7~9月期のGDP速報値が、まさかのマイナス成長。これにより、消費税再増税が延期され、ついには衆議院解散という事態に。それにしても、なぜGDP速報値が市場予想と大きくカイ離してしまったのでしょうか?

今月の知りたがりテーマ なぜGDP速報値が予想外だったのか?

崔 真淑
崔 真淑 Masumi Sai
Good News and Companies 代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している

消費税率の8%から10%への引き上げは延期されることになりました。11月に発表された7~9月期GDP(国内総生産)成長率の1次速報値がまさかのマイナス成長の実質年率1・6%減。本来なら嫌気されるデータですが、これによって再増税の延期が決定的となり、資本市場は安心材料として好感したのです。ただ、多くのエコノミストが実質年率で2%以上のプラス成長を予想していただけに、この結果は 衝撃的でした。なぜ、エコノミスト予想と実際の数字がかけ離れてしまったのでしょうか?この理由を考えるためには、まずはGDPの定義を確認する必要があります。

GDPとは、「1年間に、その国で生み出された新しい経済的付加価値の合計値」で、国の経済基調の判断材料となります。ただ、日本国内にある生産やサービスを行なっているすべての拠点から、どの 程度の付加価値が生み出されたかを調査するのは不可能です。そこでGDPの構成要素である、家計消費支出、設備投資、在庫品動向等を、経済産業省が発表している「工業統計表」や各種統計をもとに 細かく作成していきます。

しかし、工業統計表は翌々年にならないと発表されません。発表を待っていては、足元の経済基調を判断することができませんよね。だから、GDPには確報値だけではなく、1次速報値、2次速報値といって代替統計値を用いた速報値が発表されるのです。

しかし、この1次速報値は、2次速報値や確報値とは大きくかけ離れた数字になることが過去にも何度かありました。理由は、企業の在庫動向と設備投資に関する詳細なデータが出ていない時点でデータ作成をするからです。

今回もエコノミスト予想とカイ離していたのは、在庫と設備投資の部分でした。こうした理由から海外投資家は、GDP一次速報値にはそれほど注目はしていないようです。むしろ企業経営者のセンチメ ントがわかり、その速さから日本では日銀短観のほうが、経済指標としての注目度は大きいのです。

今回は、消費税再増税のカギを握るといわれていただけに注目されていましたが、例外パターンと見たほうがよいでしょう。GDPといっても何次速報値なのか、そして修正はどの程度まで広がる可能性があるのかを考える必要がありそうですね。

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