ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

ファンド資金流出が止まったトルコリラは上値を狙えるか?

エルドアン政権による強権体制はリスク要因だが、好調な経済成長が続く状況は魅力的。ファンド資金の流出にも歯止めがかかり、政策金利の上昇があればトルコリラ相場に追い風か。

今月の先読み先生

e ワラント証券投資情報室長小野田 慎 さんMAKOTO ONODAイボットソン・アソシエイツ、ゴールドマン・サックス証券を経て現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を生かし、幅広い資産の分析を行なう。

政治リスクは高いが相場を後押しする材料あり

トルコリラ相場は下落傾向を続けていましたが、今年に入ってからは安定的に推移しています。トルコのエルドアン大統領による強権体制が強まったことはネガティブに捉えられましたが、GDP(国内総生産)成長率も堅調ですし、鉱工業生産指数も伸びています。今後、上値が狙えるのかを考察してみましょう。

下段・上の図は、2015年以降のトルコリラ/円と国内公募投資信託の純資産総額の推移を比較したものです。公募投信はトルコの株式、債券、為替を投資対象とする投信で、円建てのものを集計しています。

純資産総額は2015年1月と比べて2017年6月時点で3分の1以下になっていますが、為替相場は半値にもなっていません。このことから、解約による資金流出が残高減少の主な要因と考えられます。ただし、2017年に入ってからは残高も安定推移しており、資金流出に歯止めがかかった可能性があります。

今後のトルコリラ相場については、米国の政策金利引き上げに対応するためにトルコも追従して政策金利を引き上げる可能性が考えられますが、国内経済が堅調であることからポジティブな引き上げであり、トルコリラ相場にとっては追い風といえるでしょう。

トルコリラ/円の予想レンジですが、8月末には50%の確率で30・2〜32・3円のレンジ、9月末には50%の確率で30・0〜32・5円のレンジを想定します。

トルコはサウジアラビアやエジプトなどが断交したカタールと友好関係にある一方で、エルドアン大統領はサウジアラビアのムハンマド新皇太子といち早く電話会談を行ない関係強化に努めていることから、中東において仲介役とな ることが期待されます。しかし仲介策が失敗し、米国やサウジアラビアと対立することになれば、トルコリラ相場にとってはネガティブ材料となることには注意が必要です。