ネットマネー 2017年9月号より一部を特別公開!

今月の注目点 年1回決算タイプの投信が台頭

投資信託は投資先や基準価額、純資産総額、騰落率など、項目が多数存在する。
そこで、このページでは多数ある投信の中から旬なテーマを選択して、ランキング形式で紹介していく。
今月は10年超実績のある投信などの最新事情を探ってみよう。

教えてくれたのは、楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田尚子さん
慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品。

10年超運用実績があるベテランファンドは毎月分配型が軟調

2017年6月の世界の株式市場は、米国のハイテク株こそ軟調な地合いが続いたものの、金利上昇を受けて金融株が上昇したことと、良好な企業業績にも下支えされ、NYダウ、S&P500種が5月に引き続き史上最高値を更新しました。

日本の株式市場も、為替市場で円安・ドル高が進行したことに加えて、相対的な日本株の割安感が意識され、日経平均株価は月末に年初来高値を更新しました。

こうした中、10年以上の運用実績を誇る、いわゆる「長寿」ファンドについて、6月の月間純流入合計額が大きかった順に並べてみたところ、国内株式、リート、ハイイールド債券と、幅広い資産タイプがランクインしました。

2・3・6・8~10位の計6本を占めたのは毎月分配型です。いずれの銘柄も、基準価額が1万円を大きく割り込んでおり、直近で分配金の引き下げを行なったファンドも含まれています。

新興市場の中小型株を組み入れたインド関連が首位に

一方、2位以下を大きく引き離して首位に立ったのは、主としてインドの株式を投資対象とする「野村インド株投資」でした。このファンドは、MSCIインド・インデックスをベンチマークに掲げたアクティブファンドで、2005年の運用開始以来、おおむねベンチマークを上回る良好な成績を収めてきました。なお、決算回数は年1回です。

また、4位につけた「DIAM国内株オープン」も、年1回決算の「非・毎月分配型」です。「自由演技」という愛称の通り、投資環境に応じて集中投資と分散投資を機動的に行なう国内株式のアクティブファンドです。

ポイントは、時価総額の大きい東証1部上場の大型株だけでなく、新興市場銘柄や中小型株も柔軟に組み入れるという点。入念な銘柄選定が功を奏し、10年以上にわたってベンチマークであるTOPIX(東証株価指数)を上回る成績を収めてきました。

日本の投資信託市場は、長きに渡って毎月分配型一辺倒の状態が続いていましたが、最近は、こうした実績のあるファンドを見直す動きも出ています。年1回決算型の投信で、好調な成績を収めるタイプが多くなってきました。

米国のIT巨人に投資するファンドが運用好調

主として米国の株式に投資を行なう投資信託(ブル・ベア、SMA/ラップ、確定拠出年金専用ファンドを除く)を抽出し、6月の月間純流入合計額が大きかった順に次ページに並べてみたところ、「netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が約73億円を集め、首位に立ちました。

このファンドは、インターネット業界の成長により収益増が期待できる企業に投資を行なう、テーマ型の「元祖」ともいえる投信です。

アルファベット(グーグル)、アマゾン、アップル、フェイスブックと、今や米国株式市場を代表するハイテク企業が組み入れ上位に名を連ね、6 月末までの過去5年間の騰落率(分配金再投資後)は187%を超えています。

2位・3位につけた「ブラックロック・米国小型株式 ビッグデータ戦略ファンド」と、5位・10位につけた「GSビッグデータ・ストラテジー(米国小型株)」は、昨今注目を集めているビッグデータやAI(人工知能)を運用手法の中に取り入れたファンドです。アナリストがカバーしきれない小型株の銘柄選定にビッグデータを活用している点が特徴です。AIといえば、将棋の藤井聡太四段が棋力向上に活用していることでも話題になりましたね。

投信耳寄り情報

5月に続いてJPMジャパン首位

純資産総額10億円以上の国内追加型株式投信(ブル・ベア、SMA/ラップ専用ファンドを除く)を過去1年間の騰落率が高かった順に並べ替えたところ、5月に引き続き「JPMジャパン・テクノロジー・ファンド」が首位に立ちました。

このファンドは、日本のテクノロジー関連企業を主要投資対象とするアクティブファンドで、ジャスダックやマザーズなどの新興市場銘柄にも積極的に投資を行なう点がポイントです。機動的に投資できるので、相場の上下動にも強いということですね。

そのほかでは、ロシアルーブルやブラジルレアルなどの新興国通貨の為替取引を組み合わせた、いわゆる通貨選択型も複数本ランクインしました。

※120~122ページのデータはすべて2017年6月末現在。ETF(上場投資信託)とDC(確定拠出年金)・SMA(投資一任勘定)口座専用ファンド、またデリバティブ(金融派生商品)型を除く。販売手数料、信託報酬は税込み。データ提供:ISIDフェアネス、QUICKのデータをもとに楽天証券経済研究所が作成