世間を大いに騒がせた2つの世界的危機について

ギリシャ債務危機の最終的解決にはユーロが内包する根本的矛盾を解決する必要があると思うが、中長期的にはさほど心配していない。中国株バブルの問題についても、相場は上がり下がりを繰り返すものであり、深刻には捉えていない。

イメージ撮影●村越将浩

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ギリシャが財政法案を議会で可決したことを受けて、ユーロ圏19カ国は7月13日の首脳会議で合意した3年で820億ユーロ(約11兆円)を超える支援実施に向けた手続きを着々と進めています。

「これでギリシャのユーロ離脱はない」とユンケル欧州委員会委員長が言明したとの報道もありましたが、その直前にドイツがギリシャのユーロ圏一時離脱を提案したとも報じられたように、離脱のシナリオが当面避けられる見通しになっただけのことだと思います。それでも、世界のGDP(国内総生産)の1%、欧州の2%程度という経済規模からいうと、ギリシャがユーロ圏から離脱しようがしまいが中長期的にはあまり大した問題ではないでしょう。

振り返ってみると、今に続くこのギリシャ危機というのは、ユーロ通貨圏参入に必要な財政規律を守らずにインチキをして対外債務の過小表示をしていた前政権による財政赤字の隠蔽を、2009年にギリシャのパパンドレウ新政権が明らかにしたことがその発端です。そして財政危機が深刻化したことを受けて2010年に国債が暴落しましたが、IMF(国際通貨基金)やEU(欧州連合)による融資、債務削減、財政緊縮策の実施などがまとまり、2012年以降、危機は小康状態になりました。しかし、昨年以降、厳しい財政緊縮策に対してギリシャ国民の不満が高まり財政緊縮策の放棄を主張する急進左派政党が政権を奪取したため、財政危機が再燃したのです。

一筋縄ではいかず紆余曲折を経る可能性は十分にある…

ギリシャは財政危機が深刻化してから、第1次支援(2010年)として総額1100億ユーロ(うちユ ーロ圏800億ユーロ、IMF300億ユーロ)を、第2次支援(2012年)として総額1730億ユーロ(うちユーロ圏1450億ユーロ、IMF280億ユーロ)の支援を受けたにもかかわらず、その政府債務残高は今年の3月末時点で約3100億ユーロと、むしろ増加基調をたどっています。

チプラス首相いわく、過去の金融支援策は失敗だったということですが、これから後、金融支援が最終合意に至って実施されるとなれば第3次支援に当たることになります。7月5日の国民投票でその6割が反対票を投じたギリシャ国民の世論の動向、また空港や港など500億ユーロに上る国有資産売却はチプラス首相自身が今年1月に政権を取って執行を止めた経緯があることからチプラス首相への不信感も増殖され、今後も一筋縄ではいかず紆余曲折を経る可能性は十分にあるでしょう。

北尾吉孝
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北尾吉孝
きたお・よしたか●1951年、兵庫県生まれ。
74年、慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。
78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券で事業法人三部長等を経たのち、95年にソフトバンク入社、常務取締役。
99年、ソフトバンク・ファイナンス社長。
現在、インターネット総合金融グループを形成する
SBIホールディングスの代表取締役執行役員社長。
『何のために働くのか』(致知出版社)など著書多数。「facebook」にてブログを執筆中。