ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

来月の日本株はどう動く? 世界の市場ではどんなことが起こっている? 日々めまぐるしく動く国内外の経済情勢を解説&予想する「サテライト」連載。前半は日本株メインの投資戦略を3連発、後半は先進国やアジアなど気になる海外の国にスポットライトを当てながら、フレッシュな情報を「誌面中継」します!

秋まで打たれ強い相場。売り手控えの雰囲気に

早ければ7月にも、政府が日本郵政株の追加売却の準備を本格化させる。政府系企業の新規上場や株式売却の前は証券会社のディーリング部門を中心に売りを自粛する雰囲気が広がり、株式市場全体が底堅く推移することが多かったため、今回も夏から秋にかけて打たれ強い相場が予想される新規買いを考える投資家もカラ売り愛好家も重要な需給要因として頭の片隅に入れておいてほしい。

売却事務を取り仕切る主幹事証券の選定はすでに終わっており、野村證券、大和証券、ゴールドマン・サックス証券の3社が選定された。今後、この3社を中心に国内外でセールス活動が展開されることになる。

政府が予想する売却代金は最大1兆4000億円とのことで、震災復興の貴重な財源になる。法人税収が伸び悩んでいるため、財務省にとって郵政株の売却価格は少しでも高いほうがいい。

追加売却価格は公開価格の1400円が最低ラインとみられる。6月は1400円付近で推移しており、財務省が納得する売却には、あと少しだけ株価を持ち上げる必要がありそうだ。

国内市場はこう動く…まとめ

  1. 7月から政府保有の郵政株売却の準備を本格化へ
  2. 主幹事の選定など準備は万全、売却まで相場は堅調か
  3. 追加売却の公開価格は1400円が最低ラインに

FRB議長の会見なし。追加利上げ観測後退か

米国FRB(連邦準備制度理事会)は6月、短期金利の誘導目標を1〜1・25%に引き上げた。利上げは今年3月に続いて2回目。金融政策を議論するFOMC(連邦公開市場委員会)では年内にあと1回の利上げを想定しているが、インフレの兆候を示す物価関連指標は低迷しており、7月には6月利上げを〝反省〞するムードが強まりそうだ。そうなれば年内の追加利上げは難しくなり、米国金利の先高観測の後退から為替は円高・ドル安に振れやすくなる。

6月の利上げ決定後、住宅着工件数や消費者物価指数など、米国の経済指標は相次いで市場予想を下回った。このため、金融政策の正常化を急いだFRBに批判の声が向けられつつある。FOMCは年8回開かれるが、7月25〜26日の今年5回目の会合ではイエレンFRB議長の会見予定がない。そのため市場の疑心暗鬼が広がったままになりやすく、一方的な円高に振れるリスクもある。円高なら日本の輸出企業への影響が懸念されるが、主要シンクタンク予想では1ドル=100円でも小幅増益が維持できる。雰囲気が変わるとすれば90円台の円高になったときだろう。

世界市場はこう動く…まとめ

  1. 7月の米国市場は利上げ反省ムードが強まる
  2. 景気指標伸び悩み、為替市場は円高圧力が増す
  3. 日本の輸出株は1ドル=100円がひとつのポイントに

1今月の投資戦略日本株

株価水準をメインに考える これまで日本株を大きく上昇させる局面では必ず自動車株や銀行株の活躍があったのに、今回は違った! 出来高の大半を占める外国人投資家が買い越していたのは、大型の半導体関連株と内需株だったのだ。

祝! 2万円!!大台に導いたのは今回も外国人投資家

「値上げラッシュ!」、そんな6月になりました。6月に入ってから、はがき、電気料金、ビール、バター、かつお節などが値上げ、そして株も……。日経平均株価は6月になったとたんに上向き、1年半ぶりに2万円の大台に乗りました。一般的に考えれば、モノにしても株にしても、買うなら安いほうがいいですよね。値上げ前よりも値上げした後のバターを買いたいと思う人は少ないはずです。株だって同じで、値上がりする前に買わなかった株を、値上がりした後に買いたい人は少数派。逆張り好きが多い日本の個人投資家が、「2万円を超えたから株を買おう!」と心理が変化することは考えにくいでしょう。

2万円台乗せまでの過程も乗せた後も、構図は同じでした。個人投資家が利益確定のために売却する株を、外国人投資家をはじめ日銀によるETF(上場投資信託)の買い、事業法人の自社株買いなど、プロが買いまくっていたのです。日銀や事業法人は政策上の決まり事としての買い付けですので、自らの意思で買ったのは外国人投資家だけということになります。

日経平均が2万円台に乗るまでの期間に起こったことの検証は、外国人の投資行動を学ぶうえで有効です。

米国の株式市場でも同じことが起こっている!

今回の日経平均2万円の状況は、前回(2015年12月)の日経平均2万円のときとはまるで違います。今回は、株価の高い値ガサ株が好んで買われた形跡がありますので、データで検証してみましょう。

前回は東証1部の売買単価が約1200円でした。売買単価とは1株当たりの平均売買金額のことで、「売買代金÷出来高」で求められます。その売買単価が、今回は1400円台まで上昇。これまでの推移と比べてみても、かなり高い水準です。

株価が高く、売買が活発だ った銘柄の代表格は任天堂です。任天堂が盛り上がると売買単価は上がりますが、同時にキーエンス、SMC、ディスコ、東京エレクトロンなど大型の半導体関連株、さらに大型内需株の良品計画やニトリホールディングス、大東建託……幅広い業種の値ガサ株がガンガン上がりました。

こういった株の上昇に日本株全体が持ち上げられた一方、トヨタ自動車を筆頭とする自動車株大手やメガバンクの株価は年初来でマイナスです。自動車と銀行が上がっていないのに株価指数がグイグイ上がる相場は本当に強いのか、と疑問に思いますよね。

ただ、この現象は日本だけでなく、米国でも起こっていました。アップルやアルファベット(グーグルの持ち株会社)、エヌビディアといったハイテク株が全体相場を引っ張る一方で、自動車大手のゼネラルモーターズ、金融大手のゴールドマン・サックスなどは年初来でマイナス。それでも米国の主要株価指数は史上最高値をつけているのです。今は「債券を売って、株を買う」といった相場ではないということ。何かを売って何かを買っているのです。

成長性の失われた従来型のコア銘柄を売却し、国際競争力が強かったり、業績成長性が高かったりする銘柄を買う外国人投資家の姿勢が顕著に表れた形といえるでしょう。ヘッジファンドや激しい売買を繰り返すデイトレーダーたちも、外国人投資家の波に合わせて銘柄を選んでいたら結果的に買った銘柄が値ガサ株ばかりに。それで売買単価が上がったのでは?

つまりこういうことです。外国人投資家が買う主力株だけが目立って上昇し、その銘柄群だけが連日のように年初来高値を更新したと仮定しましょう。すると、日本の相場が動いている時間に短期トレーダーのパソコンには「新高値更新」を知らせるネット証券経由のアラートが鳴り、短期の順張り資金が集まり始めます。ヘッジファンドも自ら設定した売買ルールに従って買い注文を入れていき、その後、想像よりも早く上昇すると売り方の買い戻しも誘発されます。

「外国人買い↓短期の個人投資家やヘッジファンドの順張り買い↓売り方の買い戻し」の連鎖で上がる株は、指標などに関係なく上がるのです。いくら割安でも、従来型優良株のトヨタなどは蚊帳の外。こういった銘柄の逆張りは、現状、非常に効率の悪い投資かも。今〝買うべき株〞は「株価の強い株」です。

2今月の投資戦略日本株

とかく全体相場(日経平均)の動きばかりに注目しがちだが、セクター別の推移に目を向けると、法則性が浮き彫りになってくる。その動きを踏まえたうえで投資戦略を練れば、今年後半の相場攻略は楽勝!?

半年周期で株価の浮き沈みが顕著になっている!

2万円台を回復したとはいえ、年初からの動きを振り返ってみれば、日経平均株価はさほど派手な動きを示していません。3月までは狭いレンジ内でのもみ合いが続き、4月中旬にかけては地政学リスクの高まりを受けて一時1万8200円台まで下げました。そこから反発して2万円台に乗せるまでは比較的急ピッチだったものの、以降は上値が重い展開となっています。

ところが、こうした指数の動きと対比させてみると、セクター別の株価の推移にはかなりの差が生じています。結論から言えば、半年周期で株価水準が大きく変化しているのです。過去6カ月間にわたって上昇が顕著だったセクターは、次の6カ月間で著しく低迷しています。

左ページの「業種別株価指数・騰落率ランキング」で詳しく見ていきましょう。2016年1〜6月はリスクオフ(リスク回避)の風潮が強まり、円高が進んだことから、全体相場は下げ基調が鮮明になっていました。その中で底堅い動きを示したのが情報・通信業、食料品、建設業、パルプ・紙です(2016年1〜6月のランキング、水色部分を参照)。建設業を除けばいずれもディフェンシブ系で、これら4セクターを内需系という共通項でくくることもできます。しかし、2016年後半の推移を見ると、前半上位の4セクターはいずれも騰落率で下位に入っているなど、対照的な動きになりました。さらに直近の今年1〜6月は、建設業以外がまたしても上位に復活を遂げています。冒頭でも述べた通り、今年の前半は全体相場がパッとしない動きだっただけに、ディフェンシブ系が物色されたようです。

続いて、2016年1〜6月に下位に入っていた保険業、鉱業、証券・商品先物取引業、銀行業を見てみましょう(2016年1〜6月のランキン グ、グレー部分を参照)。2016年後半は騰落率の上位に名を連ねたものの、今年1〜6月には保険業を除く3セクターが下位にダウンし、こち らも半年周期の変動が顕著となっています。

今年の前半戦で売られすぎたセクターに注目!

こうした法則性を念頭に置けば、今年後半における投資戦略のヒントが浮かんでくるでしょう。今年前半の騰落率で、その他製品がトップに立ったのは、任天堂株の大幅上昇がもたらしたものなので例外視したほうが無難です。その他の上位組を見渡すと、食料品やパルプ・紙、情報・通信業は法則性が高かっただけに、今年後半にはピークアウトする可能性が高いと考えたほうがいいでしょう。

より高いリターンを狙っていくなら、こうした上位組よりも下位組にフォーカスを当てたほうが得策かと思われます。銀行業、証券・商品先物取引業、鉱業のリバウンドに期待するというのが具体策のひとつです。一方、陸運業、繊維製品、石油・石炭製品が反発色を強める可能性も考えられます。少なくとも、売られすぎからの水準訂正の動きが見込めそうです。上場すれば米国アップルを抜いて世界最大の時価総額となることが確定的なサウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコも2018年のIPO(新規株式公開)を目指しており、サウジが原油の供給を絞り価格引き上げを狙ってくる、というのもありうる話でしょう。

セクターごとの浮き沈みに着目した投資を実行するのであれば、業種別ETF(上場投資信託)に目をつけるのが一考です。出来高が多くないのが難点ですが、個別に銘柄を吟味する必要がありません。今年後半に顕著な上昇が見込めそうなセクターに、手間なく資金を投じられます。

3 今月の投資戦略日本株

相場を牽引する銘柄を探す 日経平均株価2万台まで回復させたのは大型株だけの功績ではない!今月は、ジャスダックと並んで地味に好調な東証2部銘柄からピックアップ。

中小型株が絶好調。ジャスダック平均は26年ぶりの高水準

日経平均株価は1年半ぶりに2万円の大台を回復しました。どんな銘柄が買われているのでしょうか。相場の上昇局面では大型株が買われるという印象があるかもしれませんが、今回の2万円台までの上昇では中小型株もかなり買われています。

数値を見ると、日経ジャスダック平均は1991年以来、26年ぶりの高値水準になっています。新興市場と並んで上がっているのが東証2部市場です。東証2部株価指数の20%をシャープが占める点には要注意ですが、それを差し引いても好調といえるでしょう。

東証2部銘柄というと、東証マザーズのネット関連株やバイオ関連株と比べて地味なイメージかもしれません。確かに派手さはありませんが、地に足を着けてしっかりと利益を稼いでいる企業が多い。つまり東証2部には〝掘り出し物〞が多いということです。 下段・上の表には東証2部銘柄の今年前半のベストパフォーマーを掲載しました。上昇率トップのペッパーフードサービスは立ち食いの「いきなり!ステーキ」を展開する外食企業で、約半年間で株価は3倍以上になりました。その他の銘柄も、株価は軒並み2倍以上になっていて、東証マザーズやジャスダックに負けないパフォーマンスを見せています。

次は、業績が絶好調の東証2部銘柄。6月末現在、520銘柄以上が上場していますが、そのうち65銘柄が今期経常利益ベースで過去最高益を更新する見込み。その中で、増益率が高い銘柄をピックアップしています。

業績面にしっかりとした裏づけがある中小型株については、今後も物色のほこ先が向かうことでしょう。特に東証2部銘柄は、地味なだけにPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標面でも割安なまま放置されているケースが結構ありますから、〝掘り出し物〞が見つかる可能性大! 急落のリスクは抑えつつ大化けを狙える絶好のチャンスです。