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贈与で相続人間に不公平が生じる…贈与編

誰にでも起こりうる相続・贈与のトラブル…。いざというときに困らないために、知っておくべき旬の情報をお届けします!

生前贈与された財産は「特別受益」として相続の対象に

遺産相続は被相続人の死亡後に始まり、遺産は相続人の間で法定相続分に従って相続するのが原則です。ところが相続人の中に、被相続人から遺贈(遺言で贈与すること)、結婚や養子縁組のときの財産贈与、住宅資金など生計のための贈与を受けた人がいるとどうでしょう。これらの贈与を考慮せずに法定相続分に従って遺産を相続すると、相続人の間に不公平が生じます。

そこで被相続人が死亡時に持っていた財産に、これらの贈与を「特別受益」として加えて相続財産(具体的相続分の基礎となる金額)と見なし、そこから法定相続分に従って財産を分割し、さらに特別受益分を差し引いた金額が、特別受益を受けた人の相続分となります。この調整が「特別受益の持ち戻し」です。

家族間で対立が生じていると、親の遺産を自分だけ多くもらいたいという不心得な子供が“家庭内ドロボー"を決行するかもしれません。たとえば長男と次男が対立しているケースでは、長男が親をそそのかして不動産の名義を長男自身や長男の配偶者に変更させることがあります(もちろん次男が“ドロボー"の場合も同様)。

上の「CHECK1」を見てください。不動産を長男自身の名義に変えた場合は、ほかの相続人のために不動産を特別受益と見なして調整することができますが、配偶者(義兄弟や義子)は相続人ではないので、贈与の有効性について訴訟をすることになります。

「CHECK2」は特別受益を持ち戻す場合の計算例です。ここで問題になるのは、生前贈与のどこまでを特別受益と見なすかということです。結婚を例に挙げると、結納金や結婚式の費用は原則として特別受益にはなりませんが、持参金、新居や新婚生活の支度金、高額の結納費用、高額の新婚旅行費用などの贈与は「生計の資本」となり、特別受益になります。