ネットマネー 2017年11月号より一部を特別公開!

海運業界の損益が改善中。コンテナ船運賃が底打ちし、デンマークの世界最大手マースクラインが4〜6月期に増益を確保したことで日本の海運大手も業績が上向くとの見方があり、投資ファンドの資金が商船三井などに集まる可能性が。今月もピタッ!!と当たる株ニュースに注目だ。

ピタッ① 今月の「トップの一言」 4〜6月期決算の増益で業績好調持続に期待できるニコンや京セラに注目!

7月、8月は株価こそあまり動かなかったが、この間に発表された今4〜6月期決算が増益だった企業は7割を占めた。四半期決算の開示が義務づけられた2003年以降の最高であり、2018年3月期の経常利益は7%の伸びが予想されている。このため、記者会見やアナリスト説明会で目にした経営者の表情は明るく、7〜9月期以降の業績好調を期待させる力があった。

日経平均株価を構成する225社を1つの企業とみた場合の1株当たり利益は1410円(8月30日現在)。アベノミクス相場開始後、日経平均が初めて2万円台をつけた2015年4月10日に比べて25%も増加している。株価が足踏みを続けているうちに、企業業績は着実に上向いており、為替相場や米国経済などの外部環境が落ち着けば、株価の割安修正が急速に進む下地ができている。

不況期のアナリスト説明会と現在の最大の違いは、経営トップが説明会でマイクを握ることだろう。決算短信や有価証券報告書には売上高や利益の変動幅は書いてあるが、好業績が大口販売の集中などによる一過性のものか、企業体質改善による持続可能なものかはわからない。そこで経営者の肉声が重みを増してくる。

印象的だったのがニコン。前期の最終利益は赤字に転落したが、今期は劇的なV字回復で、8月には9月中間期の業績予想を早くも上方修正した。純利益は期初想定の2倍超である。副社長の岡昌志氏は記者会見の席で「経営体質の改善が着実に進行している」と、赤字脱却策の効果を強調した。下半期については「保守的にみている」と言い、第3四半期の決算発表時に2018年3月期の業績見通しを引き上げてくることが予想される。

京セラの谷本秀夫社長は主力分野である情報通信や自動車産業向けの販売について「第2四半期以降も部品需要は堅調に推移する」と述べ、長期的な業績拡大に自信を示した。

ハイテクセクター以外でも、資生堂は2017年12月期の業績予想を上方修正。高額商品の売れ行きが好調を維持しているという。

(植草まさし)

ピタッ2 今月の「資金流入!」JPX400&中小型でダイキョウニシカワが新規銘柄にダブル採用!

公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がベンチマークとして採用する「JPX日経インデックス400」(以下、JPX400)と200銘柄で構成される「JPX日経中小型株指数」(以下、JPX中小型)の定期銘柄入れ替え(年1回)が8月7日に発表された。実施は8月31日で、機関投資家などの運用資金流入が期待される。

選定には3年間のROEと営業利益が重視されるため、株主還元に積極的な利益安定銘柄といったイメージで安心できる。JPX400では3年前に採用を経営目標としていたアマダホールディングスが今回、悲願成就。2014年に除外されて辛酸をなめたソニーは復活を果たした。また、新規採用では ジャスダックのハーモニック・ドライブ・システムズが東証1部銘柄以外で唯一選出された。

さらに、今年3月に指数算出が開始されてから初の定期入れ替えとなったJPX中小型。今回は事前に除外による空席が2銘柄あったことで、追加 51銘柄、除外49銘柄となった。その特徴を見てみると、クックパッドとぐるなびはJPX400で除外されたが、JPX中小型で追加採用。いわば、所属を変えての復活当選だ。また、岡三、いちよし、極東、岩井コスモと証券が4つも除外されたが、カブドットコム証券が唯一追加されて業界の面目躍如。ただし、このカブドットコムも過去にJPX400から除外された復活組。JPX中小型では追加51銘柄中44銘柄が東証1部銘柄だが、第一稀元素化学工業など東証2部で3銘柄、ジャスダックと東証マザーズでマルマエ、じげんなど各2銘柄採用された。また、自動車部品のダイキョーニシカワはJPX400とJPX400中小型で新規ダブル当選。両指数の同時採用銘柄は23銘柄ある。

(竹中博文)

ピタッ3 今月の「合従連衡」5Gの実用化に向けた提携が加速。ブロードバンドタワーの躍進に期待!

次世代通信規格「5G(第5世代移動通信システム)」の実用化を目前に、IT企業間の連携や提携が急速に進んでいる。

注目はジャスダック上場のブロードバンドタワー。来年8月、東京・大手町に開設する5G向けデータセンターでの業務を中心に、マザーズ上場のイードと提携を決めた。イードは日産自動車と近く、コネクテッドカー(ネットにつながるクルマ)やEV(電気自動車)などに必要な情報を共有する。

この分野は業務提携や新分野進出などのニュースが出ただけで株価が上がるものの、持続性に欠ける。業績への貢献がはっきりしてからが株価上昇の本番だろう。

ブロードバンドタワーはインターネット総研を立ち上げた藤原洋氏が代表取締役社長。最先端分野の商業化シーンに〝この人あり〞の人物である。

(伊地知慶介)

ピタッ4 今月の「小粒でもピリリ」量子コンピューター実用化関連ならフィックスターズとエヌエフ回路設計

政府は来年度から10年間、量子コンピューターの実用化支援を行なう。欧米や中国との開発競争が激化している分野で、既存機の1億倍とも1兆倍とも見積もられる超高速処理が可能になる。AI(人口知能)の高速化やビッグデータ処理などに欠かせない技術だ。

大手では、日立製作所とNTTがこの分野で最も進んでいるとされる。小型銘柄ではフィックスターズに注目。カナダの量子コンピューター開発会社との提携が材料視されている。エヌエフ回路設計ブロックも微小信号測定器を製造し、信号増幅への応用に期待が膨らむ。

(森田陽二郎)

ピタッ5 今月の「先回り!」親子上場解消の場合、子会社側の株価が上昇!次の狙い目銘柄は?

7月27日に、アルプス電気がアルパインを株式交換によって完全子会社化することが電撃的に発表された。この発表を受けてアルパインは交換比率にサヤ寄せする形で株価が急騰。再び親子上場会社の子会社側に投資家の関心が高まり始めている。

アルパイン以外にも、パナホーム、ベスト電器、住友不動産販売、日本コロムビアなどで親会社による完全子会社化が明らかとなっている。企業ガバナンス強化の流れから親子上場解消は一段の増加が必至で、その数は着実に増えている。今回のアルパインの完全子会社化はアルプス電気の持ち株会社への移行に伴うタイミングで実施されたが、親子上場関係の解消は完全子会社化に限らず、ファンドへの株式売却や、自社株買いによる独立(7月発表のジャフコの例)もある。完全子会社化は〝救済型〞もあるが、最近は業績好調、企業再生した子会社を取り込むケースが主流になっている。

信越化学工業の子会社の信越ポリマー、伊藤忠系の伊藤忠テクノソリューションズ、東ソー系のオルガノ、高松コンストラクション系の青木あすなろ建設などがあるが、イオンとイオンフィナンシャルサービスのようにフィンテック(金融とITの融合)時代の中で金融子会社が重要性を増していることからも注目度を高めていきそうだ。

(大庭貴明)

ピタッ6 今月の「正攻法なら...」本業好調のNTTデータ。市場が注目するのはNTTとの協業体制強化

NTTデータの今4〜6月期決算は純利益で19%減にとどまった。しかし、経常利益は30%増と伸びており、本業は好調。純利益が落ち込んだのは、買収した米国デルのITサービス部門の統合費用などを特別損失として計上したためだ。今後はマイナンバーの適用範囲拡大や金融機関のシステム更改など大型プロジェクトが連続するとみられる。IoT(モノのインターネット)による長期的な需要増大も予想され、増収増益が期待できる大型銘柄のひとつだ。

市場の注目点はNTTとの連携。海外事業を中心にグループ各社共同で調達やシステム開発を進めるケースが増えている。今後、グループ各社の協業体制が強まるとみられ、受注機会の拡大とコスト抑制が同時に実現しそうだ。弱点があるとすれば、ROEが8%台半ばと、2009年3月期並みの水準にとどまっていること。親会社であるNTTによる保有株比率が54%と高く、浮動株が少ないため、ROE引き上げのための自社株買いは、やりにくそうだ。こうした理由からも、増益によるROE向上という〝正攻法〞の経営が予想される。早ければ今秋にも発表が予想されるNTTの中期経営計画に、グループ企業間の連携強化が盛り込まれるのを待ちたい。

(木島 隆)

ピタッ7 今月の「株高材料が山積み」ドンキホーテが銀行業への参入を検討中。ユニー・ファミマとの協業策も

ドンキホーテホールディングス(以下、ドンキホーテ)が銀行業への参入を検討している。ユニー・ファミリーマートホールディングス(以下、ユニー・ファミマ)への出資も8月に正式発表され、「ドン・キホーテ」の店内と同じく株の買い材料が天井まで山積みになっているようだ。

ドンキホーテの大原孝治社長は8月の決算発表後の説明会で、銀行業への参入について「当然、視野に入っている」と述べた。セブン銀行を意識しているとみられる。

一方、ドンキホーテは手始めにユニー・ファミマ6店にドンキホーテを入居させる。ユニー系の大型スーパーは、衣料品などの苦戦が伝えられているため、競争力のある食品売り場はユニー流を継続し、それ以外の売り場を次々とドンキホーテ化する公算が大きい。両社協業効果による業績向上に期待したい。

(東 亮)

ピタッ8 今月の「恵みの雨」40年ぶりの長雨が続いた8月、最も活躍したのはイオンファンタジー

今夏の関東は雨ばかり。8月として40年ぶりの長雨を記録した。雨は消費の天敵。今回は時期と場所が悪く、「東京サマーランド」を運営する東京都競馬、「プールWAI」のよみうりランドの株価が大きく下げた。年間で最大の書き入れ時である夏休みに来客数が激減したからだ。

その一方で、長雨を〝恵みの雨〞とする企業もある。聞けば納得の恩恵企業は、昨年の11月に上場したばかりのWASHハウス。コインランドリーをチェーン展開しており、雨が続くと乾燥機の利用が増加するのだ。ただし、店舗は九州地方に多く、東京都内はまだ2店舗である点に注意。現状、最も雨に強い株はイオンファンタジーだろう。同社は「イオン」のゲームセンター内で室内遊園地「モーリーファンタジー」を展開。雨で客数増が確実なうえ、熱中症が怖い猛暑でも客数は増える。

(真行寺知也)

「一運、二金、三度胸」を持つ大人向けR指定ページ。思惑株、裏ネタなどハイリスクな情報を凝縮した。兜町をさまよう黒い噂、その真意は...。株ビギナーと心臓の悪い人は読まないでね!

株ピタッBLACK

底なしの業績悪化でどうなる大塚家具

経営方針をめぐる父と娘の確執で話題になった大塚家具の業績悪化が止まらない。今2017年12月期第2四半期(1〜6)は213億円の売上高に対して27億円の営業赤字と45億円の最終赤字を計上した。先代社長からの無借金経営は維持しているが、利益剰余金は6月中間期末までのわずか半年で215億円から155億円に細り、現預金も38億円から21億円に減ってしまった。このペースで財務悪化が続けば、あと3年程度で債務超過に転落しかねない。

今期は当初530億円の売上高を計画していたが、2度の下方修正で428億円まで大幅に減額した。昨年12月は16だった店舗数が、今年7月末は20に増えていることを考えれば、経営効率もかなり落ちていることが想像できる。

運転資金は問題なし。月次公表が生命線

手元現金に加え、取引先の金融機関4社から融資枠(コミットメントライン)を取り付けているため、大塚家具が運転資金に不自由することは当面ないだろう。しかし、株式投資家にとって最も大切な成長シナリオを描けていないのだ。

月次売上高が前年同月比で最も落ち込んだのは昨年11月(41・5%減)。発射台が低いはずの今年11月に前年同月比で増収を確保できなければ、 12月の今期末までに再度の下方修正も覚悟しなければ。

ライバルと同フロア、高級感維持でも閑散...

千葉県船橋市のショッピングモール「ビビット南船橋」には、同じフロアに大塚家具と宿敵のニトリが入居している。筆者は平日と休日に分けて両店にそれぞれ何度か足を運んでみた。高級家具が並ぶ店内は、経営不振をしばし忘れさせるが、店内の閑散ぶりを見ると再び大塚家具が心配になった。

苦境にある大塚家具だが、月次売上高(前年同月比)の公表は地道に続けている。赤字だった前期に年80円の配当を断行し、再建を信じる株主を一定程度つなぎ止めることに成功したようだ。しかし、月次データの開示が中止されたら、業績反転に賭けた投資家の売りが殺到するのは避けられそうにない。

建設業界は五輪後の不況に準備が着々

建設業界は空前の好況に沸いている。2020年夏の東京五輪・パラリンピックを前に、首都圏で官民挙げての再開発ラッシュが続いているためだ。一方で、この業界は好不況の山と谷の差が大きいという特徴があり、「業界関係者が顔を合わせれば、現在の繁忙自慢と〝祭り(五輪)の後が話題になる」(大手ゼネコン)という。

大成建設と鹿島が2016年3月期に24年ぶりの最高益を更新し、前期に続き今2018年3月期も最高益を見込んでいる。建設業界は完全に「売り手優位」で、コスト増加分を工事価格に上乗せしても、まだまだ受注が消化しきれないほどだ。こうした中、大林組が〝守り〞に入ったことが話題になっている。内部留保の充実を中期経営計画で掲げ、無借金化を目指すという。準大手ゼネコンの戸田建設も内部留保の充実を宣言しており、目線は〝五輪後〞に据えられている。企業の貯め込みすぎを政府が批判しているのを承知のうえでの判断である。

次の東京五輪が経済成長の起爆剤になるか、需要の先食いに終わるか。後者が答えとみた結果がゼネコンの保守経営なのだろう。

一方、政治も企業経営の「保守化」に拍車をかけそうだ。安倍晋三内閣の支持率が低迷し、自民党内の一部では「反アベノミクス」機運が盛り上がりつつある。

外国証券の東京支店には、海外投資家から政治情勢について問い合わせが続いているという。緊縮財政と増税路線が復活すれば、打撃は建設業だけにとどまらない。