テレビや雑誌で紹介される「億トレーダー」に憧れを抱き、学生時代から株やFXへの投資を始めたという鈴木拓也さん。

大学院を卒業後は三井住友銀行に入行し、為替ディーラーを経験、現在は独立し、約1億3000万円の資産でFXを中心に運用しているという。そんな鈴木さんのトレード手法やFX投資の鉄則を伝授してもらった。

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鈴木拓也(すずきたくや)
1987年生まれ。明治大学理工学部卒業、東京工業大学大学院修士課程修了後に、三井住友銀行に入行し、市場営業部門(東京本店)と香港支店にて為替ディーラー業務に従事。金融投資教育のWebメディア事業を運営する株式会社フィンテラスを設立し、代表取締役に就任。公益社団法人 日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
公式サイト
・株式会社フィンテラス(https://finteras.co.jp
・元メガバンク為替ディーラーが教えるFX初心者講座 (https://fx-megabank.com

メガバンクに入行後も、常に独立を考えていた

FX,トレードスタイル
(画像=PIXTA)

――FXをはじめたきっかけについて教えてください。

投資の世界に足を踏み入れたのは大学生のときです。当時、テレビや雑誌で株やFXで資産を殖やした「億トレーダー」たちがたびたび紹介されていました。独立志向が強かった私は、そんな彼らを単純に「かっこいいな」と思っていました。

アルバイトで貯めたわずかな資金で証券会社とFX会社に口座を開設し、私の投資チャレンジがスタートしました。ですが、儲かるどころか、短期間で資金を失ってしまいます。その後、大学院を卒業した私は、三井住友銀行に入行しました。

――メガバンクの一角である三井住友銀行では、どのような部署に配属されたのでしょうか?

入行当時から、株式や為替などを扱う市場部門を希望していました。ですが、新入社員がいきなり市場部門に配属されるケースはまれで、最初は支店の法人営業部などで勉強させていただきました。そして、2年後、念願の市場部門に配属され、市場営業部門(東京本店)と香港支店にて為替ディーラー業務を経験しました。

――顧客や銀行の資産を運用する為替ディーラーから、自身の資産を運用するトレーダーに転身したのはなぜですか?

為替ディーラーとしての業務をこなしながらも、常に独立のタイミングを考えていました。銀行でマーケットのことを学んだので、独立するならやはりトレーダーやマーケット関連の仕事と決めていました。為替の手数料といえば、売値と買値の差額であるスプレッドですが、幸いFX会社のスプレッド引き下げ競争によって、個人投資家でも銀行の為替ディーラーとそん色ない条件で取引できるようになっていました。

制約のない個人投資家には、機関投資家にはない強みがある

変動
(画像=Getty Images)

――銀行の為替ディーラー時代には、さまざまなルールがあったと思いますが、個人投資家になって投資スタイルに変化はありましたか?

大きな変化はチャートなどのテクニカル分析が遠慮なく活用できることですね(笑)。銀行員時代には、ファンダメンタルズ分析重視でテクニカルで判断することは基本、許されませんでした。テクニカルで「ここだ!」と思っても、エントリーにはそれらしいファンダメンタルズの理由が後付けで必要だったのです。

加えて、自分の資金を運用する個人投資家であれば、さまざまな通貨や売買手法で分散投資することができます。私は現在、約1億3000万円を運用していますが、テクニカルを使った「裁量トレード」で1億円、スワップ(金利のようなもの)を狙った「長期スワップ投資」で700万円、「自動売買」で1300万円を運用しています。

――3つのトレード手法の運用はどのような通貨で行っていますか?

裁量トレードでは、米ドル/円とユーロ/米ドルが中心です。ちなみに、値動きの読みづらい英ポンドはさわらないようにしています。

一方、長期スワップ投資では、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランド、米ドル、豪ドルの5通貨で、すべて円との組み合わせです。また、自動売買では米ドル/円、カナダドル/円、豪ドル/NZドルに投資しています。

――FX会社はどこで取引していますか?また、FX会社を選ぶ際のポイントはありますか?

FX会社は「裁量取引」「長期スワップ投資」「FX自動売買」の3つの運用用途に応じて複数社を使い分けて利用しています。

裁量取引では主に「DMM FX」と「GMOクリック証券」を利用しています。裁量取引では売買回数が多くなることから、売買手数料にあたるスプレッドが低い会社を選んでいます。両社とも、スプレッドが業界最狭水準であることや、レートの安定性が高い点が強みです。

スワップ投資では、スワップポイント水準が高い会社を重要視しており、米ドル/円や南アフリカランド/円は「LIGHT FX」、メキシコペソ/円は「セントラル短資FX」を利用しています。通貨ごとにFX会社でも得意・不得意があるので、スワップポイントの水準やスプレッド水準をよく確認して選ぶことが大切です。

FX自動売買では、取引手数料と売買ロジックの中身から選んでおり、「FXブロードネット」と「インヴァスト証券」を主に利用しています。リピート系の自動売買はロジックが似ていますが、ツールや手数料などが微妙に異なるので、自分に合った自動売買を選ぶことが大切です。

――これまで大きな損失を出した記憶はありますか?

トレーダーとして独立してからの私は、エントリーと同時に損切りラインを設定していますので大きなダメージを受けた記憶はありません。大切なのは、一度置いた損切りの指値は絶対に消さないことです。エントリーの根拠はテクニカル分析で判断します。そのテクニカルの根拠が消えたときに潔く撤退するのはもちろんですが、それ以外にはリスクリワードによって利益確定と損切りの値幅を決めています。

リスクリワードを設定し、必ず実行すること

――リスクリワードとは、どういう考え方ですか?

簡単に言うと、リスクリワードは1回の取引における利益と損失の割合のことです。たとえば、「利益を15万円、損失を10万円」と決め、それに従って出口を決定するわけです。大切なのは利益幅を損失幅より大きくすること。「利益5万円、損失10万円」といったリスクリワードで長期運用した場合には、トータルで損失が上回ってしまうからです。

よく、ブログなどで「為替はいつか戻るのだから、FXでは損切りしないほうがいい」という書き込みを見かけますが、これは危険な考え方です。確かに過去のチャートを遡ると、為替が回帰する傾向は見られますが、実際にいつ戻るのかはわかりません。10年、いや20年かもしれませんよね。その間、資金は動かせないのですから、大きな機会損失となってしまうわけです。そういった意味でも、リスクリワードに従って運用するのはとても大切なことなのです。

――最後に、FX初心者にアドバイスをいただけますか?

FXはスポーツや勝負事と同じで、すぐに結果を出すのは難しいものです。ですから、目先の利益よりもまずは知識を身につけることが大切です。勝つための土台となる知識、テクニカル分析やファンダメンタルズなどの考え方をしっかりと固める必要があります。そのために、いきなりリアルマネーでトレードするのではなく、初心者ならまずデモ画面などで練習してみてはいかがでしょうか。

また、FX会社に口座を開設し、投資資金を入金すると、どうしても取引したくなってしまいがち。特にチャートを眺めていると、ポジションを取らずにはいられない「ポジポジ病」の投資家がたくさんいます。そして、彼らの多くの人がトータルで負けているのです。

FXで連戦連勝はなかなか難しいものです。ですから、長期目線で、たとえば1年間で見て負けないトレードを目指してください。