前年同期比3・3%と昨年同期を上回りました。前国王の死去から時間が経過して、ようやく消費や生産活動が本調子を取り戻しつつあるのでしょう」(戸松さん)

またタイでは2011年に大洪水が起こった際、国内経済のテコ入れのために自動車購入奨励制度を導入したが、すでに6年以上が経過し、今年あたりからこの制度を利用して購入したクルマの買い替えが増える。
「買い替えによる自動車需要の拡大も、今後のタイ経済の成長を後押ししそうです」と戸松さんはみる。

そうした中、戸松さんがいま注目しているタイ株は、自動車ローンや消費者ローンなどを提供するノンバンクのムアンタイ・リーシングと、化粧品小売りチェーンのビューティーコミュニティーだ。
「ムアンタイは自動車需要拡大の恩恵をストレートに受けられるのが魅力。また、タイの化粧品市場はGDPを上回る勢いで成長しており、ビューティーコミュニティーのような会社にとっては追い風です。両社ともここ数年、店舗数を急速に増やしており、長期的な成長も期待できます」(戸松さん)