ネットマネー 2017年10月号より一部を特別公開!

上半期は計画超過続出。10月の上方修正を待つ

9月の日本株市場は、業績や配当から見た割安感が一段と強まりそうだ。ただ、7~9月期業績が判明する10月までは上値追いに慎重な雰囲気が強いとみられる。これまで主役だったグロース(成長)株から割安株への資金シフトも予想される。

2017年度の業績予想が出そろった5月段階では、上場企業の想定為替レートは1ドル=約108円。実際には4~8月の平均は1ドル=112円と4円ほど円安なので、この分だけ確実に利益が底上げされる。

ただ、市場参加者の間では円高再燃に対する警戒感は強い。半導体や情報通信などの成長期待で買うグロース株は春先からの上昇幅が大きかっただけに、グロース株を利食って、出遅れ感の強い高配当株などのバリュー株に資金が移っていきそうだ。

一方、日銀がETF(上場投信)の購入スキームを最速で9月にも変更しそうだ。現在の購入比率は日経平均株価型とTOPIX(東証株価指数)型が3対7だが、TOPIX型の比率をさらに高める公算が大きい。ETFに投資するならTOPIX型が有利になるだろう。

国内市場はこう動く…まとめ

  1. 業績対比の割安感は高まるが、上値は重そうだ
  2. 円高警戒感が残り、バリュー株に資金シフトか
  3. 日銀がETF購入スキームを変更する可能性あり

欧州は緩和解除へ意欲。初の出口政策に警戒感

今年後半の海外市場では、「金融引き締め」が大きなテーマとなる。欧米は金融緩和による大量の資金供給を続けてきたが、米国は利上げし、欧州も後を追う準備に入った。緩和期間が長かっただけに、ドラギECB(欧州中央銀行)総裁が「金融政策の正常化」を語るたびに、株式や為替市場など各市場が動揺しそうだ。

欧州が金融引き締めを準備するのは、景気が最悪期を脱したためだ。市場に出回る余剰資金が回収されても欧州経済への打撃はほとんどなく、インフレ予防というプラス面に投資家の目が向き、株高材料視される可能性さえある。

打撃があるとしたら、南米や南アフリカ、トルコなどの新興国。過去の欧米の金融引き締め局面では、ブラジルの債務問題やアジア通貨危機など新興国市場が大荒れとなった。新興国投信やマイナー通貨のFX投資にはリスク管理が重要になりそうだ。

新興国が荒れれば、資金は安定した市場に向かう。経済成長を背景とした株高の続く米国が最大の受け皿になる公算が大きい。トランプ大統領のロシア疑惑など懸念要因もあるが、結局は米国の一人勝ちが予想される。

世界市場はこう動く…まとめ

  1. ドラギECB総裁の発言で、世界の金融市場が動揺
  2. 欧州の金融引き締めは新興国の通貨や株式に打撃か
  3. トランプ不安は続くが、米国株の一人勝ち状態へ

インバウンド第2シーズン。訪日韓国人の数、上半期42%増!

「爆買い」「神薬12」などのキーワードとともに一世を風靡(ふうび)したインバウンド関連株も今は昔…と思っていたら、しっかり復活していた! ただ、訪日外国人の内訳と消費動向がかつてのインバウンドとはまったく違う!?

昨年は下落していたインバウンド関連のファンドが今年は上昇

今回はインバウンド(訪費外国人)について考えてみます。「今さらインバウンドか~」と思う人も多いでしょうが、“栄光と挫折"を経て(笑)、物色テーマとしての輝きを取り戻しています。

ただ、インバウンド関連株が大人気だった当時とは、その趣が違います。今月は、一度大きく売られた当時の人気インバウンド関連株を再注目するのではなく、“新型インバウンド株"の特性を解説していきましょう。

まず、現在のインバウンド関連株の全体像を把握するために、指標としてインバウンド関連株で組成された投資信託を例に挙げることにします。

インバウンド関連株がブーム化していた2015年9月に生まれた投信に「インバウンド関連日本株ファンド(愛称:ビジット・ジャパン)」があります。純資産総額は約70億円ですが、インバウンド関連株に特化した日本株ファンドでは最大規模です。このファンドの基準価額の年初来上昇率が約12%なのに対し、TOPIX(東証株価指数)は約7%。昨年はTOPIXも約2%下落したが、同ファンドは10%以上も下落しました。今年に入り、確実にテーマ性が復活しているのです。

その理由は、訪日外国人の数だけ見ると、今なお増加中だからです。日本政府観光局(JINTO)の発表によると、2017年上半期(1~6月期)の訪日外国人数は前年同期比17・4%増の1375万7300人超で、上半期としては過去最高を更新しました。同期間における訪日外国人が使ったお金の総額は、同8・6%増の2兆456億円とこちらも過去最高。インバウンド消費は間違いなく伸びているのです。

訪日韓国人は日本で買う品目が中国人とかなり違う

興味深いのは訪日外国人の国別の内訳。すぐ思い浮かぶのは中国人観光客ですよね。

「爆買い」「神薬12」などの言葉がかつての物色の切り口でした。

それが今年5月に変化を起こします。単月国別トップが「韓国人」になったのです。上半期で見ても、韓国が中国を抜いてトップとなり、伸び率も42・5%と驚異的。これは、航空座席供給量の増加などが背景とみられています。

これは、インバウンドの“質"が変わってきたと考えることができます。中国人と韓国人では買い物の嗜好が違うと想像できるからです。ターゲットを韓国人に絞り、韓国人が何を買うかの仮説を立てて製品を作っている上場会社を探り当てることこそ、新型インバウンド関連株を発掘する肝になるはず!

観光庁の「訪日外国人の消費動向 平成29年1~3月期報告書」によると、さらなる違いが見えてきます。韓国人は旅行中の支出が少なめ。中国人が約19万円使うのに対して、韓国人は約6万円。圧倒的にヤング層(20代以下)が多いことが支出額に影響しています。

また、買い物の費目別購入率にも大きな違いが存在します。中国人は「電気製品」の購入率が28・2%、「カメラ、ビデオカメラ、時計」が同12・1%で、これはイメージ通り。一方の韓国人は、それぞれ2・1%、1・5%と、ほとんどの訪日韓国人は家電やカメラなどを購入していないようです。この時点で、百貨店株や家電量販店株は外して考えるべきですね。では、訪日韓国人は何を買っているのかといえば、1位が「菓子類」で購入率86・2%、2位が「その他食料品など」で同65・2%。日本人の国内旅行の定番土産は菓子ですが、訪日韓国人も似たような消費行動です。

ドンキホーテホールディングスの決算説明資料も参考になります。商品別の免税売上高のうち、低下しているのが時計・ファッション。一方で、日用雑貨品と食品が伸びています。売れ筋商品としてはスマホアクセサリー、化粧品をはじめとする日用消耗品、スポーツウエアといったキーワードが記載されています。

これらを手がける日本企業は、確実にその恩恵を受けています。「それがどこか」を探しましょう! 業績に反映される前に動けるチャンスは“今"しかないです。

8月下旬のイエレン議長発言で“ツレ高"の可能性が高い銘柄は?

「2%の物価上昇」という目標達成をまたしても先延ばしにした日本とは対照的に、米国では利上げが進められ、FRBの保有資産縮小も秒読み段階に。それを機に株価上昇が期待されるのは、どんな銘柄か?

今秋最大の注目は、ジャクソンホールでのイエレン議長の発言

毎年8月下旬に米国のワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティー連邦準備銀行主催の年次シンポジウムは、市場関係者が熱く注目する重要イベントです。通称は「ジャクソンホール会議」で、世界各地から中央銀行総裁や政策担当者、有識者などが集結して議論する場となっています。そして、ここでの発言内容が為替や株価に大きな影響を与えることが少なくありません。

今年は8月24~26日に開催される予定で、米国FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長の口から何が飛び出すかが最大の焦点になっています。2008年9月のリーマン・ショック以降、FRBは世界的な金融危機に対処して未曾有の緩和策を続けました。米国債などを積極的に買い入れたことで、FRBの保有資産は急激に拡大。その残高は、約4兆4000億ドルにまで膨らんでいます。

すでにFRBは6月の時点で、保有資産を縮小に踏み切る計画について発表済みです。その開始時期について、足元では9月説が有力視されています。堅調な米国経済やイエレン議長の任期(来年2月)などを踏まえれば、そのタイミングがベストではないかとささやかれているのです。そして、その直前にあたるジャクソンホール会議で、開始時間を示唆するコメントも発する可能性があります。

保有資産の縮小は、利上げと同じく景気にブレーキをかける作用がある一方、長期金利に対しては上昇圧力を及ぼします。株式市場でも全体相場にはマイナスに働く可能性が高いのですが、長期金利の上昇に敏感な銘柄にとっては好材料となりうるでしょう。そこで、今回は長期金利と株価の相関性の高い銘柄にスポットを当ててみました。

ただし、日本の長期金利はきわめて低い水準で実質的に固定されているので、相関性を測りづらい状況にあります。そのため、米国債10年物の利回り(米国の長期金利)と株価との相関性に注目しました。

金融セクターと製造業系の相関性の高さが目立っている

つまり、今回は米国の長期金利との相関性が高い銘柄のランキングということなのですが、左ページの表を見れば一目瞭然で、非常にはっきりとして傾向がうかがえました。金融セクターの相関性の高さが際立っているのです。2位、3位、12位、13位、16位、18位、20位と、7銘柄が金融系。金融セクターに連動するETF(上場投資信託)も5本ランクインしています。

金融セクターの代表格である銀行は、短期金利で資金を調達して中長期で企業に貸し出すのが本来のビジネスモデル。金利上昇の恩恵を受けやすいため、相関性が高いのは当然ともいえる結果です。その点、13位の日本証券金融は少々意外。国内貸し出しにとどまる同社に、米国の金利上昇はあまり関係がないですが、思惑先行の動きが反映された結果かもしれません。

残る9銘柄に目を向けてみて特徴的なのは、建設機械や工作機械といった製造業系が目立っていたこと。日銀はゼロ金利を打ち切るわけにはいかないのが実情で、米国の長期金利が上昇すれば、さらに日米金利差が拡大します。それを受けて円安が進み、業績上ブレ期待で輸出関連が物色されるという展開は、確かにイメージしやすいでしょう。

なお、相関値1は米国の長期金利とまったく同じ動きを示すことを意味しており、0・9を超えているものはおしなべて連動性が非常に高いと判断できます。20位以内に入った銘柄はいずれも0・9を超えており、1位と20位の差もごくわずか。したがって、順位の違いはさほど重要ではなく、いずれも長期金利の上昇が同程度のインパクトをもたらすと考えていいでしょう。

とにかく、今号発売直後に開かれるジャクソンホール会議は要注目です。イエレン議長が講演で9月からの縮小の実施に言及したら、とたんに米国の長期金利が反応する可能性があります。ちまたの予想に反して時期尚早的なコメントを発したら、逆に相関性の高い銘柄は弱含む恐れが出てきます。

高PERこそ成長の証し!今“3高銘柄"が買われている

キーエンスの大幅上昇が好例だが、高PER、高ROE、高自己資本比率の株が買われている。日本のみならず、米国をはじめ世界中で見られる傾向だ。割高=もっと伸びると考えて、買い!

バリューよりグロース。過熱気味でも果敢にチャレンジ

日経平均株価は6月以降、2万円を挟んでもみ合っています。動かない相場で“つまらない"と感じるかもしれませんが、個別株の動きをつぶさに観察すると、実は大きな変化が見て取れます。

たとえば、今年に入ってキーエンスが大幅に上昇しています。株価上昇の背景には良好な業績がありますが、今期の予想PER(株価収益率)は30倍超。ちょっと過熱気味に見えますが、今はPERなどの指標面で割安なバリュー株よりも成長を期待されるグロース株に資金が向かっています。割高でも成長株が買われる傾向は日本だけでなく、米国をはじめ世界的にも顕著です。グロース株の中でも、特に今年になって注目度が増しているのが「ハイクオリティー銘柄」です。ハイクオリティー銘柄とは、その名の通り“質の高い銘柄"のこと。特徴としては、①高いPER、②高いROE(自己資本利益率)、③高い自己資本比率が挙げられます。“3高"がキーワードというわけです。

前述のキーエンスも高PERに加えて、予想ROEは約14%と日本企業の平均値である7~8%を大きく上回っています。同社は自己資本比率94%超の無借金経営で、財務面も良好。トランプ大統領の米国政策に不透明感が強まっているほか、世界景気の急拡大も見込みづらい中で、当面はこのような質の高い銘柄が物色されそうです。

左の表では、ハイクオリティー銘柄の3条件を満たす銘柄をピックアップしてみました。PERが高く、見た目は割高なのが気になる人もいるかもしれませんね。一般的にPERは「低いほうが割安でいい」というイメージを持つ人が多いですから……。

ただ、ハイクオリティー銘柄に投資する際は、PERの割高感はあまり気にせず、むしろPERは「高いほうが成長力があっていい」くらいの認識を持つ必要があるでしょう。これからの年末相場に向けても要注目です!