ネットマネー 2017年10月号より一部を特別公開!

そう遠くない将来の賃貸需要の減少を見据えて、経営の多角化を図る「大家さん」が増えている。新たな投資先として注目を集めているのが、トランクルームと貸し会議室だ。そこで保有物件の一部をトランクルームに改装したケース、初期費用の安いコンテナ経営に乗り出したケース、駅近物件を需要が増えている貸し会議室にしたケースを紹介しよう。アイデア次第で、不動産投資はまだまだ有望だ!

テナント物件を改装、トランクルーム63個で年間売上高360万円!

個人のほか、法人では税理士事務所などの書類の多い職種が利用

専業大家さんの生形大さんが経営するトランクルームは、山梨県の甲府駅から車で10分ほどの住宅地にある。購入時は5階建ての1・2階が商業テナント仕様、3階以上が賃貸住宅仕様だった。価格は1億円を超えていた。

「私が大家として独立するきっかけとなり、物件の売買で世話になった営業マンに久しぶりに会ったとき、ちょうどいい物件が出たところだと教えてもらいました。テナント用8室のうち2階の4室がすべて空いているため、住居用にコンバージョン(改築)して引き渡すという話でした」

生形さんは、2つの理由により「そのまま引き渡してほしい」と相談した。

「このあたりは車なしでは生活できません。1人に1台は必要なのに駐車場が狭く、住居をこれ以上増やしても借り手が見つからないと考えたことと、トランクルーム経営に興味があり調べていたというタイミングが理由です。そのままでいいから売値を下げてほしいと交渉しました」

その結果、2000万円以上の値引きが実現して9100万円に。表面利回りは15%から20%へ上がった。とはいえ、「ここでトランクルーム経営が成り立つという自信はありませんでした。そこで4室のうち一番奥の1室をトランクルームに改装して、13個のトランクを設置しました」。

2014年8月のオープン当時の利用料(間口90㎝×奥行き75㎝×高さ100㎝の場合)は月1980円から。保証料、仲介手数料、更新料は不要という条件だった。「オープン当初は新聞の折り込みチラシを利用したんですが、反応は薄く、ほとんどがインターネットで検索して申し込むという形でした。埋まるのは月に1~2個というペースですが、賃貸住居のように複数を比べてから決めるということはなく、内覧したお客さまはほとんど契約していきます。利用料の値下げ交渉もないですね」

競合店との差別化と銀行融資に向けた綿密な事業計画が必須

ゆっくりながらも順調に埋まり、2015年2月に第2期増床、翌年3月に第3期増床を行なった。利用料収入は現在月30万円程度、63個すべてが埋まると月40万円の利用料が入る想定なので、あと一息というところまで来た。利用者の年齢層は40代が中心。子供が大きくなって使われなくなっても、捨てられない不要品が増える年代だ。法人では税理士事務所やクリニックのような書類が多い職種の人が利用する。

生形さんは「自信がなかった」というが、実は需要があった。地元の人の話では、就職や結婚を機に広い実家を出て狭いアパートに住む人が増えていて、荷物の置き場所に困っているという。また、生活設備が整ったマンスリーマンションを法人が借りて、単身赴任者や長期出張者の住居にしているケースもトランク需要を後押ししている。

トランクルームは駅近である必要はない。特に車移動が当たり前の地方都市の場合、周辺が住宅地であれば需要はありそうだが、ライバルが少しずつ増えているので明確な差別化も必要という。

「開業当初は屋外コンテナがライバルでしたが、24時間出し入れ自由にして利便性を高め、セキュリティーカメラを取り付けて安全性を確保、内装は清潔感に配慮し、床にはタイルカーペットを敷き詰めました」

賃貸住宅の需要と供給のバランスが崩れ始めた今、大家さんの立場では住居とトランクルームを同時に経営してリスク分散を図りたくなるが、障害になりそうなのが銀行融資の審査だ。生形さんは実績があるので問題ないが、実績のない大家さんが融資を受ける際、たとえば「1階の部屋をトランクルームに改装します」と申告すると断られる可能性が高いため、慎重な事業計画が求められる。

認知されるまでに約1年?リサーチを丹念に行ない年間収益310万円!

マンション経営よりも管理が楽で、収入も安定?家賃滞納もないのが魅力

本誌9月号では、コインランドリー経営成功の秘訣について話してくれた専業投資家の紀村奈緒美さん。今回はもうひとつの投資先であるコンテナ収納経営について語ってもらった。紀村さんがコンテナ収納に興味を持ったのは、7年前の不動産投資を始めて間もないころだった。

「何社もの業者に問い合わせたのですが、まったく相手にしてもらえませんでした。相手の立場になれば、それも当然で、コンテナを置く土地も持っていないのに経営したいと言われても、対応に困ってしまったんでしょうね」

しかし、それでも諦めることなく、1年近く業者に問い合わせ続けたという。粘り強い努力が幸運を引き寄せたのか、突然、転機が訪れる。

「偶然、コンテナ投資家のブログを見つけ、直接お会いし、投資家同士で情報交換をしながら信頼を培っていったところ、業者を紹介してもらえました。そうしてその業者から、横浜でオーナーチェンジ予定の情報をいただき、その場で、『私にやらせてください!』と即答しました」

2014年4月、紀村さんはコンテナ3個、11部屋分を300万円で現金購入。月々の利益は約11万円で、購入時の利回りは35%。投資した300万円はすでに回収しているので、現在の利回りはほぼ100%だという。

「コンテナ収納経営の魅力は、収益の安定性がずばぬけていることです。借り手がつけば、ほぼ永続的に利用し続けてくれます。また、賃料の回収は業者が行なってくれるので、家賃と違って滞納がないこともうれしいですね」

同年6月に千葉県八千代市で2件目のコンテナ収納を購入。合わせて310万円の年間収益を得ている紀村さん。今後も積極的に投資先を拡大していきたいと意欲的だ。

稼働率2割でも黒字に!駅近、清潔、料金設定の絞り込みがポイント

貸し会議室は高利回りに加え、管理の手間がかからないことが魅力!

会社勤めと並行して不動産投資を始めて3年になるダイさんが、貸し会議室経営に乗り出したのは今年3月のことだった。

「きっかけは、投資仲間から貸し会議室経営について聞いたことでした。大家業より手間がかからず、かつ収益も安定していると知り、自分もやってみようと思ったんです」

会議室という性質上、平日も週末も人が多く訪れるところで、利便性も考えて駅から3分以内という条件で物件を探し始めたが、なかなか見つからずに苦労をしたという。

「不特定多数の人が出入りすることを嫌って、会議室としての利用を認めてくれないところが非常に多かったです」

50件ほど断られた末に見つけたのが、東京・新宿御苑前駅近くの雑居ビルの1室。

「ビルのオーナーが理解のある方で、前の入居者の敷金で壁紙や床の張り替えなどを行なってくれて助かりました」

敷金、礼金、仲介手数料、前家賃分が約100万円。そのほか、机や椅子、ホワイトボードなどの設備に約30万円かけて整え、貸し会議室専門サイトに登録したところ、続々と予約が入ってきたという。

「平日は時々空きがでることもありますが、土日はほぼ予約でいっぱいです。稼働率2割でも黒字が出る価格設定にしていたので、約37%の高い利回りを実現できています」

貸し会議室は、マンション経営と比べると、利回りの高さもさることながら、管理の手間が格段に楽なことが魅力だという。

「私がやることといえば、毎朝出勤前に立ち寄って10分ほど掃除をするくらいです」

いずれは、貸し会議室経営を本格的にビジネスとして成立させたいと語るダイさん。すでに新たな物件を手に入れるべく、動き始めている。

アパ・マン投資とそのほかの不動産投資は根本的に違う

家賃収入は“硬直性"が高くて比較的リスクが低いが、トランクルームなどの利用料収入は“変動性"が高いため事業として本腰を入れる必要がある。決して片手間でできる投資ではない。

アパ・マン大家さんが不動産投資の多角化を考え始めている

アパート・マンション投資が冬の時代に入りつつある。不動産コンサルタントの長嶋修さんは「収益性が大きく下がっている」と指摘する。

「アベノミクスが始まった2012年以前であれば、都心の中古ワンルームでも利回り9%、10%という物件がたくさんありましたが、今は6~7%程度で、新築では4%台まで下がっています。収益性が高いといわれる木造のアパート1棟でも10%という物件はそうそうありません」

そのため、多くの大家さんが不動産投資の多角化を考え始めた。なかでもトランクルーム、貸し会議室、駐車場経営などはアパート・マンション投資の延長線上にあるように映る。しかし長嶋さんは「まったく別物」と捉えている。

「アパート・マンション投資は賃料の"硬直性"が高い(賃料の上下動が少ない)という特徴があります。10万円の家賃が次の更新で5万円に下がることはほずないし、立地と企画にもよりますが一般に入居者は長く住み続ける。しかしトランクルームなどから得られる収益は、一般論では"変動性"が高く安定せず、事業性が高い投資といえます。アパート・マンション投資とトランクルームなどの投資は同じ不動産投資でも根本的に違うものなのです」

需要予測や賃料の設定も容易ではない。アパートやマンションはどこにでもあるので、周辺の需要や相場を探りやすいが、たとえばトランクルームの場合、自分の行動範囲に何カ所もあるというケースはまれだろう。

「コンテナを積み上げるタイプのトランクルームは米国で始まり、日本で認知されるようになったのはここ10年くらいのことです。当初は住居が狭い日本では大成功すると思われましたが、現状を見る限りそうでもありません」

矢野経済研究所の推計では収納サービスの国内市場規模は2011年度は455・5億円、2015年度は603・4億円だった。5年で3割以上増えているが、確かに市場が急拡大しているとは言いにくい(上のグラフ参照)。

不動産ポートフォリオの一部にトランク投資を組み込むのなら"アリ"

「アパート・マンション経営はミドルリスク・ミドルリターンなのでサラリーマン大家さん向きでしたが、それ以外の不動産投資は決してミドルリスクではありません。不動産ポートフォリオの中の一部で行なうというのは"アリ"だと思いますが、単独で運営する場合は起業するくらいの意気込みが必要でしょう」

長嶋さんのアドバイスを肝に銘じておきたい。

中古マンション投資 「空室保証」で安心をサポート!

マンション投資では、割安で需要も多い人気エリアの中古ワンルームを選ぶのが定石。しかも、独自の「空室保証」で安心を提供するギブコムのセミナーには毎回多数の人が詰めかける。 

首都圏の人気エリアの中古ワンルームに照準

給与はなかなか増えないし、将来的に公的年金もアテにはできそうにないだけに、コンスタントに家賃収入が入ってくるマンション投資に注目する人が増えている。人気の中心は、新築よりもはるかに割安な中古マンションだ。

「当社は安定的な需要が見込まれる中古のワンルームマンションに取り扱いを絞り、東京・橫浜・川崎の人気エリアで厳選しています。銀行とのパイプが太いことから、ローン金利も他社を通じて組んだケースよりも有利なため、頭金10万円から始められます」

こう語るのは、中古マンション投資を全面的にサポートするギブコム不動産営業部の寺地央さん。つまり、借り手が見つかりやすい物件に有利な条件で投資できるわけだ。

万一の空室長期化でも家賃の95%は着実に入る

万一、空室が出ても同社独自の「空室保証」が用意されているから安心だ。ちまたでもめ事になりがちな賃料保証とは異なり、空室の長期化で家賃設定が減額されることもない。

「オーナーさまと入居者が直接交わす透明性の高い契約で、空室発生から最初の30日間は免責期間ですが、31日目からは次の入居者が見つかるまで家賃の95%相当を当社がお支払いし続けます。一般的な賃料保証の管理手数料は10~20%ですが、当社の『空室保証』は5%(税別)とコスト面でも有利ですね」(寺地さん)

こうした好条件に着目し、現地を自分自身で直接確認することなく、地方在住のまま投資しているという人も少なくない。また、2部屋目、3部屋目と保有物件数を増やすケースも多いとか。わずか10万円の頭金で安定的なフロー(家賃収入)をゲットできるのだから、それも当然だろう。