ネットマネー 2017年8月号より一部を特別公開!

円安のゲートを閉ざしそうなトランプゲート問題

ウォーターゲート事件になぞらえて、「トランプゲート」とも揶揄されている今回の問題。
辞任説も浮上しているが、この問題は長引き、事あるごとにドル売り派をあおるのではないか?

ドル売り派をあおるトランプ問題は、当分続きそうな気配

「これは米国史上最大の魔女狩りだ」―。

ロシアへの機密情報漏えい、FBI(連邦捜査局)の捜査妨害をめぐる疑惑報道に対して、お得意のツイッター上でいら立ちをあらわにしたトランプ大統領の発言である。

ただし、筆者はこの問題が一過性で終わらないと推考しており、1972年6月に表面化したウォーターゲート事件と重ね合わせている。理由は簡単だ。 トランプ大統領への弾劾手続き(合衆国憲法第2条4節)が一部から指摘されているが、弾劾も訴追も権限は上下院に属しており、議会占有率が共和党優勢な状況では現実的ではないからだ。

米国市場関係者の間では、"電撃退陣説"もあるが、トランプ大統領自らが辞任表明をしない限り、この問題は長引くのではないか。ウォーターゲート事件当時のニクソン大統領が、問題発覚から辞任表明をするまで約2年2カ月に及んだことはきわめて興味深い事例だ。

2018年の中間選挙を見据え、世論をにらむ共和党としてみれば、うかつな擁護もできず、さりとて引導渡しにも動けないのが実情だろう。

トランプ大統領に対する統治能力の疑念は今後もドル売り派をあおり続け、機関投資家やヘッジファンド勢においてはアルゴリズムトレードに「疑惑」や「捜査」などのキーワードが入力されて反応を強める場面もありそうだ。

中長期観点では、ベンチマークとしてドルの相対的な強さを表すドルインデックスが明確かもしれない。

ちなみに、ドルインデックス(右上のチャート)とは、主要国通貨(ユーロ、円、英ポンドなど)に対するドルの総合的な価値を表したもの。簡単に言えば、ドルそのものの価値を示すチャートといえる。

仮にそのドルインデックスにおいて、昨年11月の米国大統領選挙時の水準を試す動きが強まるようだと米ドル/円を圧迫しかねない。円安・ドル高の門を閉めるか否かはトランプゲートの開閉度合いがカギを握ることになる。

買いか売りか、FX投資を左右する長期トレンドの見方

2016年1月からの米ドル/円を振り返ると、トランプ大統領誕生でドル安からドル高トレンドに転換。
直近ではドル高トレンドが再開しているが、その継続や転換の条件とは?

今月の先読み先生
カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト
藤井明代さん AKIYO FUJII
株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。
ラジオやテレビなどレギュラー出演多数。著書『勝てる!「優待株」投資』(幻冬社)。

1ドル=115・50円、次に118・66円抜けがドル高トレンドの条件

為替レートのトレンドは、長い期間のチャートで見るほど、明確に捉えることができます。数十銭のサヤ抜きを行なう短期売買では、確かに長期トレンドは重要ではないかもしれません。しかし、短期売買とはいえ、トレンドの方向に沿って取引したほうが、投資タイミングに途裕がでてくる可能性が高まります。

そこで、米ドル/円の長期トレンドを確認すると、2016年1月からの半年間は、1ドル=120円台の高値から6~8月には100円台を割り込むなど、明確なドル安(円高)トレンドが進行しました。11月初旬までは100~105円のボックス圏で推移。昨年11月8日の米国大統領選挙後にボックス圏の上抜けに成功し、12月中旬には118円台に到達。約1カ月間で17円以上も上昇する強いドル高(円安)トレンドでした。

その後、2017年4月中旬の108円台まで約10円幅のなだらかなドル安トレンドに転換。現状は4月17日の1ドル=108・17円を底に、200日移動平均線にサポートされる形でドル高トレンドに転換したように見えます。

ドル高トレンドが継続するためには、2つの高値を抜けることが必要です。ひとつは2017年3月10日の高値115・50円。これを上回ってくれば、ドル高トレンド継続と判断できます。

さらに次のターゲットは2016年12月の高値118・66円です。逆にすぐ下の200日移動平均線を割り込んだ場合、ドル安トレンド再開と捉えることができるでしょう。

FX投資ではトレンド継続の目標となる過去の高値や安値、移動平均線の位置に注目し、トレンドに沿った売買を心がけることが大切です。

もはや高金利通貨ではないNZドル。上値余地は限定的?

高金利通貨として一世を風靡したNZドルだが、利下げによって高金利通貨としての魅力は薄らいでいる。今後はどんな戦略で投資すべきなのだろうか。

今月の先読み先生
eワラント証券 投資情報室長
小野田 慎 さん MAKOTO ONODA
イボットソン・アソシエイツ、ゴールドマン・サックス証券を経て現職。
ポートフォリオ構築の専門家としての経験を生かし、幅広い資産の分析を行なう。

ニュージーランドの債券等に投資する投信の投信残高も減少傾向に

NZドルはかつて、先進国の中でも金利の高い通貨であったことから投資家の人気を集めましたが、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)による2015年6月以降の段階的な利下げにより、もはや高金利通貨とはいえない状況です。

現在の状況について、下段の上の図を見ながら考察してみましょう。これは2015年1月以降のNZドル/円と公募投資信託の純資産総額の推移を比較したものです。公募投資信託はニュージーランド債券などを主要投資対象とする投信です。

2015年5月には540億円を超えていた純資産総額が、同年の後半から残高が減っていき、2016年12月には約420億円になり、2017年5月には360億円まで減少したことがわかります。これは投資家がNZドルを選好しなくなったことの表れといえるでしょう。

NZドル/円相場も、投資家の資金流出に伴って2016年10月まで下落傾向にありました。11月以降はNZドルが対円で上昇していますが、これはトランプ相場において日本円が対米ドルで売られたことが影響していると考えられます。

以上のことから今後のNZドル/円については、引き続き投資家にとって魅力的な通貨とはいえないようです。今年5月に発表された政策金利は1・75%と据え置かれましたが、2015年の利下げ直前には1%以上のカイ離があった豪州の政策金利は現在1・50%と、大差がありません。また、米国も6月に追加利上げを行なうと考えられますので、現在のようなNZドルの上値は限定的かもしれません。

今後のNZドル/円の予想レンジですが、7月末には50%の確率で76・2~80・7円、8月末には50%の確率で75・8~81・1円を想定します。レンジの上限では迷わずNZドルの売りを検討したいところです。