5月は「セルインメイ」といわれ、世界的に株価が弱い月。しかし、今年の日本株は比較的楽観視していいのでは。理由は、株主還元を中心とした「コーポレートガバナンスバブル」が起こりそうだからです。

今月の知りたがりテーマ 郵政上場で民間銀行が株主還元に動く

崔 真淑
崔 真淑 Masumi Sai
Good News and Companies 代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している

日本株の強い動きが続いていますね。この背景を整理しておくと、①円安によるグローバル製造業への好影響、②日銀の追加緩和への期待、③コーポレートガバナンスバブル―の3点セットによるものと考えられます。

まず①ですが、グローバル製造業は、日本だけでなく多くの国で活動しています。つまり、国を分散することで為替リスクの分散ができています。結果、為替ヘッジをする企業が少ないこともあり、円安の恩恵をしっかり享受しているようです。

②は、黒田東彦日銀総裁の「量的・質的金融緩和」です。足元の株高効果の大部分は、これによるものと言っても過言ではありません。しかし、今後はそれほど期待できないのではないでしょうか。理由は、4月19日に日銀で発表されたミネソタ経済クラブの黒田総裁の講演資料です。

彼は、足元の物価基調はさえないと認めています。その一方で、物価への人々の気持ちは大きく変化していることを強調しています。物価の先行きへの期待(=期待インフレ率)を算出するのは、マクロ 経済学の永遠の課題。しかし判明しているのは、期待インフレ率は過去の物価に影響されるということです。

これを踏まえて黒田総裁は、日本は長引くデフレにもかかわらず期待インフレ率が2%に収れんしてきている=日銀の金融緩和で期待インフレ率が改善していると強調。黒田総裁は物価の先行きに非常に 強気のようです。結果、大胆な追加金融緩和はしばらくないと個人的には考えています。

でも、ご安心を。③に新しい変化が起きています。コーポレートガバナンスとは企業統治を意味します。なかでも日本の多くの上場企業は、世界に比べて株主に対する情報開示や還元が見劣りし、株主 軽視の時代が続いていました。この影響で配当性向を引き上げる企業が続出しています。

私は、今年後半からは銀行を中心にコーポレートガバナンスバブルが発生すると予想しています。理由は、日本郵政の上場です。日本郵政は配当性向を50%にする見通しです。しかし、ほとんどの国内銀 行の配当性向は30%程度。大きく成長する分野でもないだけに、株主還元を強化しないと投資家からの人気が落ちそうです。この結果、多くの民間銀行で大胆な株主還元が行なわれ、それが株高につながる 可能性が強いとみています。

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