ネットマネー 2017年10月号より一部を特別公開!

今年も上半期が終わり、夏場から秋に向けての株式相場がどう動くのかに注目が集まっている。7月の外国株相場は軒並み上伸したが、好調は続くのか? 今月も外国株投資に関するホットな話題を盛りだくさんにお届けします!

米利上げ減速期待で世界中の株式相場が軒並み上昇!

7月の外国株相場は、米国の利上げペースが減速するとの期待が高まったことを受けて、軒並み上伸した。新興国への資金流入が拡大するとの期待から、ブラジル株、香港株、インド株などが特に大きく上げている。

FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は7月12日の議会証言で、「今後数年は緩やかな利上げが適切」との考えを表明。7月14日に発表された米国の6月のCPI(消費者物価指数)が前月比横ばいと、物価上昇ペースが鈍っていることも利上げの減速を予想させ、株式市場への資金流入を促した。

その結果、米国のNYダウは7月中旬から下旬にかけて最高値を何度も更新。31日終値も前月末比2・5%高の2万1891ドルと、最高値を更新して取引を終えた。

ブラジル株の主要インデックスであるボベスパ指数は1カ月間で4・8%上昇。米国の利上げ減速期待に加え、同国が産出する資源の主な輸出先である中国が秋の共産党大会に向けて経済の安定化を図り、鉄鉱石価格などが堅調に推移していることもブラジル株の押し上げ要因となった。

中国株も、本土市場の主要インデックスである上海総合指数が7月の騰落率は2・5%、香港市場のハンセン指数が6・1%と好調。特に香港市場は、中国本土市場との一体化によって本土からの資金流入が拡大していることが相場の大きな押し上げ要因となった。

中国の経済安定化策は、同国との貿易取引が多い東南アジアの株式相場も押し上げた。シンガポールのST(ストレーツ・タイムズ)指数は7月の1カ月間で3・2%上昇。インド株はモディ政権による経済改革やインド準備銀行(中央銀行)による利下げへの期待が強まり、主要インデックスであるSENSEX指数が月間で5・2%上伸した。

ベトナム豚輸出再開で畜産飼料株に注目!

FRBの緩和縮小でベトナム株相場は9月がピークとなる!?

ベトナム株相場の好調が続いている。代表的な株価インデックスであるVN指数は年初の670ポイント台からほぼ右肩上がりで上昇。7月上旬には780ポイント超と、半年余りで16%も上伸した。

好調な相場を支えているのは、ベトナム経済の成長力だ。

「ベトナムの今年上半期(1~6月)の名目GDP(国内総生産)成長率は前年同期比5・73%。第1四半期(1~3月)の5・1%からやや加速しました。ベトナム政府は景気テコ入れを継続し、日本や韓国など外国からの直接投資も増えています。これらが下支えとなって、下半期のベトナム経済はさらに成長が加速する見通しです」と語るのは、日本アジア証券の今井正之さん。

しかし、その勢いに乗ってベトナム株相場が今後さらに上昇するかどうかは「何とも言えない」と今井さんは語る。

「足元のVN指数は、すでに2008年2月以来、9年ぶりの高値水準にあり、ここからさらに上値を試すのはハードルが高そう。また、9月には米国FRB(連邦準備制度理事会)がバランスシートの縮小に向けて動きだすとの観測もあります。これを受けて投資マネーが新興国から米国に逆流すれば、ベトナム株相場は9月前後に一旦ピークを迎える可能性も考えられます」(今井さん)。となると、しばらくは様子を見たいところだが、今井さんは「個別で見れば、ベトナム株の中にも出遅れ銘柄や相場に反して下がっている銘柄もあります。そうした株を逆張り狙いで買うのも方法です」とアドバイス。

逆張り候補として、今井さんが注目するセクターは、養豚用の飼料を製造する畜産飼料株。具体的な銘柄として、マサンインベストメントグループとホアファット鉄鋼グループの2つを挙げた。

このうちマサンインベストメントグループは、株価が今年5月の4万1500ドン台から、7月には一時4万ドン台まで急落している。飼料を消費する豚の対中国輸出が落ち込んだことが大きな原因だ。

「今年5月頃、中国政府はベトナムからの豚の輸入を一時的に抑制しました。このため中越国境に近いベトナム北部を中心に、豚肉価格が20年ぶりの低水準に下落。養豚飼料の価格も低迷し、マサンインベストメントグループの上半期純利益も前年同期比56%減に。その後、中国政府は税関や検疫の手続きを強化したが、輸入はすでに再開されていました。輸入再開後の養豚飼料価格は回復基調にあり、下期は畜産飼料メーカーの業績回復に期待が集まっています」(今井さん)

ホーチミン市場のアナリストコンセンサスによれば、2017年の予想PER(株価収益率)は、マサンインベストメントグループが約16倍、ホアファット鉄鋼グループが約6・5倍と割安感がある。逆張りを狙うにはチャンスといえるかもしれない。

今回は日本最大の三菱重工業と世界トップの航空機メーカー・ボーイングを比較。日本と米国の重厚長大産業は、株価の値動きは重い? 軽い?

総合重機メーカーvs航空機メーカー

ボーイングは米国株らしい株価の変化率で上昇中

今回は日本で最大の総合重機メーカーである三菱重工業と、世界1位の航空機メーカーのボーイングで比較です。

まず、三菱重工業は古くから株式投資をしている投資家なら誰でも知っている、1950年に上場した非常に伝統のある企業です。

同社は以前は航空機や船などの輸送、交通関連や、機械、設備システムが売上比率の中では高かったのですが、直近では環境、エネルギー、環境関連の収益貢献度が高くなっています。

さて、ボーイングも1916年設立の非常に歴史のある企業で、民間機は欧州のエアバスと二分していて、日本でも非常に有名ですね。

ここ数年は、新製品サイクルの上昇トレンドになっており、この先まだ続くと市場ではいわれています。また、採算性の高い事業へのシフトなども評価され、チャートを見てもわかるように、非常に大きく上昇しています。

三菱重工業は、安定はしているものの、株価の勢いはなく、ボーイングとの差は歴然としています。指標面を見ると割高なのがボーイングですが、調整局面では狙ってみたい銘柄のひとつです。ぜひ、注目してください!

インドついに導入された新租税「GST」。インド経済への影響は

GSTの導入によりビジネスチャンスの期待が高まっている

今年7月1日にインドでGST(物品サービス税)が導入されました。GSTについてはモディ政権の経済改革のカギを握る政策とされ、これまでにも当連載で、述べてきました。2006年度の予算案に盛り込まれて以来、11年の歳月を経てようやく導入にこぎ着けた格好です。

GST導入に係る法案は、昨年8月に議会を通過し、今年5月に大まかな税率が決定されました。

GSTを一言でまとめると、「税制の一本化」です。インドではこれまで物品税やサービス税、付加価値税といった間接税を中央政府や州政府がそれぞれ独自に課していました。そのため、州ごとに税制や税率が異なる事態となり、州をまたいでビジネスを行なう場合に手続きが煩雑になるなど、インド経済を非効率にさせてきました。

商品配送のトラックが州を越えるたびに、手続きのために長蛇の列を成すというのは有名な話です。また、複雑な税制であるがゆえに納税が滞るなど、税収面での悪影響も指摘されてきました。

さて、インドのSENSEX指数を見ると、2016年の初めあたりから右肩上がりで上昇し続けており、GSTが導入された2017年7月になっても、過去最高値を更新しています。

豊富な労働人口や市場規模など、もともとインドが持っているポテンシャルに加えGSTの導入によって、インド経済の効率化、さらなる成長の原動力となるビジネスチャンスの増加、税収アップなどへの期待が高まっていることがうかがえます。

中期的にインドのGDP(国内総生産)成長率を1~2%ほど押し上げるとの見方もあるようです。

インドといえば、昨年11月に「高額紙幣の廃止」を突如発表して国内に混乱を来したことがまだ記憶に新しいですが、今回のGST導入については、大きな混乱はそれほどなかったようです。ただし、項目によっては税率が細かく分かれたこと、適用除外対象品などで妥協があったこと、これまでの課税権を失う州政府の抵抗もあって税制手続きの面で十分な簡素化には至っていないなど、まだ課題は残されています。

とはいえ、悲願だったGSTの導入は、インド経済の構造を大きく変える改革なので、表れる効果を見極めつつ、今後もインドの政策には注視していく必要がありそうです。