ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

ミッションⅠ 注目株リストから激お宝株を抽出せよ
証券業界注目の大型IPO。あの佐川急便が東証1部へ

最大時価総額4000億円とも見積もられる佐川急便の持ち株会社が、この9月にも上場が予定されているという。 今年度初の大型IPOとなりそうで、これに伴い相場環境も大きく変化しそうだ。

今年度初の大型案件となる佐川急便が9月にも上場

ロン●佐川急便の持ち株会社SGホールディングス(以下、SGHD)が新規上場するね。最速で8月に上場承認、9月に東証1部デビューらしい。

竹内●インパクトはかなり大きいでしょう。東証全体に影響するだけでなく、運送業界の再編や、IPO(新規株式公開)人気拡大などなど。SGHDのIPOに応募しない投資家さんにも投資のチャンスがあります。

芦田●前期の売上高は9300億円だったから、宅急便のヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD)と日本通運に次ぐ業界3位ね。

竹内●時価総額は最大4000億円と見積もられています。商船三井やアドバンテスト並みの大きさです。 SGHD上場となれば、機関投資家はヤマトHDや日本通運、業界4位のセイノーホールディングスを売って購入資金を確保します。需給要因で一時的に下げただけの銘柄は﹁買い﹂が定石でしょう。

ロン●9月上場なら10月末にはTOPIX(東証株価指数)への反映開始に伴って、ETF(上場投信)や年金基金が買いを入れてくる。上場翌月の最終営業日の数日前に仕込む短期勝負は﹁コバンザメ﹂と呼ばれる投資手法だよね。芦田●こんな大型銘柄が非上場だったのね。

ロン●20世紀にはリクルート事件で評判を落とした会社だけど、その後は地道にトラック輸送を拡大した。ここ10年は「運ぶ」だけでなく、物流センターを整備して企業物流を一括して請け負い、利益率が格段に上がったんだ。非上場の私募REIT(不動産投信)を運用しているほか、代金決済用の金融子会社もある。

日立物流を巻き込んで業界トップの可能性も

芦田●業界3位から上がっていけるのかな。

ロン●2位浮上どころか1位の可能性もあるよ。SGHDは昨年5月、日立物流の2位株主になった。そのときに﹁3年以内の統合﹂に言及があったんだ。日立製作所は製造業として﹁選択と集中﹂に傾斜しているから、日立物流は売却してもいいんだろう。

竹内●売上高実績はSGHDと日立物流の合計で1兆5600億円と、ヤマトHDを1000億円ほど上回ります。上場で調達した資金でアジア事業の成長が加速すれば、さらに差が広がっていきますよ。

芦田●鼻息が荒い(笑)。大型上場の前って、相場全体が堅調に動くんでしょう?

ロン●主幹事証券会社だけで相場全体を支えることは不可能なんだけどね。特に公開価格が決まる前は、同業他社の株価が上がりやすい。公開価格決定の参考にされるヤマトHDと日本通運に注目だね。同じ陸運セクターでも、JR東日本やJR西日本あたりは一時的に人気が薄れるかな。

竹内●大型IPOは、優良案件ほど先に実施される傾向がありますね。失敗すると投資家が警戒して、その後に続く公開案件が不人気になるので、優良企業から先に市場に送り込まれるみたいです。SGHDは今年度最初の大型上場なので、期待できそうです。

ロン●ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の再上場観測があるほか、年明けからJR貨物の上場準備が本格化するという噂も流れている。今後の大型上場を考えれば、SGHD上場の成功は証券業界全体の願いだろう。

IPOが不発に終われば、それも投資のチャンスに

芦田●もしSGHDのIPOが不調だったら?

ロン●IPOは人気投票の性格が強くて、そのときの相場環境に左右される面がある。不調に終わる可能性はゼロではないね。SGHDのIPOが不調だったら、上場から1カ月程度は手を出さず、買い時を待っていればいいよ。公募・売り出しで買った人や初値で買った人の見切り売りが終わったら、そこは最高の買い場になるだろうね。

竹内●私はIPO成功を予想します。今年1~6月は再上場案件を除けば、全銘柄で初値が公開価格を上回っています。全勝ですよ、全勝。IPO銘柄だったら何でも欲しい投資家さんがいっぱいいるので、SGHD株が不人気になる理由が見当たりません。

ロン&芦田●いつもクールな竹内さんだけど、今日は冷静じゃない!

竹内●推奨しているわけではなく、私の意見ですよ。さてと、IPOに備えて、いろいろな証券会社に口座を作っておかなくては!!

ミッションⅡ 全適正株価から超ハイスコア株を発掘せよ
固定概念を一度捨てるべき?「割高株」が上がり、「割安株」が上がらない上昇相場の処方箋

AI(人工知能)の活用を柱とする第4次産業革命に期待が集まり、日米ともに買い進められた成長株。置いてけぼりを食った割安株の動向がカギを握る!?

任天堂は割高じゃない!メガバンクは割安じゃない?

岡村●任天堂の株価、スゴイですね!

暖田●スゴすぎるよね。昨年の7月に『ポケモンGO』でお祭り騒ぎになったときの高値が3万2700円。さすがにこの値段はこの先何年も上回れないだろうなと思ってたよ。

岡村●今年5月下旬には上回り、その後3万9000円台まで駆け上がってますもんね。時価総額5兆円の超大型株が、年初から約50%も上昇!

暖田●ロマンがあるよな。同じ期間の日経平均の上昇率は約4%だろ。片や、任天堂を100株買って、持ったままで100万円以上の利益になる相場。任天堂にファンが付くよな(笑)。

涼川●任天堂の今期予想が純利益450億円。すでにPER(株価収益率)で100倍を超えているけど、市場は会社計画が慎重すぎだと見ているんだろう。

岡村●任天堂に対する証券会社のレーティングはほぼすべてが買い推奨ですよね。6月に入ってからも、株価上昇に合わせて目標株価の引き上げが相次ぎました。

暖田●普通なら割高に感じるけど、そこからどんどん目線が上がっていく。株価が異様に強いから、この波に乗り遅れるなって勢いを感じるよね。

岡村●実際、PERやPBR(株価純資産倍率)で割高と感じる銘柄のほうが、レーティングや目標株価の引き上げが目立っていますよね。

涼川●それは事実。任天堂もだけど、東京エレクトロンやディスコなど半導体株の引き上げが目立っている。日本電産、ソニーなどPBRの高いハイテク株のレーティングも引き上げ方向だ。そして、株価も上昇。一方で、自動車、銀行、総合商社といった誰が見ても割安なバリュー株を買い推奨する動きが激減しているんだ。

岡村●グロース株は上がっていて、それを正当化するような投資判断も追って出てきてる。一方で、割安なバリュー株を「割安だ!」と声を上げる人も消えてきてるんですね。

涼川●そう、これは日本だけじゃなく米国も同じなんだ。

ヘッジファンドも苦戦中。この上昇相場の焦点は?

涼川●ヘッジファンドリサーチ社が算出するヘッジファンドのパフォーマンスを示す指数があるんだ。複数ある戦略の中に「株式市場中立」というのがあるけど、これは伝統的なロング・ショート。どちらかにバイアスをかけず、「割安株ロング(買い)・割高株ショート(売り)」を組む戦略だ。

岡村●絶対的収益を目指すヘッジファンドですが、順調に利益が出なくなって1年半くらい経過してますね……。

涼川●そう。米国の株価指数も最高値をつけているけど、この戦略は通じなくなっているんだ。ロングにしている割安株が上がらず、カラ売りしている割高株が絶好調。結果的にロングの利益を食ってしまっている。

岡村●米国株でもエヌビディアみたいな割高に見えるハイテク株が、すさまじく上がってましたもんね。

暖田●日本も同じ。任天堂は年初から50 %以上上がっても、たとえば三井物産は約4%下がり、トヨタ自動車は約16%下がっている。日本でヘッジファンドがこの戦略をとっていたら、パフォーマンスが上がらないどころか損失になっていたかもね。

岡村●この状態のまま上昇相場が続くんでしょうか?

暖田●アベノミクス相場以降でも、このケースは少なくて今回で3回目。TOPIX(東証株価指数)のグロース指数とバリュー指数を比べてみると、昔はほとんど一緒の値段だったんだ。それが最初に開いたのが2012年。相場全体が動かなかった時期に、当時のグロース株だったドラッグストア株やコンビニ株が異様に上がっていたときだ。

岡村●このときグロース株優位で生まれたカイ離は、アベノミクス相場開始で解消していますね。

暖田●バリュー株が強烈にキャッチアップしたから埋まったんだ。その次に大きくカイ離したのが、ヘッジファンドの苦戦が始まった昨年。ただ、このときもトランプラリーによるバリュー株の急上昇でカイ離を解消したんだよね。つまり、過去2回は、何とかラリーと呼ばれるような強烈なバリュー株相場の到来でカイ離を解消してきたんだ。

岡村●先に上がっているグロース株も上がった状態で、それ以上にバリュー株が上がる相場が来るかどうか、ですね。そのトリガーを引く〝ナントカラリー〞は来ますか?

暖田●そうだね。バリューがグロースに追いつくナントカラリーが来るのか、それともグロースのバブルが弾けるか……ターニングポイントになるのかもな。