ネットマネー 2017年10月号より一部を特別公開!

夏枯れしない出来高安定の好材料・上昇株

8月の相場は、外国人投資家がバカンスでいなくなるので商いは薄くなりがち。個人投資家は個別に材料が出た銘柄の物色で動く。

そこで今月はもうすぐ夏も終わりになってしまうが、出来高が安定して見込める「夏枯れしない」銘柄をテーマに設定。

7人の株プロが日本の個人投資家に人気が出そうなお宝銘柄を選んでくれた。

抗インフルの新薬を開発中。夏場に先回り買いで待つ

「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言があるが、今は夏。ここは「インフルエンザ薬を買え」のシーズンだ。

塩野義製薬は、あの「タミフル」よりも少量の投与でそれを上回る薬効が期待できる新タイプの抗インフルエンザ薬「S -033188」を開発中だ。

7月下旬には健常なインフルエンザ患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験の結果が発表されたが、ウイルスに対する攻撃力ではタミフルを上回り、副作用の発現率が低いという好成果が得られた。

厚生労働省から先駆け審査の対象になっているため、早期の製造申請が可能なら、来年春にも発売できる可能性がある。タミフルの開発会社であるロシュが同薬剤の開発・販売パートナーについているのも期待が大きい。

また、欧米で抗HIV(エイズウイルス)薬、国内では抗うつ剤が順調に売り上げを伸ばしており、最高益更新中という好調ぶり。株価は長期上昇波動を形成中である。この押し目をうまく拾って、秋から冬の上昇波に乗りたい。

治験が進行中の遺伝治療薬のバイオベンチャー

アンジェスは、遺伝子治療薬のグローバルリーダーを目指す創薬バイオベンチャー。

事業領域は3つある。まず遺伝子治療薬、核酸医薬品、DNAワクチンなど遺伝子医薬の研究開発。2つ目は重症虚血肢、リンパ浮腫、ムコ多糖症など希少疾患など、有効な治療法がない疾患を対象とした難病領域。3つ目は田辺三菱や塩野義などの製薬企業と提携した商業化だ。

その中で開発が進み、スピード感を伴ってきたのが重症虚血肢対象のHGF遺伝子治療薬だ。HGFは血管、リンパ管、神経など生体のさまざまな臓器・組織の形成・再生で重要な役割を持つ遺伝子。重症虚血肢の世界の潜在患者数は50万人と推定され、有効な治療法が必要な市場だ。国内医師主導臨床研究はすでに6例目の被験者へ投与されている。

創薬ベンチャーである同社は、継続的な営業損失の発生や営業キャッシュフローのマイナスを計上。決算には「上場継続の疑義」が注記されている。ただ資金需要の高まりは治験進化の証明だ。

精密加工用研磨剤を半導体業界に供給。スマホの好需要が追い風

同社は関東の綿紡績の先駆け。「B.V.D」ブランドが著名。精密加工用研磨材が収益の柱だ。

半導体デバイスであるCMP(化学的機械研磨)材料が、半導体の数量増や3次元化などを背景に拡大傾向にある。CMPとは多数の配線層からなる半導体機器を層ごとに研磨し、平坦化する技術。

同社では超精密加工研磨パッドを手がけている。研磨対象のウエハーを取り付けた研磨装置のヘッドを、研磨パッドを貼り付けた常盤に押し付け、スラリー(泥状研磨材)を流しながら双方を回転させて研磨する。研磨パッドは消耗品で、パッドを含むCMP関連市場は、半導体がIoT(モノのインターネット)やスマホの高性能化に合わせて伸びている。

特に性能を上げるためのフラッシュメモリーの3次元(積層)化や微細化の流れは、CMPの工程数の増加に直結する。CMPが使われる4工程のうち、同社は特に微細化に向け先端研磨パッドで高いシェアを誇る。好材料が出れば株価を刺激するだろう。

エコバッグでトップの雑貨プロデュース会社。電子たばこにも進出

雑貨を企画・デザインし、中国やアジア諸国で製造し、国内で販売中。企業のノベルティーグッズに強く、エコバッグではトップシェアだ。

顧客の要望に合わせたデザイン性の高い雑貨製品を扱うカスタムメイド雑貨事業と、自社で企画して見込み生産形態で製造した雑貨製品を扱うオリジナル雑貨事業が2本柱。カスタムメイド雑貨事業では、無地のグッズを大量製造によってコストを抑えて、アイドルや歌手、声優などの写真などを印刷して販売するイベント物販グッズが好調だ。

また、電子たばこに注力しており、VAPE(電子たばこ)セレクトショップ「vape studio」をオープンしている。

工場を持たないファブレスで、最もコストが低い製造拠点に製造委託先を変更していく手法、粗利益は低いが大量に販売できるカスタムメイドと粗利益は高いが在庫リスクのあるオリジナル事業を組み合わせる手法で、同業他社と差別化。VAPE事業は夢がある巨大市場で、成長が期待できる。

リチウムイオン電池の部品を生産。EV業界の規模拡大が好材料

環境汚染が深刻な中国だけでなく、地球温暖化対策の高まりでテスラモーターズが爆発的な売り上げを計上している。また、脱ガソリン車の切り札のはずのディーゼル車の不正などにより、欧州では一気に電気自動車にシフトしている。

そんな中にあって、EV関連の業績が拡大するとみている。なかでもで最大限の恩恵を受けると思われるダブル・スコープに注目。

同社はリチウムイオン電池で重要な部材であるセパレーターの専業大手だ。株価は上昇基調だが、昨年の高値の6割程度の水準にすぎない。理由は度重なる生産ライン建設のために公募増資をしたり、量産開始前のいろいろな不具合を調整したりと先行費用等がかさんだからだ。

しかし、量産体制の準備は進んでおり、第1四半期減益発表で売られたことは絶好のチャンスだ。また同社は信用取引の売り残が買い残を上回る売り長の状態が続き、さらに空売りファンドからもカラ売りを集めている。今後の利益の増加基調が明らかになれば、上昇相場が期待できる。

リチウムイオン電池のを作る部品工場の生産ラインが安定的に稼働開始

リチウムイオン電池のセパレーター専業メーカー。韓国で生産して米国や中国に販売。量産移行時期が遅れていた工場の生産ラインが、今年1月から安定的に稼働し始めた。

リチウムイオン電池が最も注目されている分野はEVだろう。中国でのEV向けの需要に加え、米国ではEV専業のテスラモーターズが販売好調で、今後の需要拡大が期待されている。

2016年5月には、セパレーターの需要増による収益拡大期待から株価は3675円の高値をつけた。しかし、量産計画の遅延などを嫌気して株価は軟調に推移。

足元の業績を見ると順調に推移しているほかに、以前に比べると投資家からの過度な期待はなくなったといえるだろう。

株価チャートを分析する限りでは、株価は中長期的な底を打った可能性も考えられる。ただ、短期的に見れば株価の上昇は急ピッチだ。株価が今後下落した場合は押し目の可能性が高い。株価のさらなる上昇を期待して、そこで押し目買いを行ないたい。

建設などで使われる機械メーカー。売上高の7割が海外向け

マテハン(マテリアル・ハンドリング)機器のトップメーカー。マテハンとは、工場や建設現場、輸送物の積み降ろしなどの現場で、大型フックとチェーン巻き上げ機などを用いて重量物を持ち上げ、移動させる機器のこと。また、同社はクレーンなども製造している。底堅い需要が見込まれている設備投資関連銘柄として選んだ。

売上高の7割超を海外向けが占めているが、品質管理などを重視し、ほとんどを山梨県の本社工場で開発、設計、製造をしている。販売先は北米が日本と同じくらいの割合で2本柱となっており、ほかは中国、東南アジア、欧州など。納入先は製造業や運輸業をはじめ、航空機整備、水族館など多岐にわたる。

業績は堅調で、今2018年3月期の業績予想は前期比で増収増益を見込んでおり、特に経常利益と純利益はともに同2ケタ増を見込んでいる。業界観測では上ブレとの見方も。配当金は中間・期末で各15円、年間30円を予定しており、現在の株価で利回り約2・3%の計算となる。