ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

比較的穏やかな動きとなった6月の外国株相場。不安材料が少ない半面、インパクトのある好材料もなく平凡な展開となった。今後の行方はどうなるのか? 今月も外国株投資に関するホットな話題を盛りだくさんにお届けします!

米国の利上げペースは鈍化か? NYダウは2万1000ドル台維持

6月の外国株相場は、米国で利上げペースの鈍化が観測されてNYダウが緩やかに上昇する一方、中国本土では中国A株のMSCI指数への組み入れが好感されて上海総合指数が上伸するなど、おおむね堅調な展開となった。

なかでもベトナム株は、同国政府による財政健全化策の実施や個人消費の拡大などが買い材料となり、主要インデックスのVN指数が1カ月で約5%も上昇。さらなる上げ相場も期待できそうだ。

FRB(連邦準備制度理事会)は米国時間6月14日、政策金利を0・25ポイント引き上げ年1〜1・25%にすることを決定。だが、同日のNYダウは前日終値比46ドル高の2万1374ドルと史上最高値を更新した。この日発表された米国の5月のCPI(消費者物価指数)が弱い数値であったため、利上げペースはそれほど速まらないとの楽観が広がったからだ。その後、NYダウは6月19日に2万1528ドルと過去最高値をさらに更新。トランプ米国大統領の「ロシアゲート」疑惑などをこなしつつ、月末まで2万1000ドル台を維持した。

中国株相場は、A株がMSCI指数への採用が決定したほか、中国の5月末の外貨準備高が前月比240億ドル増の3兆540億ドルと資金流出に歯止めがかかったことなどがプラス材料となって上伸。中国本土市場の主要インデックスである上海総合指数は1カ月間で1・8%上昇した。

一方、香港市場は、中国本土からの資金流入などによって急上昇した前月までのペースが減速し、主要インデックスであるハンセン指数の上昇率は0・4%にとどまった。

ベトナム株は、VN指数が6月29日に770ポイントの大台を突破。ほぼ9年ぶりの高値水準で推移している。好調な消費を反映して、乳業最大手のビナミルクなどが大きく値上がりした。

今月の注目国 秋の党大会に向けて上昇期待が高まる中国株

公共投資の拡大でインフラ関連銘柄に注目が集まる

4月に年初来高値をつけて以来、軟調相場が続く中国株。主要インデックスである上海総合指数は、4月のピークを100ポイントほど下回る3100ポイント台(7月上旬現在)で低迷している。

「足元の中国経済は個人消費、輸出、公共投資のいずれも堅調です。にもかかわらず中国株相場が盛り上がらないのは、秋に控える中国共産党大会に向けて、経済の“安全運転"が最優先されているからでしょう」とみるのは、DZHフィナンシャルリサーチの池ヶ谷典志さん。

5年に1度開かれる中国共産党大会は、党と中国政府の人事を決める重要な場だ。そのため、昇進を目指す党幹部らは、失点を避けるために無難な経済運営を志向しやすい。

「そのため、株価が大きく上がることは期待しにくいが、当面は底堅い状況が続くはず。党大会の“前哨戦"となる夏の北ほく載たい河が会議が終わり、新人事の概要が見え始める秋の党大会にかけては、期待とともに株価が上がる可能性が高いとみています」(池ヶ谷さん)

では、どの分野の中国株が上がりそうなのか。7月に発売された最新の『中国株二季報2017年夏秋号』では、投資テーマと有望銘柄として「AI(人工知能)」「雄安新区」「PPP(官民パートナーシップ)」の3つにフォーカスしている。

「このうち雄安新区、PPPの2つは、『一帯一路』(中国と欧州を結ぶ巨大な広域経済圏構想)と並ぶ中国の公共インフラ投資の目玉であり、建 材や建機などのインフラ関連銘柄が恩恵を受けそうです」と池ヶ谷さんはみる。

このテーマに沿って池ヶ谷さんが有望銘柄として挙げてくれたのが、建材メーカーの北京金隅と、準大手建機メーカーの中国龍工だ。

「北京金隅はセメント製造を中心とする建材事業を展開しており、北京や河北省を地盤としているのが強み。河北省保定市の東部に“副首都"として建設される雄安新区プロジェクトの恩恵を直接的に受けることができます。足元の株価はやや下げていますが、9月ごろには雄安新区プロジェクトの具体的な計画が発表されるとの見通しが強まっており、再び株価を上げるかもしれません」(池ヶ谷さん)

一方、中国龍工は、ホイールローダー、フォークリフト、ショベルカーなどの生産を主力としており、こちらも公共インフラ投資拡大の恩恵をストレートに受けられる。

「『一帯一路』ばかりが注目されがちですが、民間資金も取り入れて公共投資に弾みをつけるPPPはこれまでに700件以上が承認されており、合計投資額は1兆8700億元(約31兆円)にも上ります。今後も増えることは確実で、関連銘柄にとっては大きな追い風です」(池ヶ谷さん)

米国株を買わないのは、なぜですか?

第37回 日米のバイオ医薬品メーカーで対決

アムジェンは医薬品の開発や業績に今後も期待

今年もやはりバイオ関連はテーマ株として注目されており、日本ではベンチャー系の銘柄が期待先行で買われがちです。今回は日本で医薬品メーカー首位の武田薬品工業と、米国はバイオ医薬品大手のアムジェンで比較してみました。

まずアムジェンは、遺伝子組み換え技術を基盤にした医薬品の開発で先行しており、業績も右肩上がりで、今期以降も増益を見込んでいます。

世界最大の独立バイオテクノロジー企業で、バイオ関連での収益実績は安定的かつさらなる今後の期待が持てる注目銘柄です。

武田薬品工業はガン、中枢神経、消化器領域に重点を置き、M&A(企業の合併・買収)や事業売却で選択と集中に注力。ただし、安定した利益を 出していますが、売上高は昨年度で頭打ちの状態です。

同社は高配当のイメージが強く、ディフェンシブ関連として日本では人気のある銘柄のひとつですが、比較チャートを見るとアムジェンは上昇トレンドにあり、さらに予想PERも低くこれからさらに期待がもてます。

同社はROEも非常に高く、自己資本を効率よく使っていることがわかります。注目銘柄のひとつですね。

スパイシ〜・マ〜ケットの歩き方

第64味 インドネシアジョコ政権に求められる改革スピード

主要格付け会社がインドネシア債券を「投資適格」に格上げ

米国の格付け会社S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)が今年5月19日、インドネシアの長期債信用格付けを1段階引き上げ「BBBマイナス」にすることを発表しました。

同国の格上げについては、すでにフィッチが2011年に、ムーディーズが2012年に格上げを実施しており、これにより主要格付け会社3社がそろって債券を投資適格として認めたことになります。

インドネシア経済のGDP(国内総生産)成長率推移をたどると、2011年から2015年にかけて減速傾向にありましたが、2016年に入ってからは再加速する格好になっています。

同国の人口規模や年代別構成比率などから、経済成長と市場拡大の期待が大きいのですが、ほかの新興国と比べるとインドネシアの1人当たりGDPの伸びがやや出遅れています。

インドネシア経済が抱える最大の課題は、インフラ開発の遅れと、ビジネス環境の未整備です。慢性的な財政赤字状態のため、常に財源不足が続いてきたことも要因とされています。

そのため今回の格上げは、債券発行による資金調達などの面で追い風になると言えるでしょう。また、同国のジョコ・ウィドド政権による取り組みが評価された面もありそうです。

2014年10月に誕生したジョコ大統領ですが、就任直後に財政負担となっていた燃料などに対する補助金の大幅削減に着手し、インフラ関連予算の拡大に踏み切りました。

さらに、手続きの簡素化、ネガティブリスト(外資企業に対する参入規制)の改正、経済特区への投資減税などを盛り込んだ14本の経済政策パッケージを2015年9月から2016年末にかけて、矢継ぎ早に打ち出しています。ジョコ政権は2017年4月に任期(1期=5年)の折り返し地点を通過しましたが、依然として60%近い高い支持率を維持しています。

足元のインドネシア経済の復調は、こうしたジョコ政権の取り組みが功を奏し始めた段階といえそうです。

今後の課題は、このまま同国経済の加速を軌道に乗せ、外資を流入させることができるのか。そして、さらに経済を加速させて好循環を維持していくことができるのか。

一層の改革スピードが注目ポイントとなりそうです。

取材・文●渡辺賢一