中間決算発表のピークが峠を越えました。今期前半戦を終え、なかには期初業績予想の上方修正や下方修正を行なう企業も見受けられました。さて、そもそも期初業績予想とは、どのようなものなのでしょうか?

今月の知りたがりテーマ ここが変わっている日本の決算予想

崔 真淑
崔 真淑 Masumi Sai
Good News and Companies 代表
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している

10月から11月にかけては、多くの上場企業が中間期の決算発表を行ないます。中間決算が注目される理由は、期初に各社が発表した通期業績予想をここで変更してくる可能性が高いからです。なお、今回の注目点は、「円安、消費税増税、商品価格」といった3つの影響を会社側がどう捉えているかです。

さて、この業績予想、海外でも当たり前のように行なわれているのでしょうか?

実は、資本市場の大家である米国では制度化されておらず、企業の自発的行動とされています。なので、米国の企業では四半期予想しか開示しなかったり、通期でも業績値にある程度の幅をもたせて発 表するケースが多いのです。一方、日本は強制ではないものの、ほぼ制度化された仕組み。ただし、金融セクターなど収益のブレが大きい業種は開示していません。さらに、大きな変更が生じそうなとき には、ただちに変更開示をすることが命じられています。

この業績予想は日本だからこそ、投資家の注目を集めていると言ってもいいでしょう。そして常々、「日本の経営者は慎重な人が多いから、期初に出す業績予想は控えめな予想になりやすい。だから、 期中に上方修正をする可能性が高い」と言われています。本当なのでしょうか?

一橋大学の野間幹晴准教授の著書『日本企業のバリュエーション』(中央経済社)を参考に、実証分析をしていきましょう。

ここには、2003年4月~2005年3月の8四半期分を対象とした約3900企業年度の分析結果があります。 結論から言うと、対象企業年度の約8割が期初に楽観的な業績予想を開示しており、当初挙げていた目標値に届かない企業年度が過半数以上存在しました。増益を達成できたとしても、期中には過半数の 企業年度が下方修正を行なっていたのです。統計的に見ても、企業の多くは業績予想に楽観的との結果もがています。

一部の大手自動車メーカーなど、資本市場に大きなインパクトを持つ企業は、過度な期待を抑えるために慎重な業績予想を出してきます。しかし、これはごく一部なのです。投資家の私たちには、業績 予想だけに一喜一憂するのではなく、企業が発表している未来の業績につながる「受注高」や「月次売上高」などに注目して、丁寧に業績を予想していく作業も必要なのです。

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