6月から、上場企業に義務づけられた「コーポレートガバナンス・コード」。すでに株式市場では話題になっていますが、その中のひとつに女性の積極活用が含まれていることはあまり知られていません。

今月の知りたがりテーマ 取締役会の多様性とは、女性役員を増やすこと

崔 真淑
崔 真淑 Masumi Sai
Good News and Companies 代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している

6月1日から上場企業に対して、「コーポレートガバナンス・コード」が導入されました。これを守れな い上場企業は、果たせない理由を説明する義務が発生するという強制力を持った原則です。この原則は、企業価値を中長期的に向上させ、海外から投資マネーを呼び込むことが目的のひとつでもあります。

今回は中長期的に株価に影響を及ぼしかねない「取締役会の原則」と、それに関する投資戦略を考えていきます。

取締役会は、その企業の意思決定を左右する重要な機関です。アカデミックな世界では、取締役会を「外部の情報やつながりを企業価値向上に結びつけるための役割がある」と定義されています。また、 「取締役構成が多様化するほど、企業経営にも多様性が生まれ、企業価値の向上が期待される」とされています。

こうした流れから、コーポレートガバナンス・コード原案の原則4-1には、取締役会の多様性を促すよう書かれています。言い換えれば、女性を積極的に登用しなさいということです。さらに、2016年の有価証券報告書には女性取締役の有無を記載することが義務づけられるなど、国策として、女性をうまく活用しようとする流れが確実に来ていることがわかります。数年以内に、日本でも女性取締役の導入が義務づけられる日が来るかもしれません。

しかし、この女性取締役の導入を促すことの弊害はないのでしょうか?他国の例を見てみましょう。2003年にノルウェーでは、「2008年までに女性取締役の構成比率を40%以上にすること」を上場企業に義務づけました。

このときのことを分析した論文を見ると、驚いたことに女性取締役がゼロの会社は短期的に明確な株価の下落を見せたそうです。また、その発表から1年後には、女性取締役比率が低い企業ほど、企業価値が低下していたそうです。

企業の意思決定機関である取締役メンバーが大きく変わってしまうことは、企業にかなりの負担がかかり、社内体制にも大きな変化が起こることが予想されます。

こうした動きを懸念した投資家が多く、結果として、女性取締役が少ない会社は株価も企業価値も短期的な低下を見せたようです。

今後は、取締役構成メンバーを見定めることが意外な投資戦略につながるかもしれません。

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