この1カ月間、さまざまな地方に出張する機会がありました。都心にいると、なかなか気がつかないのですが、都心と地方との賃金格差があまりにも顕著でした。地方経済の活性化について考えてみました。

今月の知りたがりテーマ 地方経済が、なかなか上向かない原因は?

崔 真淑
崔 真淑 Masumi Sai
Good News and Companies 代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している

本誌の読者は、都心にお住まいの方だけではないと思います。都心に住んでいても地方出身者という方も多いはず。私もその一人です。

今回は地方経済活性化のヒントについて考えていきます。

この1カ月間、出張の機会に恵まれた私は、国内約3000キロを移動しました。同時に地方経済の現状も確認できました。共通して聞こえたのは「円安がツライ」という言葉でした。地方は都心に比べて地元に根づくサービス業が多く、スーパー、飲食業等の内需企業が多く存在します。

内需企業の多くは円安によって仕入れコストが上昇しています。もちろん、値上がり分を販売価格にスムーズに転嫁できたらいいのですが……。

しかし、それができないから困っているわけです。なぜ、できないのか?それは、地方の賃金が都心ほど上昇していないから。都心と地方の賃金格差は顕著なのです。

賃金を決める要素は3つ。

「労働の質≒働いている人々の体力・生産性等」「設備の質≒老朽化した設備」「技術革新度≒技術革新によるイノベーションを起こす力」です。

著名な経済学者によって構成された独立行政法人RIETIでは、県別に上記の3つの要素をデータ化しています。

そのデータを見ると、賃金が低い県ほど、「技術革新度」の低下が賃金低下に影響していることを示しています。

では、どうしたら向上するのでしょうか?技術革新度は、いわゆる研究開発費だけを指すわけではありません。

そのサービスの認知度を高めるためのマーケティング費用、広告宣伝費なども含まれます。技術革新度の低い県の企業こそ、こうした費用に投資することによって業績アップ、ひいては賃金上昇へとつなが ると考えられます。どうしたら、それらへの投資が増えるのか?カギは地方金融機関が握っています。地方金融機関には、地方経済の金融情勢、企業情報が集約されています。

彼らがその情報網を活用して、地元企業に対して、どう効率的に技術革新のための投資をするかが重要なのです。

しかし、今はこれが機能していないようです。金融庁が地方金融機関の再編を進めているのは、地方企業を支える仕組みを強化することも含まれています。再編期待の強い地銀ですが、こうした技術革 新度が低く、賃金格差がなかなか是正されない地域ほど、早く進むかもしれませんね。

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(画像=NETMONEY)