ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

個人投資家に大人気!なぜ低位株がおいしいのか?

いつの時代も個人投資家に人気の低位株。少ない資金で投資できるとともに、大きなパフォーマンスが期待できるからだ。

低位株だからこそ、ハイパフォーマンスを狙うことができる

低位株の最大の魅力は、少額投資で大きなリターンが狙えることに集約できる。

たとえば、株価100円の銘柄が10円値上がりしたら利益は10%となる。株価1000円の銘柄が10円値上がりしても利益は1%にとどまる。さらに、投資金額を10万円として考えると、100円の銘柄は1000株の購入が可能で10円の値上がりで単純利益は1万円。一方、1000円の銘柄は100株の購入で10円の値上がりで1000円と、その差はやはり10倍となる。

10円の値幅上昇に限定することに異論があるかもしれないが、低位株の魅力は限られた金額で複数の銘柄を仕込め る、またはまとまった株数を買えるというメリットだ。

取引所銘柄は売買単位(1単元)を100株に集約中だが、手元資金10万円で株価1000円なら1銘柄しか購入できない。しかし、株価100円ならば10万円で10銘柄、もしくは1000株購入し、10回に分けて売ることが可能となる。つまり、利食いのチャンス、売却の選択肢が広がるのだ。 低位株の場合、大きなパフォーマンスが狙えるという背景には、この売買の選択肢の広さ、つまり「回転売買が効く」という要素が強い。これが低位株のハイパフォーマンスの背景にあるわけだ。

さらに、もともと株価が低位なだけに低位株は下値リスクが限られているというメリットがある。銘柄の規模感にもよるが、機関投資家も低位株への参戦には積極的でなく、インデックス(指数)商いなどに振り回されにくいという側面もある。需給とファンダメンタルズがストレートに反映されやすいのが、一般的な低位株だ。

逆に言えば、需給とファンダメンタルズがストレートに反映されやすい低位株だけに特有のリスクも抱えている。業績悪化や多角化事業の失敗など株価低位にはそれなりのワケがある。また、下値リスクが低いことから塩漬け株になりやすく戻り売りも多い。

低位株の急騰には、共通のキーワードが存在している

上場銘柄数の数に違いがあるものの、各市場の投資金額別銘柄数を見ると投資金額5万円未満の銘柄数は、マザーズには少ない。ただし、東証2部には「万年2部」という銘柄が存在する。市場が若いマザーズに低位株が少ない理由は、市場の新陳代謝が激しいためだ。このほか低位株は、わずかな値下がりが機会損失を膨らませてしまうことも少なくない。もちろん、財務に問題がある企業の株が低位株になっていることもあり破綻リスクもある。さらに、投機筋のターゲットになりやすいことから、高値つかみのリスクも高い。こうした、メリット、デメリットをともに考慮しても個人投資家にとって低位株の魅力はやはり大きい。

最近の例を挙げると、シャープ(売買単位1000株)がある。昨年8月に東証1部から2部に移ったときの最安値は87円。当時は会社存続にさえ疑問が持たれていた。

しかし、台湾企業の傘下に入って業容は持ち直し、昨年12月に200円、年明け1月に300円、3月に400円、そして5月には高値504円まで上り詰めた。低位株が株価急上昇を開始する「業績回復」「黒字転換」といった要因が働いた典型的な株価復活の例となった。冒頭で触れた今年前半の大出世株であるリミックスポイントは「業容変更」「材料・テーマ」といった株高要因がタイミングよく働いた。

このほか、低位株躍動のきっかけには「復配・株主優待」「M&A」「相場底上げ」「投機筋介入」といった要素がある。

さらに、付け加えると、シャープやリミックスポイントに共通する「会社側からの情報発信」がある。材料の発表など情報が発信され続けていれば、相場の人気は持続しやすく、好パフォーマンスを発揮する可能性が高まる。発行体である会社側が“株高賛成"、またはマーケットに関心を持っているかどうかの要素は意外と大きい。低位株の中でも積極的に適切な情報開示をしている企業、ホームページでIR(投資家向け情報提供)コーナーが充実している企業など、また経営者が証券会社出身の企業は、あるきっかけひとつで株価急上昇となる可能性を秘めているといえる。

業績と割安度でスクリーニング。ローリスクで狙う5万円株46

株価が安いからといって、やみくもに手を出すのは危険。そこで、業績を頼りに本当に割安な「安全低位株」をあぶり出した。

倒産リスクの少ない低位株を割安度と安全性、業績でスクリーニング

それでは、具体的に個人投資家が狙うべき「有望低位株」はどのようなものがあるか。

34ページで示したように、6月20日現在、最低投資金額5万円未満で投資できる銘柄は東証1部で138銘柄、東証2部で98銘柄、ジャスダックで152銘柄、マザーズで18銘柄の合計406銘柄が存在する。もちろん、「数撃てば⋮⋮」では低位株の“わな"にハマってしまうことになる。

そこで個別銘柄のピックアップでは定評のあるカブドットコム証券の河合達憲さんに協力をお願いした。まず、低位株にとって、現在の投資環境をどう考えているのか。「日経平均採用銘柄など主力銘柄が伸び悩む中、最近では株価の安い、いわゆる低位株の底上げが見られるようになりました。ただ、株価が低位に甘んじているのには、それなりのワケがあるため、やみくもに低位株に手を出すことは危険です」(河合氏)

つまり、低位株投資にはベターな投資環境が広がっているものの、銘柄の選別には慎重を期したほうがいいというアドバイスだ。そこで、まずは比較的安心して買える低位株をスクリーニングであぶり出してもらった。

まずは、3500超ある上場銘柄からPBR(株価純資産倍率)1倍以下で割安株を発掘する。PBR1倍以下というオーソドックスなスクリーニングで約1500社に絞り込まれた後に、「さらに自己資本比率30%以上でふるいにかける」(河合氏)。ここがポイント。自己資本比率が低いと、外部資本の影響を受けやすく不安定な経営状態ということになる。つまり、企業経営の独立性と継続性の指標で低位株の安全性を導き出すと言ってもよく、企業が破綻しにくいとされる30%を基準とする。ここでさらにふるいにかけられた銘柄は1300社弱となり、次に株価500円以下で440社、今期予想経常利益が黒字で430社、前期に続いて今期業績予想が増益となると120社にまで絞り込まれる。最後に、売買単位を考慮した「5万円以下で投資可能な上場企業」を最終スクリーニングをすると46社が選抜された。

PBRでの割安度と自己資本比率から見たローリスク度、そして連続増益見込みという業績の要素をクリアできたのが46 社ということになる。あえてネーミングすれば、「河合さん選抜の銘柄」ということで、「AKB48」「乃木坂46」をもじって「KSM 46 」といったところか。この「KSM46」のメンバーを眺めると、東証1部が21銘柄、東証2部が10銘柄、ジャスダックが15銘柄という構成になっている。マザーズが選抜に漏れているが、投資金額5万円以下の銘柄が少なく、バイオベンチャーを中心に自己資本比率が低く、業績が不安定なところが多いためだと推測される。

一方、選抜された銘柄は内需系が多いことがわかる。建設、住宅、建築資材、自動車ディーラー、地方商社、倉庫という業種や業態は、どうしても物色人気の圏外にさらされて相場的には放置されやすくなってしまうのは致し方ないところ。しかし、ここからさらに東証1部で、物色テーマに乗りそうな銘柄、東証2部やジャスダックで東証1部指定の可能性が高そうな銘柄という、独自の視点で眺めてみると意外に「次のスター銘柄候補」が見えてくる。こうした銘柄が一度、人気づくと、手あかにまみれていない新鮮な銘柄だけに予想外のパフォーマンスを発揮する夢がある。

東証1部以外の有望な低位株も一斉に上昇する可能性も

もちろん、この「KSM46」銘柄のようにスクリーニングで選抜された、ある意味、優等生銘柄以外でも低位株の中には“一発"を秘める銘柄があるはずだ。単純に投資金額5万円以下という株価水準をにらんで、「テーマや材料性」で切り込むのもいい。

また、「配当水準・復配」「225種銘柄内での比較感」「破綻確率が低い地銀株」「企業ブランド力」「話題性」などで独自に発掘してみるのもいいだろう。低位株の相場的な魅力のひとつに“全員参加型相場"というフレーズがある。値ガサ株の場合は個人投資家が乗り切れない場合があるが、低位株は個人投資家も機関投資家も相乗りで売買するケースが出てくる。こうした銘柄が登場した相場は強い。

投資金額10万円以下で売買できる三菱UFJフィナンシャル・グループが、長く東証1部の売買代金上位に日々位置していることは、ある種の“全員参加型相場"の銘柄であるためともいえる。リスクは伴うものの、赤字が続くバイオベンチャー株がマザーズで物色人気を継続していることも低位株人気のひとつだ。実は、この先で低位株にスポットが当たる相場的な事情が存在する。

売買単位の統一は来年10月が期限。低位株相場がやって来る

全国の証券取引所は、2018年10月1日を売買単位100株に統一する期限と定めている。このため、新規上場銘柄はほとんど売買単位100株で登場してくるが、現在、売買単位1000株の銘柄は株式併合などで売買単位を100株にする措置を次々と発表している。

 株価の価値は変わらないものの、表記上の株価がたとえば200円からいきなり1000円となっていることもあるのだ。昭和時代からの投資家にとって大手鉄鋼株の株価は“たばこ1箱"との意識があったが、今の1株2000円近辺という水準にまだ慣れていないという声を聞くのと同様だ。

期限1年前の今年10月1日付でこうした銘柄は数百銘柄にも及ぶ見込みだ。これまでは、500円以下、300円以下としていた低位株の意識がガラリと変わってくることになる。最低投資金額を基本に見ていく必要が生じてきたのだ。大量に株式併合する銘柄が登場するこうした相場的なイベントが控えている今だからこそ、先々での低位株への関心の高まりを先取りするチャンスでもある。

「ローリスク・ハイリターン」の可能性を持つ低位株。銘柄選別さえ間違えなければ、キャピタルゲイン(値上がり益)だけでなく、インカムゲイン(配当利益す)の投資スタンスでも十分成果が得られるはずだ。「KSM46」銘柄に期待してみよう。