ネットマネー 2017年11月号より一部を特別公開!

来月の日本株はどう動く? 世界の市場ではどんなことが起こっている? 日々めまぐるしく動く国内外の経済情勢を解説&予想する「サテライト」連載。前半は日本株メインの投資戦略を3連発、後半は先進国やアジアなど気になる海外の国にスポットライトを当てながら、フレッシュな情報を「誌面中継」します!

長期投資組にチャンス。買い出動ライン設定を

毎年、秋はよくも悪くも相場が荒れる。昨年は米国大統領選挙のトランプ氏当選を受けて暴落した後、急反発に転じたことが記憶に新しい。今年の秋も日経平均株価が上下どちらかに大きく動きそうだ。

相場急変の裏側には、売り買いそれぞれの強力な材料があることが多い。懸念要因はトランプ政権の不安定化。東京市場は米国発のマイナス材料に弱く、円高・株安のダブルパンチに見舞われかねない。一方、企業業績は順調に拡大している。輸出企業の円高抵抗力が増しているほか、内需組も増益予想企業が大半。売り手と買い手の力関係はちょっとした環境の変化で均衡が崩れるので、短期投資家は注意が必要だ。

ただ、長期投資家にとって下落局面は格好の買い場になる。バブル崩壊後の日本株は、秋になると下げて翌年の春に高値をつけるパターンが多いので、買い出動のため、現金枠を確保すべきだろう。

ただ、株価が下がっていれば何でも買えるわけではない。底値買いの候補になるのは、業績が拡大基調にあるのに株価が急落した銘柄。円高局面で売られた円高メリット企業などを探したい。

国内市場はこう動く...まとめ

  1. 今年も東京市場は「荒れる10月」になりそう
  2. 秋に買って翌年の春に売るのが基本戦略
  3. 底値買いする銘柄は業績で選ぶのが鉄則

反トランプ機運を警戒。相場格言は買い場示唆

「セル・イン・メイ」、〝5月に株を売れ〞という有名な相場格言が米国にある。これは「セントレジャーデー=9月第2土曜まで相場に戻ってくるな」と続く。9月半ばから、投資再開の時期に入る、というわけだ。

トランプ氏の米国大統領当選から1年を迎える11月を前に、今秋はトランプ大統領に敵視された米国メディアが反撃し、批判一色になるだろう。世論も反トランプになびけば、史上最高値圏にあるダウ工業株30種平均は調整局面入りを強いられそうだ。

株安は米国の家計を直撃する。自動車ローンの延滞率上昇が「第2のサブプライム問題」の芽として警戒されていることもあり、株価が下落すればFRB(連邦準備制度理事会)は追加利上げを見送る。ドル金利の上昇期待が薄れると、為替は円高・ドル安に流れやすくなるだろう。

もっとも、昨年と違って米国をはじめ世界経済はプラス成長を続けており、仮に米国株下落や円高・ドル安に振れても長続きしそうにない。米国の利上げ見送りは株式から債券への資金移動を食い止めることにもなり、株価上昇への期待感が再び高まるだろう。

相場全体の値動きを示すTOPIXをグループ分けで見ると、〝その他大勢〞的存在の「スモール」が絶好調。着実に上昇している理由は「日銀買い」という需給要因。「気づくと上がっていた」という地味においしい存在だ。

世界市場はこう動く...まとめ

  1. トランプ大統領は当選1周年を前に批判一色か
  2. NYダウは最高値圏から調整局面入りの可能性も
  3. FRBが追加利上げ見送りなら、再び株高に期待感

東証1部のマイナー銘柄が日銀の買いで圧倒的上昇中!

牽引役の小型株と足を引っ張る大型株

トランプリスク、北朝鮮リスクを抱えながらも、全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は年初来上昇率でプラスを保っています。TOPIXは、東証1部に上場する全銘柄を対象とした指数。これを規模別に分けると、次のようなことが見えてきます。左ページ・上の図は昨年12月を100としたTOPIXとTOPIXコア30、TOPIXスモールの相対比較チャートです。今年に入って最も成績がいいのはスモールです。

コア30は、時価総額が大きく流動性の高い上位30銘柄の株価指数で、トヨタ自動車やNTTなどが入っています。

一方のスモールは、同じ条件の上位〝500銘柄以外〞のすべてが含まれます。つまり〝その他大勢〞的な扱いです。

コア30の全銘柄を、証券会社のアナリストがカバーしています。カバー率100%で、1銘柄当たりの平均アナリスト数は14人です。

一方、スモールは全1515銘柄(9月16日現在。以下同)ですが、カバーされているのは669銘柄、カバー率44%で、1銘柄当たりの平均アナリスト数はわずか1社です。アナリストにレポートを書いてもらえない会社が大多数で、コア30と比べて扱いに格差があります。そのため、 機関投資家や外国人投資家に買われていない銘柄も山ほど。そんな東証1部の小型株がなぜ堅調なのでしょうか?

堅調な小型株、いったい誰が買っている?

コア30の構成銘柄と比べて圧倒的に知名度が低く、流動性が低い銘柄だらけのスモール構成銘柄。それらが堅調に推移しているということは、誰かに買われているということです。誰でしょうか? ヒントは、今年に入って日本株を最も買っている投資家......、答えは「日銀」です。日銀は金融政策の一貫としてETF(上場投資信託)を買っています。年間で6兆円、1回当たり700億円強の買い入れ額で日本株を支えています。

日銀のETF買いは昨年9月下旬以降、1回に購入する金額の約7割でTOPIX連動型のETFを購入するようになりました。つまり、1回当たり700億円のETF買いが入ると、そのつど「約500億円のTOPIX買い」が発生していることになります。

対象はTOPIXですから、500億円の買いインパクトは東証1部の全銘柄に加わります。小型株の場合はTOPIXの構成ウエートが「0・001%」なんて銘柄も多数。500億円の0・001%といえば、たったの50万円です。その程度の買い越しに意味があるのか、と思いますよね。それがあるんです!

たとえばイフジ産業は、8月16日時点の25日移動平均売買代金(最近1カ月程度の1日当たり売買代金の平均)が261万円です。日東富士製粉は319万円。東証1部でも、こんなに流動性が低い銘柄が意外にあります。こういった銘柄は、日銀のETF買いが入るたび、1日の売買代金の 15%以上に相当する買い越し要因が発生しているということ。そりゃ、多少なりとも株価は上がりますよね(笑)。

日銀のETF買いが始まったのが2010年12月。買い入れ枠が年間6兆円枠に膨張したのが昨年7月末で、TOPIX連動型を多く買うようになったのは昨年9月。累計買い入れ額とスモールのチャートを重ねても、昨年9月あたりから日銀のETF買いとの連動性がより強くなっていることがわかります。

今回は東証1部の中で、日銀のETF買いが入った際のインパクトが大きく出る順(8月16日時点で試算)に上位10銘柄を一挙公開!TOPIX構成ウエイトを基に、日銀ETF買い1回当たりに想定される資金流入額を計算。その金額を普段の売買代金(25日移動平均売買代金)で割って、インパクトを算出してみました。すると......やはり全部小型株でした。「気づいたらこんなに上がっていたの?」となりそうで、今これらを買うことは理にかなっていると思います、地味ですが。

5月以降、頭打ち気味だった株式市場だが、8月に入って下押し圧力が強まった。しかも、秋には米欧の金融政策に大きな動きがありそう。波乱含みの中では、どんなスタンスの投資に着目すべきか?

波乱を念頭に長期的な視点から「ESG投資」に目を向けてみる

波乱含みの秋相場は長期投資に適した銘柄の仕込み場に!

2008年9月のリーマン・ ショックを発端とした世界的な金融危機を受けて、米国FRB(連邦準備制度理事会)が異例の規模の量的金融緩和を実施したのは周知のこと。市場で積極的に米国債などを購入することで、大がかりな資金供給を行なってきたわけです。その結果、FRBの保有資産は膨張しました。

2015年12月からこれまでに何度となく利上げを実施しており、金融政策のスタンスについてはすでに緩和から引き締めへと転じています。そのうえでタイミングを見計らっていたのが保有資産の圧縮で、この秋にも着手する公算が大きくなっています。

しかも、ほぼ同じタイミングでECB(欧州中央銀行)も、量的金融緩和の規模縮小を検討する見通しです。これらの動きは、株式市場にとって〝冷や水〞となる可能性が高いでしょう。そういった情勢を踏まえ、今回は中長期的なスパンの投資を考えるうえで参考となりそうなランキングに注目したいと思います。

左ページの表は、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」におけるウエートの高い上位20社のランキングです。同指数は時価総額上位500銘柄を対象に、業種の偏りを抑制しつつ、ESG評価の高い企業を選別して構成したもの。ESGとは、環境、社会、ガバナンス(企業統治)を意味する英単語の頭文字。環境保全や社会的貢献に積極的な姿勢で、ガバナンス面も万全な企業に投資すれば、長期的には相対的に高いリターンを期待できるという考えに基づいた投資です。

実は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もこの指数等を利用してESG投資を実践しています。年金財政上において必要とされる利回りを、長期的に最低限のリスクで確保できると考えているからです。

なお、金融情報サービスを 提供しているQUICKが機関投資家や証券会社などに実施した調査(※1)では、「ESG評価の高さが当面のパフォーマンスに影響を与えることはない」との回答が51%に達していました。ですが、GPIFは世界最大規模の機関投資家でその影響力は計り知れません。長期保有を前提とすれば、ESG投資家が日経平均株価をアウトパフォームする可能性があります。なお、今回は格付け評価がA格以上の銘柄に対象を絞り、同指数への組み入れ比率の高さでランキングを行ないました。

※1QUICK月次調査より

日本は横並び意識が高いだけに、いずれESG対応が常識に!?

ESGの観点から評価の高い上位20銘柄の顔ぶれですが、総評から述べると、よく言えば安定的な大企業が並んでいます。そして、意外な企業は見当たらず、悪く言えばおもしろみに欠ける面々でしょう。とはいえ、マーケットが波乱含みの局面では、そういった王道的な銘柄を安値で拾う好機が訪れそうです。

具体的に見ていくと、上位3社は収益が安定的な公益企業ばかりです。4位に東京海上ホールディングス、20位にMS&ADインシュアランスグループホールディングスが入ったように、金融機関の中でも損害保険会社の評価が高いことが特徴的。三菱電機やパナソニック、村田製作所など、グローバルに展開している製造業も名を連ねています。アステラス製薬や塩野義製薬といった医薬品メーカーも複数入り、三菱地所と三井不動産がランクインした大手不動産もしかり。強いて異色の存在として挙げるとしたら、リクルートホールディングスかもしれません。目先、ESGへの対応には相応のコストがかかります。その負担がさほど苦にならない、こうした主要企業に絞られてくるということなのでしょう。

前述したQUICKの調査中で、とある機関投資家は次のような趣旨のコメントを回答していました。

「日本には横並びが求められる風潮があり、同業他社がESGに力を入れ始めたら、いずれは追随せざるをえない」

こうして関心が高まればマーケットでも注目されて、株価にも影響が及びそうです。

もともと好決算期待が高かった半導体関連が利益確定売りに押され、驚きの数字を発表した企業は上昇継続。相場が二極化している今月は、個別に物色されている超優秀銘柄をピックアップ。順張り投資で稼ごう!

上場来高値圏の〝激強株〞が 100銘柄以上もあった!

上値が軽いから利益確定売りに押される心配なし!

北朝鮮リスクもあり、日本株市場は上値の重い展開が続いていますが、3月期決算企業の第1四半期決算発表を通過して、銘柄間の格差が鮮明になってきました。好決算に対する期待が高かった半導体関連株の一角などは利益確定売りに押される一方、市場の期待を超える決算を発表した銘柄にはさらに上値を試す動きが見られます。そこで今月は、決算発表の通過後も上昇基調が続き、株価が上場来高値圏にある〝激強銘柄〞に注目しましょう。

投資の手法を大きく分けると「順張り」と「逆張り」という2つのパターンがあります。簡単に言えば、株価が上昇している銘柄に追随するのが「順張り」、株価が下落している銘柄の押し目を拾っていくのが「逆張り」ということです。

投資家の好みもあるでしょうが、アベノミクス相場のスタート以降は「順張り」のほうがパフォーマンスが良好でした。順張り投資の場合、株価がすでに上昇していることもあり、〝高所恐怖症〞(つまり、株価の高いところが怖い)のようになってしまうかもしれません。

でも、上昇銘柄には上昇しているだけの理由がある、下落銘柄には下落してしまうだけの理由があると考えれば、株価の動きが強い銘柄に追随する順張り投資はパフォーマンスを上げやすいのではないでしょうか。高所恐怖症を克服して、中長期の上昇トレンドが続いている銘柄に乗ってみましょう!

上場来高値圏にある銘柄は需給面でもメリットがあります。通常、株価が上昇すると利益確定売りによって上昇が鈍りがちなのですが、上場来高値圏にあるということは、それより高い株価で買っている投資家がいない=株価上昇による利益確定売りが出づらいのです。

左の表には、年初からの上昇率が高く、8月に上場来高値を更新した銘柄を挙げました。実は、これだけ日経平均株価などの上値が重い中、上場来高値を更新した銘柄数は100を超えています。優良な個別株への物色意欲は旺盛なのです。