ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

1今月の投資戦略日本株

株価水準をメインに考える これまで日本株を大きく上昇させる局面では必ず自動車株や銀行株の活躍があったのに、今回は違った! 出来高の大半を占める外国人投資家が買い越していたのは、大型の半導体関連株と内需株だったのだ。

祝! 2万円!!大台に導いたのは今回も外国人投資家

「値上げラッシュ!」、そんな6月になりました。6月に入ってから、はがき、電気料金、ビール、バター、かつお節などが値上げ、そして株も……。日経平均株価は6月になったとたんに上向き、1年半ぶりに2万円の大台に乗りました。一般的に考えれば、モノにしても株にしても、買うなら安いほうがいいですよね。値上げ前よりも値上げした後のバターを買いたいと思う人は少ないはずです。株だって同じで、値上がりする前に買わなかった株を、値上がりした後に買いたい人は少数派。逆張り好きが多い日本の個人投資家が、「2万円を超えたから株を買おう!」と心理が変化することは考えにくいでしょう。

2万円台乗せまでの過程も乗せた後も、構図は同じでした。個人投資家が利益確定のために売却する株を、外国人投資家をはじめ日銀によるETF(上場投資信託)の買い、事業法人の自社株買いなど、プロが買いまくっていたのです。日銀や事業法人は政策上の決まり事としての買い付けですので、自らの意思で買ったのは外国人投資家だけということになります。

日経平均が2万円台に乗るまでの期間に起こったことの検証は、外国人の投資行動を学ぶうえで有効です。

米国の株式市場でも同じことが起こっている!

今回の日経平均2万円の状況は、前回(2015年12月)の日経平均2万円のときとはまるで違います。今回は、株価の高い値ガサ株が好んで買われた形跡がありますので、データで検証してみましょう。

前回は東証1部の売買単価が約1200円でした。売買単価とは1株当たりの平均売買金額のことで、「売買代金÷出来高」で求められます。その売買単価が、今回は1400円台まで上昇。これまでの推移と比べてみても、かなり高い水準です。

株価が高く、売買が活発だ った銘柄の代表格は任天堂です。任天堂が盛り上がると売買単価は上がりますが、同時にキーエンス、SMC、ディスコ、東京エレクトロンなど大型の半導体関連株、さらに大型内需株の良品計画やニトリホールディングス、大東建託……幅広い業種の値ガサ株がガンガン上がりました。

こういった株の上昇に日本株全体が持ち上げられた一方、トヨタ自動車を筆頭とする自動車株大手やメガバンクの株価は年初来でマイナスです。自動車と銀行が上がっていないのに株価指数がグイグイ上がる相場は本当に強いのか、と疑問に思いますよね。

ただ、この現象は日本だけでなく、米国でも起こっていました。アップルやアルファベット(グーグルの持ち株会社)、エヌビディアといったハイテク株が全体相場を引っ張る一方で、自動車大手のゼネラルモーターズ、金融大手のゴールドマン・サックスなどは年初来でマイナス。それでも米国の主要株価指数は史上最高値をつけているのです。今は「債券を売って、株を買う」といった相場ではないということ。何かを売って何かを買っているのです。

成長性の失われた従来型のコア銘柄を売却し、国際競争力が強かったり、業績成長性が高かったりする銘柄を買う外国人投資家の姿勢が顕著に表れた形といえるでしょう。ヘッジファンドや激しい売買を繰り返すデイトレーダーたちも、外国人投資家の波に合わせて銘柄を選んでいたら結果的に買った銘柄が値ガサ株ばかりに。それで売買単価が上がったのでは?

つまりこういうことです。外国人投資家が買う主力株だけが目立って上昇し、その銘柄群だけが連日のように年初来高値を更新したと仮定しましょう。すると、日本の相場が動いている時間に短期トレーダーのパソコンには「新高値更新」を知らせるネット証券経由のアラートが鳴り、短期の順張り資金が集まり始めます。ヘッジファンドも自ら設定した売買ルールに従って買い注文を入れていき、その後、想像よりも早く上昇すると売り方の買い戻しも誘発されます。

「外国人買い↓短期の個人投資家やヘッジファンドの順張り買い↓売り方の買い戻し」の連鎖で上がる株は、指標などに関係なく上がるのです。いくら割安でも、従来型優良株のトヨタなどは蚊帳の外。こういった銘柄の逆張りは、現状、非常に効率の悪い投資かも。今〝買うべき株〞は「株価の強い株」です。