ネットマネー 2017年11月号より一部を特別公開!

下がりそうで大きくは下がらない、かといって上がりもしない日経平均。ジレンマを抱える投資家をよそに、生き馬の目を抜く投資家はこんな個別株物色で、高パフォーマンスを上げているようで...。

リスクへの備えが活発化。のみ込まれた好決算?

岡村●日経平均株価が2万円から遠ざかりました。昨年末の終値が1万9114円ですから、まだ健闘しているといえるのかもしれませんが......。

暖田●昨年末とは比べられなくなったよな。そもそも国民からの支持率が低かったトランプ米国大統領だけど、ビジネス界からも見放されてきた。大統領助言組織の解散で、まさに孤立無援状態。米国の政治リスクが大きくなったよな。

涼川●昨年末との違いでいえば、北朝鮮リスクだよ。これがアナリスト的には一番厄介だ。

岡村●何が起こるか、予想しようがない話ですもんね?

涼川●個人投資家であれば、「北朝鮮が不透明だから相場はお休み!」って割り切れる。ただ、機関投資家はそうはいかないからね。

暖田●正直、みんな「出たとこ勝負!」と身構えるしかなかったよな。ただし、プロとして運用を委託されている以上は、「最悪のシナリオに備えていませんでした」では済まないんだよ。ここが個人投資家との違い。

岡村●やはり、リスクに対してヘッジしていたわけですね。

涼川●日経平均の先物を売るとか、プット(売る権利)を買うとかね。そうした売りヘッジが、日経平均なんかに負のエネルギーを与えてしまう。先物売りを通じて、主力株にも下押し圧力がかかってしまうだろ。これが、業績で銘柄を評価するアナリストにとっての泣きどころなんだよね。

岡村●3月決算企業の第1四半期決算が例年以上によかっただけに?

涼川●そう。今回の上場企業の4〜6月期決算は力強かった。全体の68%もの企業が最終増益を確保したのは、比率として過去最高。全体の純利益も3割以上伸びていて、高進捗率の企業もたくさんあった。それだけに残念で......。

岡村●そんなに気を落とさなくても......。

暖田●北朝鮮リスクを恐れて、みんながリスクを避ける。せっかく好業績銘柄の主力株を安く買えるのに買わない。周りの雰囲気に流されるこうした現象を「ハーディング現象」と呼ぶよな。

岡村●マーケットはこの側面が強いですよね?

暖田●ただし、これは日経平均とか全体の流れの話だ。リスク回避で好業績の個別株をカラ売りするわけではなく、売るのは先物なんかが一般的。だから、先物売りの影響を受けにくい中小型株なんかは影響が限られる点にも目を向けるべきだ。

第2の安川電機を探せ!中小型株ハンター増殖中

岡村●実は僕も、この時期に個別株の売買ですごく利益を上げているトレーダーの話を聞いたんですよ。第1四半期に利益が大きく伸びていたり、通期計画に対する進捗率が高い中小型株を買いあさっていたりすると。

涼川●そうなんだ。この時期に年初来高値をつけにいった銘柄は多かった。日経平均とのベータ値が異常に低く、逆行して年初来高値をつけた銘柄もいくつかあったんだ。全部中小型株だけどね。具体的にはセントケアHDやシードなど、どれも好決算で株価が大きく上げてるよ。

岡村●素晴らしいですね!

暖田●全体的にも業績はよかったけど、なんといっても今回は決算発表のトップバッターで知られる安川電機が特に素晴らしかった!

岡村●上場来高値をずっと更新してますね。

暖田●そう。第1四半期で通期予想を大幅に上方修正、これは驚きだった。決算発表後にアナリストは取材をするわけだけど、当然ほとんど全員が業績予想を引き上げたよね。そして、レーティングや目標株価の引き上げが株価を追いかけるように出てきたんだ。

岡村●「森より木」って感じですね。全体が停滞している中で、グイグイ高値を更新したわけですから。

涼川●リスク回避で投資家全体の手が引くと、人気のあった新興株も流動性が落ちてしまうんだ。こうしたリスクにも耐えられるとしたら、結局は「好決算」という裏づけが求められたといえるね。

暖田●中小型株なら何でもアリではなく、第1四半期決算にサプライズがあって、これまで多くの投資家が買ってこなかったものを探そう! そ んな雰囲気がすごく強くなったよな。そういう意味では「木より枝葉」といった感じか。

涼川●上がりそうな〝枝葉〞をプロのトレーダーが探し、個人投資家の多くもそれに乗っかって大きなトレンドが生まれてるよな。

岡村●これも結局は「ハーディング現象」ですね!