金アップハイスク~ル1限目 ファンダ編 株

マザーズの売買回転率が低下↓投資しやすく?

夏からの急落でボロボロになったヘッジファンドが資産の現金化に走ることが予想される。 その売りを通過した後に割安株を仕込む!大きな需給に従うことが難相場を乗り切る今月の秘策だ。

今月のファンダ先生

岡村友哉
岡村友哉 YUYA OKAMURA
金融ジャーナリスト
証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCで日々、キャスターをこなす。

●現在200銘柄超。売買代金回転率を見れば活況度がわかる

東証マザーズ市場の動向で、個人投資家の株式投資への〝やる気度〝がわかります。売買シェアの7割を個人投資家が占めているので、東証マザーズ指数が大きく上昇する時期=短期的な株ブーム状態といえるのです。

マザーズに上場する217銘柄(10月1日時点)を指数化したマザーズ指数を見れば、長期投資に向かないことがわかります。アベノミクスによるちょっとした株ブームが生じて以降、「1年に1度」のペースで確実に暴落しているからです。直近3年間で見ても、2013年は5月の高値から6月の安値までの約1カ月半で48%の暴落、2014年は1月の高値から5月の安値までの約4カ月で39%の暴落、今年も6月の高値から8月の安値まで約2カ月で35%の暴落……。ハイリスクですが、その下落率は年々縮小しています。個人投資家がこの市場から撤退していったからです。

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撤退した投資家は、日経平均レバレッジETF (上場投信)をはじめとするETFに主戦場を替えました。

マザーズ市場の活況度を見るうえで売買代金の増減が注目されますが、この市場はIPO(新規株式公開)や市場変更などで構成銘柄の出入りが活発。単純に売買代金の増減だけでなく、市場規模と照らし合わせながら売買代金を見る必要があります。そのとき使いたいのが「売買代金回転率(売買代金÷時価総額)」です。

2013年以降のマザーズ市場の売買代金回転率をランキング化すると、1位が2013年5月1日の12・8%、2位が同年12月5日の10・3%、3位が同年5月8日の10・2%。トップ3がすべてアベノミクスの初期ですが、売買代金回転率が10%を超えるというのは明らかに異常値です。東証1部でいえば「1日の売買代金が50兆円超えました」という感じ。個人投資家がデイトレードで何回転もしている様子がうかがえます。

同じ期間の回転率ワーストで見ると、1位が2015年8月11日で1・66%、同率2位が同年7月29日と8月4日の1・71%。最近、売買頻度が急激に落ちているのです。マザーズ指数の下落度合いが落ち着いてきたのも、マザーズ株の信用買いポジションが想像以上に小さくなっているため。そう考えると、人気低下が下落時の負のエネルギーを小さくする効果を生んでいることがわかります。

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さて、マザーズ指数はこの期間、高値で1000ポイントの大台をつける場面を確実につくっています。全体相場の反発を期待したいですが、個人投資家の懐具合に影響されやすいマザーズ市場だけに……カギを握るのは郵政3社のIPOにありそうです。個人投資家への売り出し株の配分が多い郵政3社のIPOがうまくいけば、これを機に口座を開いた新しい投資家にも幅広く評価益が行き渡ることになります。これが無駄に(?)株ブームの火つけ役となった場合、いち早く反応するのが災難通過後のマザーズ市場になることでしょう。

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金アップハイスク~ル2限目 データ編 株

もの言う株主が買い増し。増配、自社株買い期待!

米国の投資会社サード・ポイントがファナックに提言、村上ファンドは黒田電気の大株主として登場…。この動きを逆手に取った10銘柄を紹介。

今月のデータ先生

小川佳紀
小川佳紀 YOSHINORI OGAWA
投資戦略部 ストラテジスト
フィスコなどを経て現職。相場概況から注目株まで日本株全般をウオッチし、本誌読者にオススメの銘柄を拾ってくれる貴重な存在。

●コーポレートガバナンス・コードの影響でアクティビストが元気に

8月からの相場下落で意気消沈気味の投資家が多い日本株市場ですが、そんな相場の中でも虎視眈々とチャンスをうかがっている投資家がいます。「もの言う株主(アクティビスト)」です。

アクティビストというと、真っ先に思い出されるのが村上ファンドなどのような投資家集団でしょう。村上ファンドは最近、電子部品商社の大株主として登場するなど、一世を風靡したころを思い起こさせるような積極的な動きを見せています。最近では村上ファンドのみならず、他のアクティビストも日本株を買い増しているようです。

なぜここでアクティビストの存在感が高まってきているのでしょうか? 日本株市場の相場環境がいいということもありますが、今年の6月からスタートした「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の影響が大きいとみられます。コーポレートガバナンス・コードの適用が開始されたことで、企業と投資家双方のコーポレートガバナンスに対する意識が高まっているのです。

特に、アクティビストが注目する企業の特徴として、手元資金を豊富に抱えるキャッシュリッチ株が挙げられます。

ここ数年、日本企業は稼ぐ力がさらに強まり、利益も高水準でした。リーマン・ショックや東日本大震災などの教訓から、未曾有の危機の再来に備えて利益を内部留保として積み上げているケースも多いのです。過剰な内部留保に対する株主からの視線は厳しくなっています。たとえば米国の投資会社サード・ポイントは、ファナックに株主還元策の強化を求めました。前述の村上ファンドが電子部品商社に注目した背景も、キャッシュリッチ企業という側面がありそうです。

今後もアクティビストの存在感は一段と高まり、キャッシュリッチ企業の株式を買い増すことが予想されます。裏を返せば、アクティビストが保有している銘柄は、将来的な増配や自社株買いといった株主還元策の強化に舵を切る可能性が高いともいえるでしょう。

下の表には、大量保有報告書から、一般的にアクティビストと呼ばれる投資家の存在が確認される銘柄を挙げています。

日本株市場の相場環境があまりよくない中で、株主還元策に対する関心度もかなり高まっていますから、これらの銘柄はアクティビストの保有銘柄という側面からも注目されることになりそうです。

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金アップハイスク~ル3限目 ランキング編 株

暴落でも逆行高した株、叩き売られた株

最近の株価の乱高下に"株酔い"している人も多いはず。とにかく安心・安定第一の運用に打ってつけなのが日経平均株価との連動性が低い低β値の高配当株。ここ半年、全体相場の影響を受けなかった株とは?

今月のランキング先生

窪田朋一郎
窪田朋一郎 TOMOICHIRO KUBOT
松井証券シニアマーケットアナリスト
2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場を見続けている。個人投資家の動向にも詳しい。

●建設株や旬な材料株は逆行高。 逆に旬を過ぎた株は叩き売られる展開に

今回は日本株が下げ相場に突入した8月11日から9月15日の約1カ月間に「上がった株と下がった株」をランキングしてみました。

日経平均株価が約14%も急落したこの時期、逆に大きく上昇した銘柄としては、2位の錢高組、5位の福田組、11位の東亜建設工業など、中堅ゼネコンが多数ランクインしました。

株安が進み、実体経済の悪化が懸念されると、公共工事など財政出動への期待感が膨らみます。そうした思惑から多くの建設株が驚異の逆行高を演じる展開になりました。

また、どんな下げ相場でも、足元で新鮮な好材料が飛び出した株は上昇するものです。

たとえば、値上がり率1位のビットアイルは米国同業大手によるTOB(株式公開買い付け)が決まったため。4位のアミューズは、サザンオールスターズのコンサートが好調で業績の上方修正期待が高まったからです (直近、同社所属の福山雅治の結婚発表があり、一時的に福山ショックといわれる急落がありましたが……)。

7位のオカモトは、中国人観光客の爆買いが同社のコンドームにまで拡大している、といった好材料で株価が急騰しました。

一方、値下がり率上位は、逆に〝少し古めの材料株〝が独占。「もうスマホゲームの時代は終わり」とばかりに、3位のKL ab、9位のマーベラス、10位のgumiなどゲーム関連株が軒並み30%超も大暴落。インバウンド関連の主力株だった百貨店の松屋も叩き売られました。

今回の暴落の引き金が中国経済の減速だったこともあり、昨年の花形株だったミネベアやユーシン精機、牧野フライス製作所といった機械系輸出株の値下がり率も際立ちました。

全体としては、暴落相場では株価材料の鮮度のよしあしが天国と地獄の分かれ目に。ただし、それを見極めるには高度なテクニックが必要です。暴落で困ったときは、相場が下落すればするほど儲かるインバース型ETFを買うという選択肢もありでしょう。

実際、この期間のネット証券の売買ランキング上位には「日経ダブルインバース上場投信」 が頻繁に登場。インバース型やレバレッジ型ETFの存在感が大いに高まったのが、今回の暴落相場の新たな傾向といえるでしょう。

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金アップハイスク~ル4限目 相場概況編 為替

自分の価値観を捨て、市場の流行に乗れ!

世界のすべての経済活動と思惑が流れ込むのが、為替市場。この中に、個人投資家が 飛び込むうえでまず必要なのは、自分の価値観の排除と市場の価値観の獲得だ。

今月のマーケット先生

和田仁志
和田仁志 HITOSHI WADA
グローバルインフォ代表取締役社長
シティバンク銀行、スタンダードチャータード銀行でディーラーとして活躍後、証券会社で FX を立ち上げるなど、業界に精通

●株、債券、原油、企業、年金…世界のあらゆるお金が流れ込む為替市場

今回から為替市場を取り巻く動きを、表面的なものだけではなく、世界中の有象無象の〝輩〝が集まるマーケットの裏側にも入り込み、目に見えない市場心理などとともにお伝えしたいと思います。

為替市場には、株式市場や債券市場、最近注目が集まる原油先物を中心としたコモディティ(商品)市場からのフロー、加えて、実際の企業行動から発生する実需の外貨買いや円買いといったフロー、そして昨年から市場を動かしているとまで言われているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や3共済など、日本の年金資金の外貨買い需要などが土日を除いて、ほぼ24時間持ち込まれています。

さらに、その長期資金を横目に、マクロファンド(※1)などの巨大資金を動かしている機関投資家や、日々の上げ下げを果敢に取りに行く、「短期投機筋」と呼ばれる参加者が虎視々と利益を求めてうごめいています。

外国為替取引の自由化を受けて日本の個人投資家も積極的な取引が可能となっていますが、ある意味〝すべての経済活動が最終的に関係してくる〝為替市場は、取引を行なっていなかったとしても、資産運用において非常に重要な要素です。また、あまりにも多くの要因で動き続け ている〝生き物〝であるだけに〝最終的なゴール〝がありません。それゆえに、「一度入ったらやめられない」という〝魔力〝を持っています。

では、このような壮大な為替市場の動きを探る中で、私たちはどのようなことを追い求めていく必要があるのでしょうか。それは、自分の価値観を捨てて、市場がどんな価値観を持って、どんなことに着目しているのかを、常に知っておくことです。

たとえば、日本の新聞を読むだけでは、国内の注目材料はわかりますが、世界中の市場参加者が何に着目しているかはまったくと言っていいほど理解できません。世界中の投資家が毎朝ベッドから起き上がって真っ先に目にするものを、私たちもつかんでおかなければなりません。

幸運なことに、1日の始まる時間帯が一番早いアジア市場で生活している日本では、FT(フィナンシャル・タイムズ)やWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)を世界中で一番早く手に取って目にすることができます。

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つまり、FTやWSJといった世界中の投資家が必ず目を通す新聞を読むのは、きわめて当然の準備なのです。ただ、時間的にもコスト的にも難しい場合が多いので、その中でも一番重要視されているといわれている「FT1面のヘッドライン」だけでも、ホームページなどでチェックしておくことをおすすめします。

毎朝、日本の新聞を読むのと同様に、FT1面のヘッドラインだけでも目を通すことを習慣にできれば、世の中の見方が変わっていくはずです。

ひいては自分が注目していることではなく、市場が現在何に注目しているのか、言い方を変えれば「市場の流行」、〝ファッション〝を客観的に感じることができれば、世界の最新の情報を正確に受け取れるようになります。

また、海外金融機関のディーリングルームには大きなテレビ画面がいくつも備え付けられています。ほとんどがCNBCかブルームバーグのライブ放送を24時間流しっ放しです。日本でもケーブルテレビなどで視聴できますが、夜中にさらに市場の臨場感を味わいたければ、それらを自宅でも流しておきたいところ。

情報収集と一口に言っても、最近では逆にそれらが無造作に氾濫してしまっているがゆえに、非常に複雑でわかりにくいのが現状です。しかし、日々変化し続けている市場の中で、根底に流れている「市場の流行 (ファッション)」を認識しながら、相場の正しい方向性をつかむことこそ、長く市場と付き合っていく秘訣。

次回からは、そのファッションを中心に市場の裏側をお伝えしていきます。

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※1 マクロファンド…マクロ経済の動向を予想し、 株や債券、 為替など、 あらゆる金融資産を機動的に売買するファンドのこと。

金アップハイスク~ル5限目 レンジ編 為替

米国利上げ期待、 商品市場の低迷が豪ドルの重しに

中国の株式市場、商品市場の低迷。最も悪影響を受けているのが豪ドル。米国利上げへの期待も逆風になる

今月のレンジ先生

山本雅文
山本雅文 MASAFUMIYAMAMOTO
みずほ証券チーフ為替ストラテジスト
日本銀行で10年間、外為取引や調査に従事した後、英米銀行などでチーフFXストラテジストを務めた。マネックス証券を経て、現職。

●円安材料の減少も豪ドル/円の上値を抑える要因に…

11月も豪ドルなどコモディティ(商品)通貨の下落が続きそうです。背景には、世界的に株式市場や商品市場の不安定感が継続していること、12月の米国のFOMC(連邦公開市場委員会)に向けて利上げの有無をめぐる不確実性が高まることなどがあります。

10月に利上げが見送られれば12月の利上げ期待が高まり、米ドルが下支えされやすいことを考えると、豪ドルは対米ドルで下落しそうです。日銀が追加緩和を見送る可能性が高いことを踏まえれば、対円でも下落しやすいでしょう。

株式市場や商品市場の不安定さの背景には、やはり中国の景気減速懸念があります。

中国の景気減速はここ数年来続いており、かつそれが同国にとって必要な経済構造改革を伴う政府が意図した減速であることから、悲観する必要はないという強気な見方もあります。

もっとも、中国の経済統計の信頼性が低く、統計が示す以上に実体経済が悪化しているのではないかという不安はなかなか拭えず、むしろ高まっています。

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こうした中、中国からの需要拡大を当てにしてきた各種商品価格も下落圧力が続きそうです。そのあおりを最も受けやすい国のひとつが、中国向けの鉄鉱石や石炭など資源輸出が多い豪州というわけです。

なかなか円安にならない、というのも豪ドル/円の下落リスクです。初期アベノミクスの下では、大胆な金融政策、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による外貨資産への投資増加、貿易赤字などといった多くの円安要因が同時に働いていました。

しかし、今ではGPIFの外貨資産への投資シフトはほぼ一巡したとみられ、貿易赤字もほぼ解消、さらに日銀も年間80兆円ペースの資産購入を続けていますが、市場が期待する追加緩和の可能性は低下しています。

日銀が本来目標としてきたコアCPI(消費者物価指数)がマイナスに転じたにもかかわらず、黒田総裁はエネルギーを除けば1%超のプラスになっている点を強調しています。日本のGDP(国内総生産)が再びマイナスに陥ったとしても、追加緩和ではなく補正予算で対処される可能性も出てきています。

10月30日の金融政策決定会合でも追加緩和が見送られると、円高圧力が強まる局面もありそうです。

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アップハイスク~ル6限目 売買診断編 為替

一目均衡表の遅行線と絡まるローソク足

複数のテクニカル分析で人気通貨ペアをチェック!米ドル/円のもみ合いはまだまだ続くのだろうか?

今月のジャッジ先生

田中空見子
田中空見子 KUMIKO TANAKA
カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト
デリバティブ市場の動向やテクニカル分析を中心に研究し、個人投資家が抱える疑問や不安を日々サポートする。

●米ドル/円は120円を挟んだレンジ相場が続きそう

今回から、人気通貨ペアの総合的な売買診断をしていきたいと思います。具体的には、代表的なテクニカル指標がどのような売買シグナルを出しているのかを確認して、為替相場全体の特徴や気になるポイントをご案内します。

下の表が今月の診断結果です。RSIやストキャスティクスといった相場の過熱感を見るオシレーター系はほぼ「中立」。これは、現在の為替相場はトレンドがほとんどなく、ごくごく狭いレンジでのもみ合いだからです。

オシレーター系はもみ合い相場のときに逆張りで売買するのがセオリーですが、現状の相場は売買シグナルにも引っかからないほど狭いレンジとなっています。

一方、移動平均線や一目均衡表など相場の勢いを見るトレンド系の指標はおおむね「売り」サイン。全体的に下落基調が強まっています。

注目ポイントは一目均衡表の遅行線。米ドル/円の売買診断は「中立」。遅行線とローソク足が重なり売買圧力が均衡している状態で、今後、上下どちらかに抜けたほうにトレンドが出る可能性があることを示しています。

ただ、日足チャートを見ると、遅行線の先には120円を中心としたローソク足が大量にあります。今後も遅行線とローソク足が絡まりやすく、2つの価格に差が出にくくなっています。差が小さければトレンドが弱いということなので、明確なトレンド発生にはまだ時間がかかりそうです。

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今回はオシレーター系、トレンド系どちらを見てももみ合い色が強いという結果となりました。しかし、一度トレンドが発生するとものすごい勢いで変化するのが為替相場。

今後の売買診断でうまく捉えていきたいと思います。

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金アップハイスク~ル7限目 ファンダ編 投信

投信にかかる隠れコストとは?

投信の購入時にかかるのが販売手数料、保有中の運用や管理にかかるのが信託報酬、そして解約時に払うのが信託財産留保額。しかし、それ以外にもかかる「隠れたコスト」がある。コストについて知っておこう。

今月のファンダ先生

篠田尚子
篠田尚子 SHOKO SHINODA
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品!

●知っておきたい購入時、保有中、売却時にかかる投信の3つのコスト

投資信託には、使途の異なる代表的なコストが3種類存在します。1つ目はファンドの購入時に証券会社や銀行などの販売窓口に支払う買い付け手数料、2つ目は保有期間中に徴収される信託報酬、そして3つ目は解約時に解約代金に対してかかる信託財産留保額です。今回は、投信の保有コストの中でも誤解の多い信託報酬を中心に詳しく解説していきます。

信託報酬とは、ファンドの保有中はずっと支払う運用や管理にかかる費用のことで、購入窓口に関係なく一律の料率が適用されます。実際には、目論見書に記載されている年率が日割り計算され、基準価額を計算する時に費用としてファンド財産から支払われています。

買い付け手数料は全額が証券会社や銀行などの販売会社に支払われますが、信託報酬は、①販売会社、②運用会社(委託会社)、③受託会社の3社に支払われます。銘柄によって多少の差はありますが、ファンドの組成・運用を担う運用会社と、ファンドを販売する販売会社が受け取る割合はそれぞれ全体の約40%から45%です。投資家から預かった資金を実際に保管・管理する受託会社は5%程度を受け取ります。

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最近は、インターネット証券を中心に買い付け手数料のかからない「ノーロード」のファンドが増えています。こうした販売チャンネルの場合は、どのように収益を上げているのか疑問に思われる方も多いとみられます。ファンドの販売会社は、買い付け手数料を徴収しなくても、ファンドの残高が積み上がれば、その分だけ信託報酬を通じた収入を得ることができるのです。

一方、投資家サイドに立ってみると、信託報酬は毎営業日公表される基準価額に既に反映されています。さらに、信託報酬は投信を購入した時から解約するまで間接的に負担し続けることになるため、「手数料を払っている」という感覚が薄れがちになります。また、投資信託の運用手法の複雑化と、投資対象資産の多様化が進むにつれて、目論見書上に記載されている名目(確実にかかる)信託報酬率と実際にかかった信託報酬にかい離が生じるようにもなりました。こうした流れを受け、最近は信託報酬についてより分かりやすい説明が求められるようになりました。

名目信託報酬率に反映されていないコスト、つまり実際に運用を行なってみないと具体的な金額が判明しないコストには、2つのパターンがあります。ひとつは、ファンド・オブ・ファンズ形式で複数のファンドを組み入れて運用する投信で、投資先ファンドにも別途に信託報酬がかかるケースです。いわゆる通貨選択型などのファンド・オブ・ファンズ形式の投信の場合、その投信が投資しているファンドの組み入れ割合に応じた信託報酬を足し合わせた数値が別途に「実質的な信託報酬率」として目論見書などに明記されます。投資先ファンドの組み入れ比率は先々変更される可能性があることから、「実質的な信託報酬率」はあくまでも概算値にすぎず、確定値ではありません。

もうひとつは、決算期ごとに変動する「隠れコスト」の存在です。具体的な項目としては、組み入れた株式の売買委託手数料、有価証券取引税、監査費用、保管費用などです。

たとえば、組み入れ銘柄の売買回転率が高いファンドは売買委託手数料が高く、新興国に投資するファンドなどは保管費用が高くなる傾向があります。

これらのコストはすべて決算後に運用会社が作成する運用報告書に実額が記載されているので、よく確認してみましょう。

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ニューフェース編 投信

ROE(自己資本利益率)を重視して絞り込む日本株ファンド

投資アドバイザー

中村 宏
中村 宏 HIROSHI NAKAMURA
ワーク・ワークスファイナンシャル・プランナー
個人相談、セミナーの講師を通して、暮らしのお金の賢い使い方、増やし方をアドバイス。

●高収益企業の中からよりすぐりの銘柄に絞り込んで成長を目指す

株の投資先を選ぶときの指標として、ROE(自己資本利益率)が注目されています。

ROEは「企業が株主から預かった資金を使ってどれだけ効率的に稼いだか」を判断する指標で、「当期純利益÷自己資本×100」で算出します。一般的にROEが高い会社ほど収益力があると判断できるため、投資先として魅力的です。

日本の株価は8月以降、中国の景気の先行きや米国の金融政策の動向などの影響を受けて激しい値動きを繰り返してきました。このように市場環境が急激に変化して揺れ動く中でも強さを示すのは収益力が高い会社です。安定して収益を生み出す力がある会社は、下落相場でもその影響を比較的受けにくく、逆に上昇相場では市場平均以上に株価が上がる傾向があります。

欧米の投資家は従来からROEを主要な投資指標としてきました。日本の企業も、株式売買シェアに占める外国人投資家の割合が60~70%台と高いことなどから、近年ではROEを経営目標に取り入れるところが増えてきました。

「資本収益力日本株ファンド」は、東京証券取引所と日経新聞社が算出している「JPX日経インデックス4リスクを抑えながらも、ある程度のリターンを狙う人におすすめのファンドです。

00」に採用されている400銘柄(資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる要件を満たした銘柄で構成)と、みずほ投信が選定した約100銘柄の合計500銘柄から、最終的に50~70銘柄に絞り込んでポートフォリオを構成します。つまり、「選りすぐりの高収益力銘柄」に絞り込んだファンドと言ってもいいでしょう。

リスクは高めですが、上向きつつある日本の景気を背景に、長期的に期待することができそうです。

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復活の老舗!編 投信

資産配分を機動的に変更する

藤原久敏
藤原久敏 HISATOSHI FUJIWARA
資産運用に関するセミナー講師、執筆を精力的にこなす。大学でファイナンシャルプランニング講座を担当。

●リターンを狙いつつ大きく「負けない」ことを目指す

米国の9月利上げの見送り、バブル崩壊後の中国経済など、昨今の先行き不透明な金融情勢において、機動的な資産運用を行なうことは、一般投資家にとっては困難な状況になっています。

今回紹介する「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」では、世界中の株式や債券など、さまざまな資産への分散投資と投資戦略を活用し、市場環境に応じて資産配分を機動的に変更します。機動的な資産配分により下落リスクを低減しつつ、中期的に安定した収益を目指します。

大きく儲けることより、大きく負けないことに注力したファンドです。

実際、中国市場の下落をきっかけとしたこの乱高下する相場情勢においても比較的安定した成績を残しているので、リスクを抑えながらも、ある程度のリターンを狙う人におすすめのファンドです。

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だみーフェイス編 投信

投信最新番付!今月のランキング

●日経平均は大幅下落。中国関連が9月に続きまだ上位を占めるが…

9月の世界の株式市場は、中国を発端とした世界景気の減速懸念に加え、原油価格の大幅下落も響き、全面安の展開となりました。さらに、日本の大型連休中にドイツの自動車メーカー大手フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が発覚。連休明けの日本株市場は自動車株を中心に売りを浴びせられることとなり、29日には8カ月半ぶりに終値ベースで1万7000円を割り込みました。

それでもなお、1年間の騰落率ランキング「ベスト10」は、中国本土のA株に投資するファンドが上位を占めました。中国株型の下落率は8月が15%~20%、9月も5%~10%と、過去3カ月間で見ると20%以上下落した銘柄も目立ちます。

しかし、昨年末以降の上昇率が大きかった分、1年間で見るとまだ上位を維持しているというのが実態です。

他方、「ワースト5」には、8月に引き続きブラジルレアル関連が上位に名を連ねました。景気低迷の長期化と政治的不透明感の高まり、さらには米国の格付け会社S&Pによる格下げも重なり、通貨レアルは9月に大幅続落しました。株式については割安感も出ていますが、投資家の不安心理は大きいと言わざるをえません。

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金アップハイスク~ル8限目 介護保障編 民間の介護保険vs.貯蓄

使い道が自由な貯蓄に軍配!

親の介護、やがては自分の介護―。超高齢社会では誰もが考えておかなければならない大問題だ。

公的な介護保険は今年8月からますます厳しくなった。では、どう備えるのが正解なのか。今回は介護保障対決!

今月のジャッジ先生

金子千春
金子千春 CHIHARU KANEK
ファイナンシャル・プランナー
日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、2003年に独立。保険の見直しや住宅ローン、資産運用の相談、 セミナー講師として活躍中。

●公的な介護保険は年収が一定以上あると1割負担が2割負担に

2000年の導入以来、公的な介護保険は利用したサービスの費用の1割負担が原則でした。これが今年8月から第1号被保険者(65歳以上)のうち、収入から控除などを引いた所得が160万円以上の場合は、原則2割負担と改正されました(下の図①)。

介護保険で最も介護度の高い「要介護5」の場合、1割負担での平均的負担額は月2万1000円でした。これが2倍の月4万2000円になると、かなり重くなります。

ただし、介護保険では所得などによって負担額の上限を定めた 「高額介護サービス費」という仕組みがあり、上限額を超 えた分は払い戻されます。

ところが、それでも改正後の負担は増える場合があります。

たとえば、区分が「一般」に該当する人の上限額は月3万7200円。1割負担で要介護5の平均額2万1000円なら、上限額の範囲内なので払い戻しはありません。これが8月から2割負担に該当して4万2000円となれば、上限額を超える4800円は払い戻されますが、実質負担は3万7200円なので改正前より8割近く増えます。

この高額介護サービス費の負担上限額自体も、所得の高い人は8月 から上がりました。

従来の「一般」区分が2つに分かれ、現役並み所得(夫婦世帯なら収入520万円以上)がある場合は4万4400円となります。2割負担の平均額が4万2000円なら上限額の範囲内なので、払い戻しはありません。

特別養護老人ホームなどの施設の食費、居住費補助の適用要件に資産要件も新設されました。預貯金で単身は1000万円以下、夫婦なら2000万円以下でないと補助を受けられません(図②)。

今年4月からは特別養護老人ホームへの入所者を原則、要介護3以上にするなど、施設介護から在宅介護に重点を置く姿勢も鮮明になってきています。介護保険制度は今後も厳しくなる方向にあると言っていいでしょう (図③)。

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●民間の介護保険は要介護2以上でないと支払われない

民間の介護保険は、公的な介護保険で賄えない分を補てんする役割と考えられます。

介護保険制度を利用できるのは、65歳以上で「要介護、要支援」と認定された人、40~64歳では加齢に伴う特定疾病が原因で「要介護、要支援」になった人のみです。いずれも市区町村に申請して認定を受ける必要があり、たとえ介護が必要でも認定を受けられなかった場合は、介護費用のすべてを自分で負担しなければなりません。また、給付対象外のサービス費用の全額、おむつなど日常生活にかかるお金や家族の移動にかかるお金などは自分で準備しておく必要があります。これらの備えのために民間の介護保険を利用するわけです。

「民間の介護保険への加入は、要介護状態に備えて精神的、金銭的に安心できます。しかし、掛け捨てタイプでは、保険料の負担は軽いものの、要介護状態にならなかった場合には保険料がム ダになります。

また、貯蓄タイプは保険料が高額になります」と話すのはFPの金子千春さん。

保険料負担と自分が得られる保障との兼ね合いを考えると、計画的にコツコツと貯蓄したほうが有効なケースもあります。

「ある程度の年金収入があるなら、民間の介護保険に入らなくても、貯蓄で対応できます。結局、介護保険は介護状態(要件が一番低いところでも要介護2以上からの給付)にならないと支払われません。年金収入で生活費がある程度賄える状態であれば、貯蓄で対応するのがいいのではないでしょうか」(金子さん)

というわけで、今回の対決は貯蓄に軍配!

なお、介護状態になった場合、自治体には介護をサポートするさまざまな仕組みがあるので、 まずは市区町村の「地域包括支援センター」に相談してみましょう。ここに行けば、利用者や家族が望む介護を受けられる事業者なども紹介してくれます。

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